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「宇宙137億年の歴史」佐藤勝彦/角川選書 H22年より抜粋・要旨
<“アインシュタインの生涯で最大の不覚“だった「宇宙項」が復活した!?>
・真空のエネルギー※を放り込んだアインシュタインの方程式を数学的調べてみると、それが宇宙項とまったく同じ役割を果たしていた。…アインシュタインの宇宙項は「斥力」、つまりからっぽの空間が互いに押し合う力のことだということになる。真空のエネルギーはそれに対応するので、それによって宇宙はものすごく速く膨張するということは、式を解く前に想像がつく。解いてみると、この宇宙の膨張の速さは指数関数的で、非常に短い時間に宇宙が急激に大きくなった。数字で示すと、(宇宙誕生から)10の(−35)乗秒後〜10の(−34)乗秒後の間に(つまり1/10秒の間)、宇宙はだいたい10の43乗倍の大きさになる。
※(「真空のエネルギー」は現在は「ダーク・エネルギー」と言い換えられている模様)。
<瞬時に始まったインフレーションで、難問を解決!>
・おそろしい規模で、初期の宇宙が膨張することを考えたことで(単なるビックバン理論では解決できなかった)次の問題を解決した。
@平坦問題
・平坦問題というのは、宇宙はどうして曲率が測定できないほど平坦なのか、どうしてユークリッド幾何学が成り立つほど真っ平なのかという疑問。ビックバン理論では、100桁ぐらいの精度で初期条件を与えないといけない(神様でないとできない)。
A地平線問題
・宇宙が始まっていらい、なにがしかの因果関係を持つことができる領域。現在全天にわたって3度Kの宇宙の背景放射(宇宙誕生から38万年後の宇宙の晴れ上がりの時から始まったマイクロ波放射)が見られるのは、全方向に因果関係があるということ。
B宇宙の大規模構造という難問
・現在、宇宙には「グレートウォール」と呼ばれる大きな壁のようなものがあり、その間はなにもない空間(ボイド)があって、蜂の巣構造をしていることがわかっている。
宇宙の初期(小さかった頃)にわずかにエネルギーのデコボコがあり、この「種」が仕込まれていたと考えられる。
Cモノポール問題
・モノポール(磁石のN極やS極が単独で存在すること)が宇宙の初期にたくさんできるはずだが、それは観測網に引っかからないだろう(Dと同じ理由)。
D消え残った物質―物質と反物質
・宇宙の初期には、物質と反物質がほぼ同数あったが、なぜ現在の宇宙は物質だけでできているかという問題がある。
物質が作られる領域も、反物質が作られる領域も、それぞれが指数関数的な膨張によって因果関係のないところまで極度に広がったと考えることができる。
<エネルギーのるつぼは、宇宙の“再加熱”にあり!>
・インフレーション理論は、ただ単に宇宙が急激に膨張しただけのモデルではなく、最近では「再加熱」という大切なプロセスがある。インフレーションが終わるときに(過冷却状態から)熱が開放されてエネルギーが増え、宇宙が再び火の玉になること※。
※(インフレーション理論によるビッグバン。宇宙の誕生が火の玉(ビッグバン)だとする考えは現在は退けられ、ホーキングやビレンケンが唱える、宇宙は無からプランク時間ぐらいの間にプランクの長さぐらい大きさのものが発生したとされる(仮の仮設)。素粒子よりはるかに小さい宇宙であっても「点」ではない有限の大きさを持つ。ここからインフレーションが始まりこのビックバンにつながるとする)。
・・・・・・
【短足・コメ】
だが、佐藤勝彦氏は、いつまでも「元祖インフレーションモデル」の成果に酔いしれているわけにはいかない。次のように締めくくり、その後「超ひも理論」や「プレーン理論」に駒をすすめていく。
アインシュタインが生涯の不覚と悔やんだという宇宙項に新しい生命が吹き込まれる日が近いのかもしれない。
・・・・・・
<大統一理論の単純な模型は、破綻した!>
・「元祖インフレーションモデル」の根拠である、単純な大統一理論は破綻したことになる。今や基礎の確かな「インフレーションモデル」は存在しなくなった。
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