★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK56 > 788.html
 ★阿修羅♪
第101回 東大の「産業総論」で露呈 日本人の知力崩壊が始まった (2007/03/16)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/788.html
投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 10 日 14:24:13: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 立花隆さんの「メディア ソシオ-ポリティクス」の海外アーカイブを阿修羅のスレッドでまとめて保存してくれないかと、。 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 05 日 18:06:37)

第101回 東大の「産業総論」で露呈 日本人の知力崩壊が始まった (2007/03/16)
http://web.archive.org/web/20071202220537/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070316_rotei/

2007年3月16日

 私はこの10年来、東大工学部の「産業総論」というオムニバス授業の1コマを受け持っている。この授業は、さまざまの産業界の現場にいる人が入れ代り立ち代り登場しては、それぞれの産業界の現状と未来について語るという授業で、私の担当は、日本のメディア・ジャーナリズム界についてである。

 授業の評価は、「どの産業界についてでもよいから、その未来について思うところを述べよ」という課題でなされる。

 
プログラミングコンテストで勝てない日本
……………………………………………………………………
 オムニバスだから、基本的評価は学科の担当教官にお願いして、優秀な答案だけ読ませてもらった。低レベルの答案は読むだけ時間のムダだが、優秀な答案は、学生のものでもなかなか考えさせる内容を含んでいて面白いのである。

 今回は、計数工学科のT・S君の答案を読んでいて、ウーンと考えこんでしまった。

 彼はプログラミングが好きで国内外のプログラミング・コンテストによく出たりしている。その経験からいって、日本の情報産業に未来はないとしか思えないという。

 プログラミング・コンテストでは、ACM/ICPCという大学対抗戦が世界で最も有名なコンテストで、国内戦では毎年200チームが参加するが、そのうちまともなプログラミングが書けて、実質的な競争に参加できるのは、上位10チームぐらいで、あとの190チームはワンランク下で、まともな競争相手にならない。

 
next: 上位10チームにしても、上位2チームぐらいが世界大会にやっと出場資格
http://web.archive.org/web/20071202220537/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070316_rotei/index1.html

 上位10チームにしても、上位2チームぐらいが世界大会にやっと出場資格が得られるというレベルで、その2チームも世界大会に出ると、中国やアメリカなどのチームにコロリと負けてしまうレベルなのだという。

 
グーグルはコンテストで優秀な学生を囲い込む
……………………………………………………………………
 国際的なプログラミング・コンテストは、ACM/ICPC以外にも、巨大IT企業がスポンサーになって、いろいろ行われているが、その本当の狙いは、コンテストを通じて若手の優秀な技術者をいち早く発見して囲い込んでしまおうというところにある。

 T・S君も、そういうコンテストの中でも有名なグーグルが主催する“Google Code Jam”というコンテストに参加したところ、予選で優秀な成績をおさめたので、ニューヨークで開かれた本選会に招待された。そこには書いてなかったが、もちろん、招待というからには航空運賃もホテル代も向こう持ちだろう。

 向こうでは、グーグルの本社に招待されて、その技術力とか素晴らしい労働環境(つい先だって、NHKでグーグル本社内の様子を紹介するドキュメンタリー番組があって、その夢のような労働環境の一端が紹介されていたが、あれである)とかをいろいろ紹介された。

 帰国してからも、向こうから次々にリクルーティングの働きかけ(具体的には書いてなかったが、給与の提示も日本の企業とはくらべものにならないものがあったはず)がつづいているという。

 
next: そういうプロセスを経て、情報に強い優秀な人材は
http://web.archive.org/web/20071202220542/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070316_rotei/index2.html

 そういうプロセスを経て、情報に強い優秀な人材はいまどんどん外資系企業に引き抜かれつつある。今年、東大の情報系のいちばん優秀な人材が集まっている情報科学科の修士課程卒業生のトップグループはドサッとまとめてグーグルに抜かれてしまったという。

 あのNHKのドキュメンタリーにもあったが、いまグーグルは世界中の優秀な人材をかき集めているところなのである。

 日本の情報産業の弱さとして、プログラミングの水準の低さがあることは前から指摘されていたが、全体の水準が低いところにもってきて、若手の優秀な人材がどんどん抜かれてしまうのだから、日本の情報産業に未来はないという結論になる。

 
基本的な頭の働かせ方が大問題に
……………………………………………………………………
 ではどうすればいいのか。T・S君は、遠まわりのようだが、日本の小中学校の数学の水準を上げるところからはじめるしかないだろう、という。

 プログラミングというのは、要するにアルゴリズムの記述であって、アルゴリズムとは、要するにコンピュータにやらせる計算の手順のことである。それに必要なのは高等数学の知識というより、数学的にものごとを考えられるかどうかという基本的な頭の働かせ方である。

 コンピュータのプログラミングの要点は、いかにすれば複雑な計算を分解して単純な計算の集積に変えてしまうかを考えるところにある。

 
next: コンピュータはかけ算すら足し算の繰り返しとして計算する
http://web.archive.org/web/20071203211258/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070316_rotei/index3.html

 コンピュータはかけ算すら足し算の繰り返しとして計算する。そういう数学の基礎中の基礎をちゃんと理解しているかどうかが最も重要なのだ。いいかえれば小中学校時代に算数・数学の基礎をしっかりやらせるかどうかが決定的に重要なのだ。

 
日本の国力の基礎部分が崩壊しつつある
……………………………………………………………………
 ところが、ゆとり教育のせいか、あるいはそれ以前の問題からか、いま日本の大学生の多くが小中学校レベルの算数・数学すらできないほどに基礎数学力がダウンしている。

 そのあたりの事情は広範な調査にもとづいて、だいぶ前から戸瀬信之、西村和雄氏らによって指摘されている(「分数のできない大学生)」「小数のできない大学生」「算数のできない大学生」「大学生の学力を診断する」)。

 これらの本を読んで、日本の大学生の基礎学力崩壊のデータを見ると本当にゾッとする。私は、安倍首相のとなえる復古主義的、道徳教育的、国家教育管理型「教育再生」に賛成するものでは全くないが、「ゆとり教育」のいきすぎをやめて、小中学生に基礎学力をしっかり身につけさせるという方向の教育改革には大賛成である。

 問題はもはや、情報産業とかプログラミングの世界の問題ではない。日本の国力の基礎部分が崩壊しつつあるという問題なのだ。

 小中学校レベルの算数すら十分にできない連中が大学にゆうゆうと入ってきて、その欠落を補うこともなしに、そのまま社会に送り出されてゆくというレベルの大学がゴロゴロあるという国に日本がなってしまっているというところが問題なのだ。そういう連中があと10年もすれば日本の各界で中堅的担い手として登場してくる。そんな国に未来があるわけがないではないか。

 
next: ウソだと思うなら先の戸部・西村氏の4書のうち
http://web.archive.org/web/20071203211303/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070316_rotei/index4.html

 ウソだと思うなら先の戸部・西村氏の4書のうち、岩波新書だからいちばん入手しやすい、「大学生の学力を診断する」を手にとって読んでいただきたい。

 
総社会的知的レベルダウン現象に悩まされることに
……………………………………………………………………
 今年から、大学には、「ゆとり教育100%」つまり、学校に入ってから全過程ゆとり教育でやってきましたという連中が入ってくるようになって、大学の先生方をとまどわせている。

 「このところ大学生の質がどんどん低下するばかりと思っていたら、今年はそれに輪をかけてひどい」という声があちこちで聞かれる。

 彼らが大学を出て一般社会に出ていくのはあと4年後のことになる。ゆとり教育の是正措置が少しはじまりかけたとはいえ、それが効果をあらわすのは、ずっと先になる。

 当分の間日本は、ゆとり教育で頭がこわれた連中がまき起こす総社会的知的レベルダウン現象に悩まされつづけることになる。その間に日本という国がこわれてしまわねばいいがと最近本当に心配している。

 
立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月 -2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。2006年10月より東京大学大学院情報学環の特任教授。 2007年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK56掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。