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(回答先: バフェットの「予言」は3ヵ月以内に当たる! 11月に米ドル87円割れの大相場シナリオ 投稿者 gikou89 日時 2009 年 9 月 04 日 11:03:45)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090903/fnc0909030923009-n1.htm
かつて世界最大の保険会社だった米AIG(アメリカン・インーナショナル・グループ)の誤りを、ウォール街は今、繰り返しつつあるのかもしれない。AIGは絶対に当選番号が出ないと信じて安い宝くじを売りまくるという間違いを犯した。
この宝くじの名前は「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」。デフォルト(債務不履行)の場合に支払いを保証するデリバティブ(金融派生商品)だ。銀行や保険会社、ブローカーはまた、この商品を安く売り過ぎているように思える。
このようなギャンブル熱は、この夏の市場の特徴かもしれない。AIGに比べればはるかに小さいリスクであるとはいえ、ウォール街はどうも、教訓を学んでも片っ端から忘れる性癖があるらしい。
米政府とキャンベル・スープ、JPモルガン・チェースを比べてみよう。ブルームバーグのデータによると、米政府とスープメーカー最大手のキャンベル・スープの債務をCDSで保証するコストは同水準。JPモルガン・チェース債の保証にはほぼ3倍かかる。
米政府にとって大問題なのは巨額の財政赤字を積み上げつつあることだ。一方でスープ作りはリセッション(景気後退)の影響がかなり小さい商売だ。そして、過去2年には信用逼迫(ひっぱく)と住宅危機の影響から安全だった銀行は1行もなかった。
しかしながら、米政府は最悪の事態を防ぐために民間企業よりもはるかに多くのことができるし、政府はJPモルガンのような「大き過ぎてつぶせない」金融企業は破綻(はたん)させない意向を明白にしている
これに対し、キャンベル・スープ債の保有者はある朝目を覚まし、キャンベル・スープが巨額詐欺の犠牲になったり、経営陣が間違った賭けをして債務超過に陥ったりしていることを発見するかもしれない。この場合、政府に救済される望みは皆無と考えていいだろう。
どんな安全そうな企業にも大事件は起こり得る。平凡な牛乳会社パルマラットの事件を読者は覚えているだろうか。しかし、これらのリセッションへの耐性の強い企業の債務保証料には「ブラックスワン」と呼ばれるようなまれにしか起こらないが大きな影響を及ぼす事象が織り込まれていない。保証料は危機前ほどの低水準ではないものの、多くの銘柄で過去5年の平均に近い。
一部の米議員は26兆ドルの市場規模を持つCDSが市場混乱を増幅させたと考えている。投機家が狙った企業を攻撃する道具となった上に、市場操作の具になったという意見すらある。しかしAIGの例が示す通り、真のリスクを負っているのはCDSの売り手の側だ。万に一つのリスクが現実になる確率を過小評価した価格でCDSを販売したことが、AIG没落の主な原因だった。
AIGは巨額のCDSを販売した。その保証対象の証券は多くの場合、米サブプライムローンを裏付けとしたものだった。販売したCDSについて、AIGは少額の年間保証料を受け取った。AIGのモデルによる計算は、デフォルトリスクが微小だとの結果を示していたため、AIGは何も心配していなかった。そして、何もしなくても金が入ってきた。
だが今では納税者が十分承知しているように、AIGのモデルは不完全だった。住宅危機が襲ってきたとき、AIGは同じ番号の宝くじを山ほど売ってしまっていたようなものだった。その番号が突然、当選番号になったのだ。
今CDSを販売している金融機関は、AIGほど大きなリスクを背負い込んではいないだろうし、恐らくCDSを別のポジションのヘッジとして販売しているケースが多いだろう。その場合でも、安い保険と見なされるものをうまく利用してやろうと考える投資家は大勢いるものだ。
投資家は、ヒューレット・パッカードやIBM、サラ・リー、クラフトなどしっかりした企業の債務保証を債務1000万ドルについて年間4万ドル未満で債務保証を購入できる。多くの投資家は、この価格を地殻変動的事件に対する保険としては魅力的だと考える。
これらの企業がトラブルに巻き込まれるリスクは明らかに低い。しかし考えてみると、ウォール街の投資銀行が週末の間に姿を消すと誰が予想できただろう。米政府がシティグループの大きな割合を保有することになると想像できただろうか。
これらの企業のCDSの保証料は多くの場合、2年前に比べれば2倍だが、昨年秋や今年春先のピークに比べると75%も安くなっているものもある。
しかしながら、例えばマイクロソフトのような企業の5年先、10年先を見通すのは容易なことではない。マイクロソフト債1000万ドルの年間保証料は3万ドル強だ。パソコン基本ソフト(OS)市場でほぼ独占状態にあり営業キャッシュフローは大幅なプラス、バランスシートは堅固で格付け「AAA」という条件を見ると、これは妥当と思われる。
一方で、未来がどんな技術をもらすかは誰にも分からない。10年前の夏、グーグルは初めてのプレスリリースで2500万ドルの事業資金を得たことを公表した。今この瞬間にもどこかの車庫で新興企業が、明日の業界リーダーへの第一歩を踏み出しているかもしれない。
安全そうに見える企業にも予測不可能な事象が起こり得るなら、安価な保険を売りまくっているウォール街が再び泣くことがあってもおかしくない。