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朝日新聞夕刊連載の「経済危機下のニューヨークを歩く:3)ミッドタウン三番街 」2009.03.03 の記事です。
スーパーマーケットにとって、食品を売るのは金を儲けるためであって、お客に食べさせるためではありません。ましてや、お金を払わない市民が店先で飢えていようが、なにもカンケーネーのです。売れない食品はただのゴミです。これが資本主義です。http://sinkoku.at.webry.info/
≪以下記事の引用≫
(経済危機下のニューヨークを歩く:3)ミッドタウン三番街 ごみ箱の中、新鮮な食品
2009.03.03 東京夕刊 2頁 2総合 写図有 (全944字)
《ビュッフェテーブルにはきらびやかなオードブルや、まだら模様の野菜サラダとぴったり並べられたスパイスつきのベークドハムや、ほれぼれするような黄金色に焼き上げられた、豚や七面鳥のかたちをしたパンなんかが揃っていた。
−−「グレート・ギャツビー」 1925年 スコット・フィッツジェラルド著(中央公論新社)》
午後10時、マンハッタンはミッドタウンの三番街。年齢も身なりも統一性のない男女約20人が、スーパーマーケットの前に集まっている。
突然、ごみ箱をあさり始めた。通行人がけげんな表情で通り過ぎるのもかまわずに。
1軒目。ごまのベーグル、クロワッサン、チョコレートペストリー……。
「こりゃ完璧(かんぺき)だね」「全部手つかずの焼きたてだよ」
この集団の名前は「フリーガン」。過激サッカーファンのフーリガンではないし、ホームレスでもない。大量生産・大量消費の仕組みに異議を唱え、ごみとして捨てられている食料を持ち帰って自家消費している市民グループだ。
勇気を出して一口、ごみ、ではなく捨てられたベーグルをかじってみた。うまい。普段、食べているものと全く変わらない。一度、心理的な壁が崩れると、〈もったいない〉という気持ちがふつふつとわき上がる。
2軒目。トマト、キュウリ、パパイア、セロリ、リンゴ、ズッキーニ……。
この店のごみ箱から出てきたのは、1家族が1カ月食べ続けても足りるほどの新鮮な食品だった。1軒の一晩のごみでこれなのだから、全米の食料品店が年間に捨てる総量は想像もつかない。
昨年9月以降、この奇矯なグループの活動に関心を寄せる人が増えている。半年前から参加し始めたという統計アナリストの男性(50)は、こう話した。「今の仕事だって来年はどうなるかわからない。もし失業したら、この経験はきっと役に立つよ」
ごみあさりツアーに参加する人々は増え続ける一方で、食料品店が捨てるごみは、経済危機以降も減っていない。
3軒目。マッシュポテト、タピオカ、溶けかけのアイス、ペットフード……。
もしニューヨーカーが一斉にごみをあさり始めたら。捨てられた食品を手に取りながら、そんな風景を想像した。(ニューヨーク=真鍋弘樹)
【写真説明】
深夜、スーパーマーケット前には「フリーガン」があさったゴミが集められた=飯塚悟撮影