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日本を殺すスキャンダル狂い
傑作(0)2010/5/29(土) 午前 10:50
Newsweek 5/26発売号 通算1203号より
日本を殺すスキャンダル狂い
副題 『真の問題はリーダーシップの欠如ではなく、些細な醜聞に熱狂する社会だ』
要約
1、先進国の政界では、日本以外で、スキャンダルによって政権を失う事はほとんどない
2、代表例はビル・クリントンであり、サルコジもベルルスコーニもほとんど無傷だ。特にベルルスコーニはカーセックス、カネ、発言等あらゆる問題にさらされたが、未だ政権を維持している
3、一方、日本は違う。どんな些細なスキャンダルも、政治家の政治生命を奪うまで進行する
4、現在の鳩山首相の凋落ブリは、世界第三位の経済大国日本に、なぜ?冴えない政治家しか登場しないのか、世界に疑問を提起させている
5、一般的な回答では、世襲議員と自民党の派閥力学によるモノと説明されてきた
6、しかし、鳩山のケースはより根深い問題を示唆している
7、日本の国は政治スキャンダルに対して病的なまでに執着している
8、自民党が構築した『政官財による鉄の三角形』は弊害はあったが、こうした癒着関係は先進国(特にアメリカは凄まじい)でも存在する。
が、日本では、それにまつわる些細なスキャンダルが致命傷になり政治家の政治生命を奪う。
そんな国は日本ぐらいだ
9、強い政治指導力を期待された政治家が、他の先進国からみて些細な問題で失脚した例は多い
10、89年のリクルート事件により、竹下登は退陣(不起訴)したが、ヨーロッパ型の福祉国家をつくる構想を示した竹下が、もっと長く首相の座にいれば日本は少子高齢化に対応できたかもしれない
11、90年代はじめ、ポスト冷戦時代、世界が新たな安全保障への枠組みを目指す中、日本だけが『政治とカネ』の問題にあけくれた
12、そして長期政権を築いた小泉以降、スキャンダル絡みの辞任が相次いでいる
13、安倍政権下で発生した農水大臣達のコメディーさながらの大騒動は、安倍の成果、日中関係の改善という果実を吹き飛ばし、未だ、台頭し続ける中国に対し有効な政策、戦略的互恵関係を打ち出せない要因の一つにもなっている
14、福田政権の後を継いだ麻生太郎は個人攻撃の標的になった。高級バー、漢字の読み間違い、財務相の『もうろう会見』・・・くだらない問題ばかりがクローズアップされ続けた
15、中川は世界的な金融危機を乗り越える為にIMFに最大1000億ドルの融資を約束し、世界経済を救ったが、その成果を正しく評価せず、自民党は下野する事になった
16、確かに自民党政権は長く続きすぎたかもしれない
17、そして現在、政権が交代しても相変わらず、時の首相がスキャンダルで失脚した政治家と同じような運命を歩みつつある事で、一つの疑問が湧いてくる
スキャンダル(とおぼしきモノ)に見舞われた政治家を完膚無きまでにたたく日本の風潮は、極端過ぎはしないのか?
18、理屈の上では、透明性のあるクリーンな政治は有益なことだ
19、しかし、日本ではスキャンダルが政治の最大の関心事になってしまい、国家的な問題を解決する為の政策が二の次になってしまっている
20、野党とメディアは未だに、鳩山と小沢一郎民主党幹事長の『政治とカネ』の問題を糾弾し続けている
21、朝日新聞が3月に行った世論調査では、7月の参院選で『政治とカネ』の問題を重視すると答えた有権者は半数以上にのぼる
22、多くの日本人は、日本がいま直面している経済や外交の深刻な問題よりも、政治とカネというスキャンダルを追及する事が喫緊の重要課題と考えているようだ
23、政治家の『清潔さ』を過度に重視する風潮は、政治資金規正法をより複雑化させてしまった
24、今や、『スピード違反や税金みたいに恣意的なモノ』で、検察がその気になれば『ほとんどの政治家を逮捕できても不思議でない』状況になった
25、『カネのかからない政治』、この提案自体、現実離れしている。民主主義は政治家が活動する為にカネが必要であるからだ
26、政治資金規正法の複雑化は、ごく些細な違反を理由に有望な政治家の政治生命を奪う事態を招きかねない
27、ダークスーツをまとった特捜が政治家の事務所を家宅捜索した瞬間、この国の政策論争はすべてストップする。そして、メディアと世論は疑惑の政治家を袋叩きする
28、清潔至上主義でいいのだろうか?
29、日本のメディアは、政策をめぐる議論を報じるより、政争や政局を報じがちだ
30、政治家のスキャンダルを追及すれば、視聴率や売り上げ部数が稼げる。メディアは血に飢えたサメのように、新たな餌食を探し続ける
31、直面している数々の難題を乗り越える為に、日本の時の政権は腰を据えて政治に対し取り組む必要がある筈だ
32、しかし、日本のスキャンダルマニアは政治空白を作り続けている
33、元自民党政治家の鈴木宗男は政治家人生を通じて、ロシアとの関係改善に力を注いできた
34、資源大国ロシアとの関係改善は日本にとってプラスになり得るし、中国を牽制する材料にもなる
35、鈴木は日ロ関係改善に大きな成果をあげつつあった
36、が、鈴木は田中真紀子との確執が原因で、執拗なパッシングをマスコミから受け、収賄罪も浮上し、逮捕起訴された
37、鈴木は国政に復帰したが、以前ほどの政治影響力を発揮出来ないでいる
38、日本は自ら有力な政治家を失脚させることで、国際的な影響力を急速に失いつつある
39、政治とカネの問題で政治家を片っ端から糾弾して失脚させることが日本にとって本当に得策なのか、考えるべき時期に来ている
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