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四つの事件に見る"Statesman"の条件 岡野加穂留教授最終講義
http://www.asyura2.com/09/hihyo10/msg/662.html
投稿者 虹の仙人 日時 2010 年 6 月 03 日 16:53:36: ZmDTMI6bcHXKo
 

(回答先: 2000円のチョコで総理と副総理が辞任 スウェーデン 投稿者 虹の仙人 日時 2010 年 6 月 03 日 10:34:33)

保守中の保守 岡野加穂留元明大学長の郵政民営化反対に思う
http://www.asyura2.com/0505/bd40/msg/370.html
投稿者 ODA ウォッチャーズ 日時 2005 年 7 月 23 日 17:22:18: ilU7eLmFtsv5I に登場しています。

元ネタが有りました。

 X四つの事件に見る"Statesman"の条件
http://www.geocities.jp/clinicalpolitics/html/saishukougi5.html
 私は政治学を研究する人間として、今日まで四つの自分自身が大変ショックに感じる事件に遭遇しました。

 第一は1963年です。今から37年前に北欧での研究の帰りにイギリスのロンドンによりました時に、プロヒューモ・スキャンダルにあいました。貴族出身の保守党の国務大臣であり、将来の総理大臣というふうに言われたプロヒューモが、ちょっと言葉は汚いですが、プロスティテュート、要するに「ストリート・ガル・インザナイト」でありますが、これにプロヒューモが関係を持った。その一人の女性に、ロンドン駐在のゲーペーウーの責任者も関係を指摘されたときにプロヒューモは「さにあらず」と。うそを言いました。最終的には彼は駄目になりました。責任を取って英国国会議員を辞職し、大臣を辞職し、奥さんと二人で貧民救済事業に直ちに入りました。その数日後に英国の新聞にこういう記事が載っておりました。「恐ろしい事件があったけれども、世に恐ろしいのは、英国のことわざをあえて言えば、権力と酒にある。権力と酒は使い方を誤れば頭にくる」とあったのです。そして私はそれを機会に酒をやめました。権力にも近づかないようにしました。権力というのは近づいたらえらい事になります。

 旧約聖書にこのようなことがあります。「絶対に権力者と食事をしてはならない。権力者から食事を誘われた時は一度は断りなさい」とあります。権力というのは、すべて自分の論理で、その人を不幸にします。一定の距離が必要です。学問もそうです。人間関係もそうです。
 
 私は剣道で距離の間隔を学びました。私の剣道は北辰一刀流の柳沼長治という免許皆伝の水戸の剣士から剣道を習いましたが、一番大事なのが構えまして、先が少し触れる程度に行くのがいいのですが、先生が上手ですと怖いから下がってしまいまして、間が抜けますが、これを間抜けといいます。間抜けでは駄目なので先生が前に来なさいといわれて前に来ると間締めになるのです。間抜けと真面目です。次に経験したのが1974年のウォーターゲート事件です。このとき私は始めてテレビの衛生中継でワシントンから出演したのですが、東京のスタジオには東京大学国際関係論の某教授がおりまして、きわめてとんちんかんな質問を私に対してしていました。「トウダイ」のもと暗しです。

 ニクソン大統領辞任でワシントンは暗闇の中では、という東大教授の質問の対して私は、そんなことはない、独立記念日のように明るくて、これでアメリカが元に戻るかといった期待感でものすごく活気がありますと答えたら、ああ、そうですか、と。ぜんぜん物事を分かっちゃいない。このウォーターゲート事件でよもやニクソンは辞任しないと思った。ニクソンの盗聴が下院司法委員会でアメリカ合衆国憲法に違反するという結論が出て彼は大統領を辞任したのでした。ここが若作りのクリントンとは違うのです。クリントンは人間的にどうしようもない。どうしてこういう男が大統領になるのか。

 リーダーはすべてがいいとは思いません。だいたいくだらんやつがリーダーになるというのが原則ですね。(笑)いいリーダーはどうか。例えば明治大学ラグビー部。これは北島先生という、私はとても好きで好きで親父の次に尊敬していました。1910年生まれ(明治34年、丑年)。監督になったのが1929年(昭和4年)。この都市に日本に誇る女性弁護士を初めて出した、明治大学の女子部ができている。

 ちょっと時間があるので脱線しますが、私は学長になるまでラグビー部長をやっていました。学長になったらラグビー部長をやっていちゃいけないんです。時々違反するやつが出てくる。けしからんやつです。それはともかく、四年生が一年生に酒を飲ませて夜帰ってきた。そして道路の向こうから自転車が近づいてきたところを四年生の先輩が一年生に自転車に乗っている人を下ろせと命令した。

 体育会というのは軍隊調のところがあって、上の命令にはそのとおり服従する。一年生は通勤帰りの自転車から自転車の若者をひきづり降ろした。こちらはフォワードの選手ですから、ちょっとやっただけで自転車がひっくり返った。これで事件がおきた。

 困りまして、私はラグビー部長としてこれを処理しようと思い、北島先生には絶対に迷惑をかけない容易、私は対外的な処理を行いました。こうしていよいよ北島先生と私と私の同年代の五・六人でいましたところへ、北島先生が当事者の四年生を呼びました。先生は85-6でしたが、「お前が一番悪い」といって、げんこつでぽかーんと殴りました。85-6の先生が孫以下の子を殴る、これが本当の教育です。いま、先生で生徒を殴れる人がいますか。私は暴力を肯定しているわけではないですよ。これは本当にすごいです。それでその学生は「わるかった」と涙を流してラグビー部を退部したわけです。私は教育の原点とはそういうところにあるのではないかと思います。

 北島先生の話は何かと別の機会に本に書きたいと思っておりますが、話はそれましたけれども、ウォーターゲート事件であります。

 ニクソンは辞任をいたしました。大統領というのは日本では考えられないくらい国家を代表する権力の最高ポジションにいて、しかも全世界の民主主義の十字軍といったような顔をしている。どこでも顔を出す国家の大ボスです。それがやめると思わなかったのがやめたのです。大変驚きました。

 もう一つの経験は1996年であります。スウェーデンの社会民主労働党内閣の総理大臣、カールソンという総理大臣が、「自分は10年間総理大臣をやったので副総理に後任を託したい」ということを記者会見で発表しまして、議会でその手続きをやるように議長にお願いをしました。それで、いよいよ総理大臣になると思われる一週間ほど前ですが、現職の副総理のモナ・サリーヌさん、これは女性です。当時39歳と記憶します。大変美人の内閣副総理大臣であります。
 
 私の言う美人というのは、イングリッド・バーグマンを基準と致しますから、それ以外は美人ではありません。私の年齢からはイングリッド・バーグマン。昭和二桁になると違うんでしょうね。きっと。私の年齢はイングリッド・バーグマンになります。バーグマンよりきれいです。

 このモナさんがまもなく総理大臣になるという一週間ほど前に、首相官邸で閣議が終わりまして、モナさんはそこを出ました。左に50メートルほど行きますと、スウェーデン語でコンディットリーと書いてあります。英語でコンフェクショナリー、お菓子屋さんです。そこへモナさんが、お嬢ちゃんからたのまれたチョコレートを買いに入った。ポケットを探したら現金がないものですから、公務員公用カードでサインを致しました。

 モナ副総理・次期総理大臣がそこへ来たものですから、お客さんが「モナが来た、モナが来た」とみたのだそうです。モナさんは公務公用カードでサインをして、日本円にして2000円程度の、メイド・イン・スイスのチョコレートを買って帰ったそうです。

 ところがなんと、翌日です。ダーゲンス・ニヘーテルという、スウェーデンで一番大きな新聞、英語で言うとデイリー・ニューズですが、トップにこういう記事が出ました。「次期総理、モナ・サリーヌ副総理、公私混同の買い物?」。

 そこでモナさんは総理大臣のカールソンに記事が出た直後に会いまして、「不注意でこうなったのはまことに申し訳ない。伝統あるスウェーデンの総理大臣の職を汚すことにもなるし、スウェーデン民主政治を作った国会に対しても失礼な行為をしたのだから、今晩記者会見をやって内閣副総理大臣を辞職し、政界を引退する」といって、やめてしまった。これは非常に見事です。

 たった2000円。衆議院に適応しますと、日本国衆議院議員は全員やめなければなりません。参議院議員もやめなければなりません。大学教授も危ないです。

 第四の事件は96年、今から言えば二年前のちょうど今頃。ストックホルム市長のマッツ・ホルツ市長。これはなかなか面白い男です。たたき上げの社会民主労働党の副委員長です。内閣は社会民主労働党で、ドイツ社民党と同じように、第二インターナショナルの穏健な議会を通じての市民社会福祉国家をねらう、その政党の副委員長です。

 お客さんが来ますと必ず、ノーベル賞授賞式の後パーティーをやります。ストックホルムのすばらしいベネチアの庁舎みたいな、あの地下一階においしいスウェーデン料理がありますが、そこへ呼んで飲んだり食ったりするわけです。

 ついに新聞にこう出ました。「市長はお客さんが来ると、公用カードで飲んだり食ったりしている。これは汚職じゃないか」という。今度はホルツはなにをやったかというと、ストックホルム法務委員会に「自分の行為はスウェーデン実定法に照らし合わせて、違法であるかないか調べてほしい」と頼みました。

 およそ一月後に結論がでました。ちょうど私はストックホルム大学におりまして、友だちの教授が「今晩面白い記者会見があるから、見たほうがいいよ」というので、宿舎に戻ってテレビをひねったら、マッツ・ホルツはこう言っておりました。

 「ストックホルム法務委員会で私の飲んだり食ったりした行為に関して法的に調べたところ、スウェーデン現行法では、違法行為とは言えないという結論でありました。私の行為が違法行為でないという結論がでたことはありがたく受け止めます。しかし、税金を払っている市民の人から、たとえ違法でなくても、公用カードで飲んだり食ったりすることが正しいか正しくないかと聞かれれば、これは正しいとは言えない。スウェーデンは21世紀を前にして、今問われていることは、合法化非合法かではなく、正しいか正しくないかということである。私は違法でなくても、行為が正しいと言って胸をはれません。よってストックホルム市長を辞職する」と。

 1963年のプロヒューモ事件、74年のウォーターゲートスキャンダル、94年のモナ・サリーヌ事件、2年前のマッツ・ホルツ事件。この四つを比べてみましたときに、なぜ日本の政治家はこういうふうにやらないのか、これも非常に大きな疑問に思いました。

 日本の国会議員を政治家と考えるからいけないのではないか。政治家は英語ではステイツマンといいます。ちょっと程度の悪いのを政治屋といいます。これがつまり通称ポリティシャンという言葉をよく使います。日本は政治家と政治やくらいいしか書いておりませんが、私はアメリカにおりました時に、政界の俗語辞典を手に入れて呼んでおりましたら、ポリティカル・ホイーラーディーラーという言葉がございました。これは無理に訳しますと、「自分の利益のために政治を利用している輩」というような意味ですから、私はこれを「政治業者」と名づけました。

 そこで、政治家と政治屋と政治業者、三つに分類すると、日本の政治の分析ができるのではないか、これを臨床政治学的に当てはめてみまして"国会診療所で見ますと、ほとんどの政治家たちはポリティカル・ホイーラー・ディーラーである"というふうに思います。

 一昨年、ストックホルム大学を去るときに、学長が送別会をやってくれました。この学長はノーベル経済学賞選考委員会委員長です。政党は保守党所属で、与党の社会民主労働党とは敵対関係にありますが、なかなかすばらしい税法の研究家であります。別れに当たりまして昼食会をやりまして、専門化のスタッフに、「あなたが学生に講義したその内容を話してくれ」というので、このステイツマン、ポリティシャン、ポリティカル・ホイーラー・ディーラーの話をしました。政治家は5%(これは日本の話だ)、政治屋が10%、一番程度が悪いのが85%と黒板に書きましたら、学長が「大変岡野先生には失礼だが、スウェーデンでは逆だ」と言った。逆三角にしました。スウェーデンは政治家が85%、変なやつは5%くらいしかいないと言っておりました。ここが私は民主主義とデモクラシーの違いではないかというふうに考えたわけであります。

 例えば大阪府知事のノックってのがおりました。彼がやめる直前に、私は東京新聞のコラムで「ノックダウン」というのを書きました。その通りになりましたけれども。今、例えばノックを出しているんですが、ノックばかりじゃないんです。公人です。公人はパブリック・フィギュアというふうに言います。フィギュアはフィギュアスケートのフィギュアです。この公人に対しては、キリスト教国

家では、どんなに小さな疑惑に対しても厳しい挙証責任が嫁せられている。噂でも、そうでないという反論を、証拠を出して説明する責任が、公人には課せられている。

 日本はやっているか。やっていない。つまり、公人意識の欠如を隠すために政治の作り話をやってダークチェンジ(暗転)の手法で、日本の政治はうまく渡り歩くやつがトップになれる。少なくともキリスト教国家、西欧民主制国家というのは、政治のプロセスの内容を説明する説明責任を、権力者は持っております。主権者に情報公開して、それを熟知させて。同意を引き出すという手順を踏んでいるわけであります。その点ではわが国は全く違っている。

 なぜ、そのような違いがあるのかという観点から、どうも日本で言っている民主主義はデモクラシーとは違うんじゃないか、という観点に立ったわけであります。
 

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