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(回答先: 第88回、第89回と阿修羅サイト内検索でありました。申し訳ありません。 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 10 日 14:05:53)
第91回 平沼赳夫一人を男にした郵政造反議員の復党問題 (2006/11/28)
http://web.archive.org/web/20061201202807/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/
2006年11月28日
自民党の郵政造反議員(郵政民営化法案の反対組)の復党問題で男を上げたのは、平沼赳夫・元経済産業相だけだったのではないか。
復党した11人は、政治家として大切な筋目を通すことができなかったという点において、男(女)を大いに下げた。
そして、中川秀直幹事長は大物幹事長というか大物調整型政治家に化けるためにぜひとも必要な、調整能力を発揮できなかった。大物(候補)であれば、こういう場合、窮地に立たされても、関係者全員にあまり不満が残らない形で決着をつける方策を考え出す知恵が働くものだが、そういう知恵を全く出すことができなかった。その点において、男を下げた。
そしてまた安倍首相は、なんの指導力も発揮できず、中川幹事長にただ引きずられるままで終わったという点において、大いに男を下げた。
安倍首相の無策と健康問題
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安倍首相で何よりびっくりしたのは、その無能無策ぶりより、NHK夜7時のニュースでマイクを突きつけられたときのその表情である。
それを見た人はみんな記憶に残っているだろうが、その表情は異常としかいいようがなかった。両眼とも、眼のまわりが真っ黒だったのである。黒というよりは蒼黒く、誰か暴漢に襲われて眼のあたりをなぐりつけられたのではないかと思ったくらいだ。それよりさらに心配だったのは、その青黒い部分の周縁部に妙な黄色とも橙色ともつかない部分がにじみ出すようにして広がっていたことだった。まるで、肝臓を悪くした人にあらわれる黄疸のようだと思った。
next: どう見ても100%健康な人の肌の色ではなかった
http://web.archive.org/web/20061201202807/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/index1.html
どう見ても100%健康な人の肌の色ではなかった。ただ、このとき私が見たのは、高画質のフルハイビジョンTVだったから、普通のテレビだともう少し病的な印象が少なかったかもしれない、ということを申し添えておく。
さらに驚いたことは、同じニュースの中に、午前中の安倍首相、昼すぎの安倍首相の姿も映っていたのだが、そちらのほうは、それほどひどい表情をしていなかったことだ。
かねがね政界では、安倍首相が健康問題でいろんな不安をかかえているという説が流れている。
政界通の友人に電話をしてみると、
「そりゃあヤバイな」
といった。
「7時のニュースを見なかったからほんとのところはわからないけれど、それほど顔色が悪いというのは普通じゃない。もともと、体質が弱い上に、病名は明らかにされていないが、持病があるということはわかっている。前から、午前中は元気だけど、だんだん調子が落ちて、夜まで体がもたないので、夜の予定は努めていれないようにしているということだった。夜の7時で、それほど体調不良に見えたということは、もしかして、健康不安の原因といわれる持病が悪化しているのかもしれない」
ということだった。
そういえば最近、ある週刊誌が、安倍首相の夜の予定が、歴代の首相の中で最も少ないということをデータにもとづいて特集記事で取りあげて、政治家は人と会うのが商売なのだから、ブレーンなり、いろんな業界人なり、もっとどんどん人に会って、独自の情報収集をしなければ、政治家として怠慢ではないかというような論調をはっていた。しかし、夜の予定が怠慢のせいではなくて、健康のためだったとしたら、もっと問題だ。
next: 安倍政権のリスクファクター
http://web.archive.org/web/20061210030254/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/index2.html
安倍政権のリスクファクター
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前に書いたことだが、安倍一族は短命の家系で、墓誌から得られたデータによると、男子は死亡時の平均年齢50歳に達していないという。人の寿命を左右する要因はいろいろあるが、いちばん大きな要因は遺伝子だという。誰でも知っているように、長命の家系の人は長生きしやすいし、短命の家系の人は、早死にしやすい。
安倍家は父方は短命の家系だが、母方の岸家は長命のようだから、どちらの遺伝子をより多く受け継いでいるかによって、安倍首相の寿命は相当違うだろう。
家系の長短命と個々人の長短命はまた自ら異なるが、こうなってみると、安倍政権の最大のリスクファクターは、安倍首相の健康問題のような気がする。
もし安倍首相が急に倒れるようなことがあったら、自民党政権はいったいどうなるのだろう。安倍首相の後継者は誰になるのだろう?と質問をしたら、電話した友人はウームとうなって、
「それはむずかしい。衆目の一致する後継者なんていないから、自民党は大混乱におちいるだろう」
といった。
それからしばらく、個々の予想される候補者をあげて、安倍首相の予想外の退陣があった場合の総理大臣候補者評をして、それはそれで面白かったのだが、ここではあまり話を先走りさせることはやめよう。
ただ、今度の復党問題で、その存在感を誰よりも示した平沼赳夫は、あれで潜在的な候補者の一角におどり出たといえるのではないか(もちろん、復党が前提だが)という点で意見が一致した。
また、混乱が長びく場合は、小泉カムバック論が出てきて、誰か有力者が大声で小泉再登場論を叫ぶと一挙に流れができる可能性があるという点でも意見が一致した。
next: 全体主義国家でしか起こらない異常事態
http://web.archive.org/web/20061210030313/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/index3.html
全体主義国家でしか起こらない異常事態
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だが、今回の復党問題で、私が何よりも不思議に思っていることは、世論の大勢が復党に反対していることだ。
私にいわせれば、郵政法案に反対したというだけで、反対議員を党から追放して刺客まで放つという、あの小泉政治のやり口のほうがよほど異常だ。
アメリカのような民主主義国家では、あのようなことは決して起きない。
アメリカでは、一人ひとりの議員の一つひとつの法案に対する賛成・反対の投票行動は完全に自由だ。共和党の大統領だからといって、共和党議員全員の投票行動を縛るなどということは絶対にできない。
民主主義国家では、どのような人に対しても、政治活動の自由は保障されている。だから、アメリカでは、政府提出の法案に対しても、すべての議員が自由にその意志を表明する。
政府提出の法案が通りそうにないときに、大統領が個々の議員に直接電話を入れて、賛成票を集めるなどということがよく行われている。大統領がどんなに頑張っても賛成票を十分に集められなかったら、大統領もいさぎよく法案をあきらめる。
これが民主主義国家では普通なのである。党で賛成反対を決めたら、あとは党所属議員全員が一糸乱れずその通りに行動するなどということは、全体主義国家の全体主義政党でしか起こらないことである。
next: 議員の政治活動の自由を守れ
http://web.archive.org/web/20061210030330/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/index4.html
議員の政治活動の自由を守れ
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2005年の郵政国会で、小泉が取った行動のほうが、民主主義の原則にてらして、よほど異常なのである。
あそこで、日本は一種の独裁政治、一種の全体主義におちいってしまったのである。
いま起きている政治の異常は、あのときの小泉政治の異常を正常に復元させる過程で起きている異常というべきだろう。
多くの人が、小泉政治の異常さにいまだに眩惑されたままになってしまっていて、異常を正常に復元させるのではなく、正常を異常に合わせることを要求している。
どこに戻らなければならないのか?
自民党が自由で民主的な政党にとどまる方向にであることは明らかだろう。
自民党が、共産党のような全体主義政党になってはいけない。
日本が民主国家として健全な国家に育っていくことを願うなら、ここが正念場だ。
一人ひとりの議員の政治行動の自由をあくまで守ることだ。
next: 戦前の、あの大政翼賛会政治の時代ですら
http://web.archive.org/web/20061210030342/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/061128_fukutou/index5.html
戦前の、あの大政翼賛会政治の時代ですら、日本全体を覆おうとしていた全体主義に抗して、非翼賛の立場をつらぬいた議員たちが数十人の規模でいた。歴史が教えるところは、彼らが正しかったということである。
彼らがいたからこそ、日本の政治は100%の全体主義にはならなかったのである。
そして、尾崎行雄、鳩山一郎、芦田均、大野伴睦など、戦後の自由民主党の指導者になった人たちの多くが、その輝かしい経歴を持つ非翼賛議員たちだったということを思いだすべきである。
いま平成の非翼賛議員として、その筋目をつらぬいているのは、平沼議員ただ1人といってよい。
私は多くの点において平沼議員とは政治的見解を異にしている者だが、日本の民主主義を守るために、あくまでガンバレと声援を送りたい。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月 -2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
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