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議論をタブーとしない、という意見は否定できない。しかし所謂「改憲論議」を行うなら、憲法全体の構造を理解してもっと先に行う事もあるような気がする。
侵略戦争否定の非武装と引き換えに、前主権者を「象徴存続」させた「1条」は、どうなのだろう?
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「9条議論をタブー視する状況 打破したい」
映画監督 宮本正樹さん
https://www3.nhk.or.jp/news/special/kenpou70/interview02.html
「憲法9条、あなたならどうしますか?」。そう問いかけられて、すぐに答えられる人はどれくらいいるでしょうか。戦争の放棄や平和主義を定めた憲法9条について、日常の生活で話す機会はなかなかありませんが、映画監督の宮本正樹さんは、「9条議論をタブー視している状況は危ない」と訴えます。そんな宮本さんが去年企画した映画が、改憲派、護憲派を問わず注目を集めています。気鋭の若手俳優たちが演じる20代の“普通の若者”が、「9条を変えるか、守るか」をテーマに70分以上議論を展開するこの作品。憲法の制定経緯や米軍基地問題など、意見が分かれる分野にあえて切り込んだ“問題作”です。
なぜこの映画をつくったのか、作品に込めた思いを聞きました。
−なぜ、この映画を作ろうと思ったのですか。
ここ数年、国会で憲法改正について発言する政治家が多くなってきたと感じています。
なかでも憲法9条は一番大切な問題です。国全体で長い時間をかけて議論して答えを出すべきだと思いますが、そうならないのではないかという強い危機感があります。国民的な議論がないまま9条の答えが出ることを避けるため、国民の方々に、映画を通して9条に関心を持ってもらいたいと考えました。
−一般の方々の間では、なぜ9条の議論が少ないと思ったのでしょうか。
日本社会に、9条議論をタブー視する空気があると思います。「飲み屋では政治に関する話題はするな」と言う空気、ありませんか。なかでも9条は最も避けられる話題ではないでしょうか。
例えば誰かが「9条を守る」と口にすると、聞いた人は「この人は平和主義者だ」と決めつけがちです。逆に「9条を変えたい」という人は、「軍国主義者だ」と決めつけられてしまうようなところもある。いわゆるレッテル貼りですね。このように日本社会では、簡単に二極化する傾向があると思います。この傾向はかなり強烈で、たとえば「憲法の9条ではない部分を変えた方が良い」と言っただけでも、「おまえは軍国主義者だ、最終的には9条を変えようとしているんだろう」と言われることもあります。簡単に結論を出してしまいがちですよね。
二極化すると、その双方が交わらない構図がずっと続いてきました。私は、自分と対立する意見を持った人をあえてリスペクトしたうえで、意見は意見として闘わせることが大切だと思います。でも今の社会では、自分と対立する意見を持った人がいると、その人の人格まで否定してしまう傾向があるように思います。そうなると互いに聞く耳を持たず、議論にならない。初めから問答無用の世界があります。
一般の方々はレッテルを貼られるのが嫌ですから、自然と9条の議論を遠ざけてしまいます。これがタブーとなってしまう理由ではないでしょうか。
私はそういう状況を打破したいと考えました。そして、護憲派、改憲派、両方の意見を平等に扱った映画をつくることで、関心を持ってもらえるのではないか、タブー視されている問題にアプローチできるのではないかと思いついたのです。
〈*画像〉(c)映画「第九条」製作委員会
映画は、政府が憲法9条改正の要否を判断するため、マイナンバーで無作為に選んだ20代の男女12人に9条を「破棄すべき」か、「維持すべき」かを議論させるというストーリー。全員一致の結論を出さないと部屋から出られない、という条件のもと、若者たちはどんな意見を闘わせるのか。
−登場人物を20代にしたのはなぜですか?
若い方に関心をもってもらいたいという思いに尽きます。選挙は18歳からになったので、10代も含めて憲法に興味を持ってもらいたいですね。
若者は政治や憲法に興味を持てない状態になっているように思います。それは貧困の問題があるからです。日本は「みんなで中流階級」の時代から、貧富の差が出る時代に変わってきていて、若者はその影響を大きく受けています。お金や気持ちに余裕がない人は、政治や憲法に興味を持つことができません。日々の生活に追われ、ご飯を食べることさえままならなかったら、憲法まで関心が及ばなくて当然です。これは非常に危険な状態だと思います。
仮に9条に関する国民投票があった場合、その結果の影響を大きく受けるのは若者たちだと思います。自分たちの未来に大きく関係する問題なのに、それに気づかないまま投票日を迎えてしまい、結果が出た後になって「知らなかった」ではすまされません。
若者に興味を持ってもらうためにはどうすれば良いのか。いろいろと考えた結果、主人公たちを20代にして、若者たちに知られている俳優に出演してもらうことにしました。
出演したのは今後活躍が期待される若手の俳優たちです。撮影を終えた後に聞いたのですが、俳優の方はみんな、覚悟をもって出演したそうです。憲法9条という政治的な要素が強い映画なので、自分のキャリアとして、この映画に出て正解なのかという悩みがあったようです。先ほども言った通り、レッテルを張られることにつながりますから・・。ですが俳優の方たちはみんな、脚本を読んで、「やっぱりこれは出るべき映画だ」と考え、勇気を持った選択をしてくれました。
−20代といっても、弁護士やいわゆるニートなど、立場はさまざまでしたね。
ギャルもいましたね(笑)。実は当初は、出演者全員を男性にする予定でした。少年事件の裁判を12人の陪審員が議論する、「十二人の怒れる男」というアメリカの映画をモチーフにしていたので、全員男性にしようとしていました。ですがプロデューサーから、「女性の意見を入れた方が良いし、絵柄から考えても男性12人は厳しい」という指摘を受けまして、男性8人、女性4人という設定に変えました。
職業も、フリーターやお笑い芸人、看護師などバリエーションをもたせました。私は若者の貧困に興味があって、若者が自分のやりたい職業や正社員になれない現状も描きたかったので、そういう人物も入れました。出演した俳優は、それぞれのキャラクターの感情を、難しいセリフに載せて芝居してくれました。
−撮影でこだわった点はどんなところですか。
現場の空気ですね。映画を撮影する場合、普通はカメラに映らない俳優の方には控え室で休んでもらうのですが、今回はすべての俳優に「自分の出番がなくてもそこにいてくれ」とお願いしました。同じ場所でシーンが続くので、雰囲気や緊張感を壊したくないと考えたのです。このため、何も話さず1日中座りっぱなしの俳優もいました。
−1日中ですか!
そうなんです。しかも12人全員が映るカットもあるので、リアクションはしなければならない。俳優の方からは撮影の合間、「まだまだお昼だ」「まだ、あと6時間すわっていなきゃならないんだ」という声も聞こえました。みんな苦労したようですが、一生懸命やってくれました。
12人が真剣に意見を闘わせるにつれ、話題は日本の戦争責任や日米安保、そして拉致問題など広がりを見せていく。議論から見えてくるものは何なのか。
−議論のテーマが非常に多岐にわたっていましたが、どう考えたのですか?
脚本を書くに当たって、自分が9条に関連して思いついた話題を箇条書きにしました。その後、日本の歴史などを本などで改めて調べましたが、専門家から意見は聞くことはしませんでした。
公開されたあと、観客の方の指摘で、出演者が語る国の名前に一部誤っていた点が見つかり、申し訳なく思いました。しかしそれ以外の間違いの指摘はなく、むしろ憲法を研究する大学の教授やジャーナリストの方から「よくできている」という評価をいただきまして、ありがたく思っています。
−もともと憲法に詳しかったのですね。憲法に関心を持ったきっかけは何ですか?
子どものころに住んでいた場所の影響が大きいですね。私は子どものころ、神奈川県の座間市に住み、近くには米軍の座間キャンプや厚木基地がありました。米軍の方を見て育ち、飛行機による夜間訓練の騒音も体験しました。家で眠れなかったり、好きなアニメを見ていても音がかき消されたりして、「アメリカの飛行機がなぜ飛んでいるんだ」ということを子供心に思ったのが原点です。その後日本の歴史に興味を持ち、憲法の成り立ちを知りました。
−映画のパンフレットに「九条を考えることは日本社会全体を考え、世界、地球すべてを考えることにつながる」という宮本さんの言葉がありましたね。
映画を見てくれた人にこの問題を考えてもらうためのメッセージです。映画では、こちらから知識や考えを押しつけることはせず、観客にも憲法問題を一緒に考えてもらうという手法をとりました。映画に出ているのは12人の登場人物ですが、途中からお客様たちは、「あ、これは私たちが考える問題なんだ」、「私たちが問われているんだ」ということに徐々に気づいてもらえるはずです。最後のオチは言えませんが(笑)。
去年7月以降、全国15カ所で上映され、今も上映の依頼が相次いでいる。息長く上映会を続けていきたいと考えているという。
−公開されてから9か月。反応はどうですか。
本当にさまざまですね。出演した俳優目当てのファンなど、もともと9条にあまり関心がなかった方からは、「9条に関心を持った」とか「これから自分で勉強しよう」という声を多く聞きました。映画をきっかけに憲法に関心を持ち、政治にも関心をもつという連鎖が生まれたとしたら、うれしいです。
もともと改憲や護憲の考えを持っている人からは、「これはとんでもない映画だ」と言われたこともあります。たとえば、強く護憲を主張する人から見れば、改憲派の主張がちょっとでも入っていれば「改憲映画」だといわれますし、その逆も同じです。そうしたなかで「自分と反対の意見について興味を持つことができた」と話す人もいました。
−今後はこの映画をどのように生かしたいですか。
上映会は毎年開きたいと思っています。1人でも多くのかた、特に若い人に見に来てほしいですね。政治の場での議論を、一般の方にも分かりやすく伝えていく責任を、1人の芸術家として果たしていきたいと思います。
−おわりに
これから毎年、憲法記念日には上映会を開きたいという宮本さん。9条をテーマにした映画を制作したいという思いの根本には、政治に関心を持つ余裕もない若者への危機感と、改憲派、護憲派の対立の中で十分な議論がなされてきたのかという日本社会への疑問があるように感じました。 9条の議論は、私たち一人ひとりに問われている。この言葉がもっとも印象的でした。
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映画は未見。だれか見ていれば感想を聞いてみたいが。
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