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■ 概要
衆議院で7月14日より審議がはじまった自然エネルギーによる電力の全量買取制度に関する法案については、各方面から電気料金への影響など、将来のコスト負担に関する議論が多く聞かれる。しかしながら、この電気料金への影響を気にするあまりに、「自然エネルギーを日本国内に本格的に普及させる」という本来の目的を見失いがちにも見える。いまこそ、2020年までの自然エネルギーの中期導入目標を欧州各国並みの30%以上に高く設定し、それに向けた議論をはじめるべきではないだろうか。そもそも日本の様に自然エネルギーの普及があまり進んでいない国にとって、この自然エネルギーによる電力の固定価格買取制度(Feed-in Tariffs, FIT)は、民間投資により自然エネルギー普及を進める画期的な制度であり、すでに世界中の多くの国や地域で実績がある(下記関連資料を参照)。
そこで、このペーパーではFIT制度に対する一般的な質問である電気料金への影響について、その疑問に答える。
■ FIT制度において、どのように金額が電気料金に付加されるのですか?
電気料金に付加される金額は、制度開始時から導入される自然エネルギー発電設備による発電量と、発電事業者からの買取価格により決まりますが、この買取費用から化石燃料を減らしたメリットを差し引いて、全電力需要家の電気料金に均等に付加されます。この様な電気料金への付加はすでに始まっており、今年4月から開始された「太陽光促進付加金」が東京電力でkWhあたり3銭となっています。太陽光発電以外の風力、地熱、小水力およびバイオマスによる発電を含むFIT制度が始まると、kWhあたり数10銭のレベルからスタートして、標準的な一般家庭で1カ月あたり数百円が電気料金に付加されます。それ以外に石油や天然ガス等の化石燃料の価格が反映される燃料費調整制度があり、昨年よりもすでにkWhあたり1円以上電気料金が増えています。今後、化石燃料の価格上昇に伴いこちらは1カ月あたり数百円から数千円の電気料金の上昇が予想されます。
■ 将来、電気料金へ付加される金額はどの程度になるのでしょうか?
最初の数年間は、kWhあたり数10銭のレベルですが、新規の自然エネルギーによる発電量が全発電量の4%を超えるあたりでkWhあたり0.5円程度、現在のドイツなみの10数%程度で1〜2円程度、2020年に30%を超えた場合でも3円程度となる試算をしています(図1)。一方、もしこのFIT制度により自然エネルギーの導入を行わなかった場合、化石燃料の高騰に伴い、将来、10円/kWh以上の電気料金の上昇も考えられます。これに対してFIT制度により自然エネルギーを導入した場合には、化石燃料による電気料金の上昇を大幅に抑制することができます。なお、経済産業大臣などからのコメントで、付加金額の上限を0.5円/kWh程度に想定するというものが最近ありましたが、自然エネルギーの導入目標をより低く想定しているものであり、化石燃料に対する現在の燃料調整費制度により想定される最大7円/kWhの電気料金の上昇と比較しても、あまりにも低い想定と言わざるを得ません。
図1:FIT制度および化石燃料による電気料金への付加金額の試算(ISEP)
(2020年自然エネルギー38%、化石燃料価格はIEA予想の2倍の場合)
■ FIT制度により電気料金は上がりますが、逆にどの様なメリットがあるのでしょうか?
FIT制度では、いわゆる財政(税金)による負担を伴わず、補助金に頼らない民間主導の制度として様々なメリットを期待することができます。そのひとつが、経済や雇用への効果です。ドイツではすでに年間3〜5兆円規模の自然エネルギー事業への投資がこの制度により生まれていますが、日本においても毎年6兆円規模の事業への投資が期待できます(図2)。電気料金への付加金による自然エネルギーに関する負担を最大で年間2兆円以下に抑えながら、化石燃料に対する負担も最大で年間7兆円程度抑制すると試算しています。FIT制度による雇用効果も各国の実績から数十万人規模生まれると期待されます。特に自然エネルギー事業では、資源の豊富な地域での経済・雇用効果が期待され、エネルギー自給率の向上やCO2削減といった他の効果と合わせて、多くのメリットを各地域にもたらします。さらに、本格的な導入に合わせて導入コストの低減が進むことも期待できます。合わせて、太陽光発電、洋上風力発電、地熱発電、水力発電、送配電技術(スマートグリッド)など日本の優れた技術を国内で普及させると共に、急成長する海外市場へのさらなる展開も期待できます。
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