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社会や経済の環境が劇的に変化している時期に必要な概念とは http://www.asyura2.com/09/idletalk38/msg/522.html
現在のように、社会や経済の環境が劇的に変化している時期には、使い古された言葉という感もありますが、「コア・コンピテンス」という(経営)概念に再び注目することが非常に意義深いことであるように思います。この概念は、何も経営(企業等の共同体)だけの範疇に留まるものではなく、政治・経済(国家)、軍事(軍隊)、人生(個人)など広範に適用できる概念であると思っています。 一般に「コア・コンピタンス」とは、組織の持つ中核的な強みというような意味ですが、興味深いものでは、「ルーチンの束」というように定義される場合もある*ようです。この見方は、さすがに卓見であると思います。複合的、統合的にルーチン(繰り返し)を作り上げて、実践(実戦)で負けないレベルにまで鍛え上げるということが大事であるということです。(*過去に読んだ記憶のある論文からなのですが見つかりませんでした。すみません。) 業務はルーチン化されてはじめて効果的にその生産性や品質を高めていくことができます。軍事学でいう「戦闘ドクトリン」を実体化する過程と同じであり、訓練で徹底的に鍛え上げて実戦に耐えうるものとするわけです。しかしながら、コア・コンピタンスについては一般には、次のように限定的な範囲においてしか理解されていません。 「全社戦略で考えなくてはならない2つめの視点は(1つめはドメイン――投稿者注)、コア・コンピタンスの選択と育成だ。ロンドン・ビジネススクールのG・ハメル教授とミシガン大学ビジネススクールのC・K・プラハラッド教授は、コア・コンピタンスを「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならでの価値を提供する、企業の中核的な力」と定義している。つまり、コア・コンピタンスとは、企業内部に培ったさまざまな能力のうち、競争のための手段として最も有効なものを指す。」 すなわち、私たちは設定されたドメイン(いま商売をしている、またはこれから商売しようとする事業領域)において、コア・コンピタンスを選択し、育成しなくてはなりません。そして、コア・コンピタンスとは、他社には真似ができない自社独自の「企業の中核的な力」または、企業内で培った「能力」のうち、競争のための手段として「最も有効なもの」という説明なのです。 要するに、コア・コンピタンスとは、中核的な「力」とか、最も有効な「能力」ということなのです。そして、この具体的なものとしては、大雑把な捉え方をするならば、ブランド力、技術開発力、営業能力などを指すようであります。 しかしながら、こういったふうに「力」とか「能力」という言葉で表現されたとき、それがいかに有効なものであって、競争力を有するものであることが分かっても、何故そういう「力」とか「能力」ができあがったのかが分からない限り、なかなかピンと来ない概念であって、どうしたら私たちは、コア・コンピタンスを創り上げて有効に役立てることができるのだろう?と考え込んでしまわざるを得ないのです。 つまり「コア・コンピタンスの選択と育成が必要だ」といわれても、ここでいう「選択」とはどういうことなのか、どうやって「育成」すればいいのか、が分からないので、「うん、その通りだね」といったんは納得しても、その後に進展がなく、一向にコア・コンピタンスなるものは形成されないということになりかねないのです。 しかしながら、先ほど紹介しましたように、コア・コンピタンスを「ルーチンの束」と捉えた場合は、十分に競争力を発揮できる業務プロセスを、標準的なもの(ルーチン)として創り上げて、そのうえで各人が、繰り返して作業を行うことで、徐々に熟練することで業務のコストをさげ、かつ品質をあげて、競争力のあるものとして仕上げていくことを意味するでしょう。 しかし、ここでお気づきのように、この競争力のある「ルーチンの束」を創り上げるには、いかにして競争力を持たせることができるのか?という業務を設計するための「方針」が必要になります。つまり、アレクサンダー大王の戦闘ドクトリンがマケドニア・ファランクス*として実体化したように、業務を設計するための「方針」も、戦闘(競争)における方針(戦闘ドクトリン)でなければならないのです。 (*ちなみにファランクスとは、軍制や陣形などの軍の実体的な態勢のことを言います。――アレクサンダー大王は、「歴史上、最初に歩兵と騎兵と砲兵を組み合わせて戦うドクトリンを開発し、これに基づいて「野戦軍編成=マケドニア・ファランクス(歩兵陣形)」を確立した。」(PHP文庫「世界の歴史を変えた名将たちの決定的戦術」―松村劭)) つまり、顧客のニーズを開拓し、応えることのできる態勢(開発機能とか営業機能)をとり、競合の主力(強み)を(同質化などで)無力化し、競合に先じて差別化(付加価値)要素をつくり上げ、顧客に(商品・サービスなどの形で)提供することで絶対(または相対)優位にたち、競争(戦闘)を制することに他なりません。その未来の勝利の姿に(勝利の方程式に)確信が持てるからこそ、アレクサンダー大王はマケドニア・ファランクスを鋭い刃物のレベルにまで(最高の品質にまで)徹底的に訓練し、連戦連勝を勝ち取ることが出来たわけなのです。 言い換えるならば、コア・コンピタンスとは、多くは誤解されているような、分析を通して探し求めるものではなく、能動的・主体的につくりあげて、事業(競争)環境を積極的に変化させるために、あるべきものであるということなのです。だから、コア・コンピテンスは「中核的な力」というようなアイマイな直訳で理解するのではなく、「戦略基盤」*というような能動的・主体的な訳で捉えるべきでしょう。(*「事業環境の急変に伴う戦略展開形態の見直し」―渡辺護) つまり、戦略を企画してダイナミックな展開を図るための基礎・土台作りであるということになります。個人が成長し、日本の国家競争力を再びつけていく上での大事な視点として見ていただければ幸いです。
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