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第100回 地球存続のカギ握る「核融合研究」最前線 (2007/03/14)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/787.html
投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 10 日 14:22:22: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 第99回 画像処理技術に革命もたらした東大安田浩教授の最終講義 (2007/03/02) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 10 日 14:20:54)

第100回 地球存続のカギ握る「核融合研究」最前線 (2007/03/14)
http://web.archive.org/web/20070316101444/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/

2007年3月14日

 このところ連日のように地方をとびまわっていた。

 主として、この3月21日(水 祝日)に有楽町の東京国際フォーラムで開催される予定の自然科学研究機構主催のシンポジウム『宇宙の核融合・地上の核融合』の準備のためである。

 
日常生活とリアルに結びつく核融合
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 自然科学研究機構主催のシンポジウムは、昨年3月に「見えてきた!宇宙の謎。生命の謎。脳の謎──科学者が語る科学の最前線」と題してサンケイホールで開いたのが第1回目だった。

 日頃サイエンスコミュニティの中に閉じこもって、仲間うちの討論しかしない科学者たちが、公衆の前に出てきたときにどれだけ一般の人向けの話ができるか、やってみるまでは不安のかたまりだった。

 お客さんにあまり来てもらえず、大きな会場がガラ空きになってしまうのではないか。あるいは、科学者がみんな小むずかしい話をして、お客さんが途中で眠ってしまったり、つまらなくて途中で帰ったりしてしまうのではないかなどと心配した。

 ところが、案ずるよりは産むがやすしで、やってみたら大入り満員で、午前中から午後5時すぎまでという長丁場のプログラムだったのに、途中で帰る人はほとんどいないというほどの大成功をおさめた。

 2回目は会場を有楽町の東京国際フォーラムに移して、「爆発する光科学の世界──量子から生命体まで」というタイトルで行ったが、これまた大成功をおさめ、満員の聴衆が遅くまで、科学の最先端の話題に耳を傾けてくれた。

 
next: 世界認識は核融合の光の上に成立している
http://web.archive.org/web/20070316101444/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/index1.html

世界認識は核融合の光の上に成立している
……………………………………………………………………
 私はこのシンポジウムの最初の企画立案者で、1回目も2回目もプログラムコーディネーターとして、誰に何を語ってもらうか、プログラムの組み上げに骨を折ってきた。

 それだけでなく、話の内容が一般大衆の理解のレベルに合ったものになっているかどうか、東大教養立花ゼミの学生たちを連れていって、事前に予行練習的に話を聞かせてもらった。そして「そこは難しすぎる」「それでは専門的すぎて一般の人の興味を引けない」などといったアドバイスしてきた。

 今回もその予行演習的発表を聞かせてもらうために、学生を連れて岐阜県土岐市の核融合科学研究所や、大阪大学のレーザーエネルギー学研究センター(レーザー核融合の研究をしている)などを訪問してきたのである。

 今回のシンポジウムの基本コンセプトは、核融合という、一般の人が自分には無縁と考えがちの現象が、実は万人にとってきわめて身近な現象であることをまず知ってもらおうということにある。

 誰でも夜空を見上げたときに、眼の中に入ってくる光はすべて核融合の光である。恒星はすべて核融合で光っているからだ。

 恒星以外で光っている天体は、惑星と月だが、そのどちらも自力で光っているわけではない。太陽の光を反射して光っている。その太陽は、核融合で光っているのだから、結局、夜空で光っているものは、核融合が発する光なのだ。

 宇宙は核融合で満ち満ちている。

 宇宙にある光はみな核融合に由来している。そして昼間我々が見る一切のものは、太陽の光を受けることで見えているわけだから、結局我々の世界認識はすべて核融合の光の上に成立している。

 
next: 水素爆弾技術を飼いならす
http://web.archive.org/web/20070316101256/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/index2.html

水素爆弾技術を飼いならす
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 地球上のあらゆる生命体は、もとをただせば太陽エネルギーに端を発している。植物は光合成で自分の体を作り、動物は植物を食べて自分の体を作る。つまり、あらゆる生命体の「もと」は核融合なのだ。

 生命体だけではない。あらゆる物質の根元をなしている元素もまた、もとをただせば核融合に由来している。あらゆる物質は、ビッグバン以来の物質進化の果てに生まれてきたものだが、物質進化は基本的にさまざまの核反応の上に成立している。地球上の重元素はすべて、大昔、宇宙のどこかで起きた超新星爆発の過程で起きた核融合のなれの果てだ。

 このように、もともとは時間的にも空間的にも宇宙スケールの現象でしかなかった核融合を地上で実現しようとしているのが、エネルギー技術としての核融合研究である。

 それははじめ、「水素爆弾」という人類が持った最強の破壊技術として生まれた。

 原子爆弾という破壊技術を飼いならすことによって原子力発電が生まれたように、水素爆弾技術を飼いならせば、核融合発電が可能になるのではないか、そしてそれが可能になったら人類は究極のエネルギー技術を入手したことになるというので、いま世界中で核融合の研究が進んでいる。

 しかし、爆弾のような形で一挙に爆発的なエネルギーを取り出すことは可能でも、核融合現象を制御可能な形でゆっくり進行させて、人間がそこから低レベルのエネルギーを長期間にわたって引き出していくことはきわめてむずかしい。

 
next: トカマク方式をしのぐ勢いのヘリカル方式
http://web.archive.org/web/20070316101222/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/index3.html

トカマク方式をしのぐ勢いのヘリカル方式
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 いま世界の核融合研究は、大きく3つの流れにわかれている。

 1つはトカマク方式で、日米欧を中心にロシア、中国なども加わった国際的な巨大共同プロジェクトとして「核融合実験炉ITER(イーター)」の建設がはじまろうとしている。

 もう1つはレーザー核融合で、アメリカが単独でITERより先に核融合の火を点火させてみせると、巨大なパワーレーザーをならべた「国立点火施設(NIF)」を作っている。

 もう1つはヘリカル方式で、これは日本の独自技術でもあり(京都大学が開発した)、日本の核融合研究所のLHDが世界のトップを走っている。

 ヘリカル方式はプラズマの密度においても、プラズマ保持能力においても、ベータ値(プラズマ保持効率)においても、トカマク方式をはるかにしのぐ記録を出している。特筆すべきは、プラズマの密度で、核融合点火に必要な密度が立法センチ当たり100兆個であるのに、すでにその10倍の立法センチ当たり 1000兆個という驚くべき記録を樹立している。

 従来、核融合の主流はトカマク方式と考えられ、ヘリカル方式はあくまで二番手の技術と考えられてきた。研究費なども圧倒的な差がつけられていたが、この1、2年のヘリカル方式の進歩には驚嘆すべきものがあり、みるみるトカマク方式では実現不可能な記録を次々に達成している。

 
next: もはや核融合は“逃げ水”ではない
http://web.archive.org/web/20070316101428/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/index4.html

もはや核融合は“逃げ水”ではない
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 トカマク方式のプラズマには安定性の点において決定的な難があり、すぐディスラプションと呼ばれる自己破壊現象が起きて数十秒から数分単位の時間しか持続させられない。その点ヘリカル方式は構造上原則としてディスラプションが起きないという長所があり、とっくに、1時間を楽に超える持続時間記録を持っている。

 長時間運転の実験は、大変なコストがかかるため、実は予算上の制約から記録を伸ばすための実験がこれしかできないのであって、予算さえあれば、記録を伸ばすことは、まだまだ可能という。

 かつて、核融合は、できる、できるといいつつ、いつまでたってもできない“逃げ水”現象のような技術といわれてきたが、ここにきて、トカマク方式も、ヘリカル方式も、レーザー方式も、点火が指呼の間(早ければ5年以内、遅くとも20年以内)というところまで迫ってきている。

 もちろん点火しても、それから実用的発電の実現までにはさらに10年単位の時間が必要だろうが、もはや核融合は“逃げ水”ではなくなったということができる。

 
宇宙との交信に必要な1万年という時間
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 このシンポジウムでは、第1部を「宇宙の核融合」として、広大な宇宙と太陽の核融合について語り、第2部を「地上の核融合」として、地上で核融合を実現するための技術がどこまできているか、そしてその技術発展の中からどれほど思いがけないこと(サイエンスとしてもテクノロジーとしても)が生まれようとしているかを伝えようとしている。

 最後に、松本零士(マンガ家)、海部宣男(前国立天文台長)、本島修(核融合科学研究所 所長)の諸氏と私が「1万年続く高度文明は存在するか?」というパネルディスカッションを行う予定である。

 
next: なぜこのような問いが立てられたのかというと
http://web.archive.org/web/20070316101315/http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070314_kagi/index5.html

 なぜこのような問いが立てられたのかというと、我々地球人が宇宙のどこかに存在するにちがいない高度文明を持つ他の生物と交信をすることが可能となるためには、まず、我々自身の文明を1万年以上存続させることが必要であると考えられている(地球外生命体との交信可能性を算出するドレークの方程式による)からなのである。

 もし人間が核融合技術を実現できなければ、現在我々が保持している高等文明は、エネルギー源の枯渇から1万年もたたないうちに滅びるにちがいないと考えられている。しかし核融合技術を手にすれば、エネルギーは1万年くらい楽にもつはずである。

 
エネルギー以外の文明存続の条件とは
……………………………………………………………………
 だが、エネルギーは文明存続の必要条件ではあっても、十分条件ではない。エネルギーが続いても、いろんな理由で、文明は滅びうる。

 では、エネルギー源以外のどのような要素を文明存続の条件と考えればよいのだろうか。

 そのあたりまで考えてみようというのがこのパネルディスカッションのテーマである。

 このシンポジウムへの参加希望の方は、自然科学研究機構のホームページに参加申し込みのサイトがあるから手続きをとられたい。席はまだ若干だが空いている。

 また、立花ゼミの、サイのページには、私と学生たちが各研究所を訪問して、シンポジウム当日発表予定の先生方と会ったときの記録が映像などの資料付きで紹介されている。

 
立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月 -2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。2006年10月より東京大学大学院情報学環の特任教授。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
 

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