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(回答先: 立花隆さんの「メディア ソシオ-ポリティクス」の海外アーカイブを阿修羅のスレッドでまとめて保存してくれないかと、。 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 05 日 18:06:37)
第36回 近代国家日本の歴史に迫る「私の東大論」番外編 (2005/08/10)
http://web.archive.org/web/20051221135406/nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050810_toudairon/
2005年8月10日
8月10日発売の「文芸春秋」9月号が、「運命の8月15日」という大特集をやっている。
その一本として、「東京帝国大学が敗れた日」という記事を書いた。東大がどのように8月15日を迎えたかを書いたものである。
これは、その前号で完結させた7年ごしの長期連載「私の東大論」(1998年2月号〜2005年8月号)の番外編ともいうべきものになっている。
ぴったりと重なる東大の歴史と日本の近現代史
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『私の東大論』という連載は、はじめ、東大で教えていた頃の体験をもとに、「現代大学論」、「いまどきの大学生論」、「新時代の教養論」を書くつもりではじめたものだが、しばらく書いていくうちに、東大という大学がそもそもどのようにして生まれたのかを知りたくなり、東大の前史(東大の起源は幕末までさかのぼり、最初に東大の前身をスタートさせたのは、あの勝海舟だった)を調べて書いた。
前史の次には草創期の東大を書き、明治時代初期の東大を書きといったことをしていくと、東大の歴史と日本の近現代史がぴったり重なり合うことに気がついた。そして、そういう角度から日本の歴史を見直していくと、歴史というものがいっそうよく見えてくることに気がついた。
日本の近現代史は、ついこの間まで、チョンマゲに、刀をさして大いばりで歩いていた人々が、黒船に大砲を乗せた近代国家の軍艦なるものの出現に腰を抜かすほど驚いて、あっという間に200年以上にわたってつづいてきた鎖国政策を捨て、西欧先進諸国の文明をとり入れて、自分たちも一刻も早く近代国家の一員になろうとした四苦八苦の物語にある。
東大は、いわば西欧先進文明の輸入総代理店として国家が作った大学であり、近代国家日本を支える官僚と、各界のテクノクラートを育成するための教育機関でもあった。だから東大の歴史と、近代国家日本の歴史はピッタリ重なるのである。
近代日本を作った知識人たちのさまざまな悩みと苦しみが、東大を舞台として展開されるさまざまなドラマに反映していく。だから、これは書くほどに、日本という国家の成り立ちについて深く考えさせられるようになり、書けば書くほど、面白くなってきた。
途中からは、「私の東大論」というサブ・タイトルがついたままだったが、東大の歴史というより日本の近現代史そのものになっていた。
next: 1945年8月15日は日本の近現代史における最大の屈折点…
http://web.archive.org/web/20051221135406/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050810_toudairon/index1.html
1945年8月15日は日本の近現代史における最大の屈折点
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近代日本は、国制(国体)としては、明治憲法体制といってよいだろうが、それは、1945年8月15日をもって終わる。
ポツダム宣言を受け入れるとき、国体が護持されるかどうか(天皇制が維持されるかどうか)が最大の問題になった。事実問題としては、国体が護持されたとも、変更されたとも、両様の解説が成り立つような、両義的な天皇制の改変(絶対君主制から象徴天皇制への移行)がなされた。
ともあれ、「主権在天皇」の明治憲法体制はあそこではっきりと終わりを告げ、「主権在民」の昭和憲法体制があそこからはじまった。
そこが日本の近現代史における最大の屈折点だと思ったから、あの長い連載も、そこでいったん終わりにすることにした。
そして、8月15日の東大について、前からさまざまな形で取材し、書いてもきたが、取材すればするほど、東大の8月15日といっても、あまりにも多様な体験があることがわかった。はじめ何人かの体験談に絞ろうと思ったが、やってみると、とても1人2人の体験談に東大の8月15日を代表させるべきではないと思うようになった。
どうまとめても、とても単発の記事では納めきれないほどに多いとわかったので、文芸春秋のホームページに「特設ページ」(8月10日から開設)を作ってもらって、そこに取材した体験談をドーンと載せることにした。
そのページ数、A4判にプリントアウトすると、45ページにも及び、これは文春に載せた記事の2倍以上になる。
先のアドレスをクリックしてもらうと、自由に特設ページの目次に飛べるようになっており、そこからまた一つひとつのアイテムに飛べるようにしてあるので、ぜひ読んでいただきたい。
雑誌の本文を読まないと全体の脈絡がはっきりしないかもしれないが、基本的には、この特設ページは体験談を並べたものだから、全体のコンテクストと関係なしに、これだけを読んでも十分面白いはずである。そして、紙の雑誌とちがって、こちらはタダである。
インターネット時代の今日、旧来の活字文化は、存在感を薄めつつあるが、このような試みの中から、IT時代の雑誌の新しい生き方---タダ見ができるショーウインドウ部分を充実させて、有料の紙媒体はもっともっと充実していることをうかがわせて、売れ行き増進に寄与する。
そして同時に紙の雑誌の宿命であるページ不足から逃れられる。出版社の幹部の中には、インターネットの無料ページの拡大を嫌がる人も多いが、そのような頭の古い人はIT時代に生き残ることができない人々である。
無料サービスの拡大で、お客をできるだけ集め、その集積効果で、生き残りを果たしていくというのが、IT時代のあらゆるビジネスの生き残り戦略の基本である。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
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