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(回答先: 第28回 脳内チップが未来を変える! 米国サイボーグ研究最前線 (2005/07/20) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 17:59:31)
第29回 脳神経科学と工学が合体! 米国サイボーグ研究最前線(2) (2005/07/22)
http://web.archive.org/web/20051218061657/nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050722_cyborg2/
2005年7月22日
テネシー州に住む、ジェシー・サリバンさんという、事故で両腕を失った56歳の元配電工に会った。
この人は、世界で唯一、自分が考えるだけで動かすことができる義手(バイオティック・アームと呼ばれている)の持主である。義手そのものは、ロボットの腕のようにモーターで動く金属質のアーム(外側はプラスチック)なのだが、その動きのコントロールは、サリバンさんが、自分で考えるだけで自分でやっている。
考えながら操縦しているというわけではない。
事故の前、普通に自分の腕を動かしていたときのように、ただそうしようと思えばいいのである。思っただけで、腕はその通りに動く。誰でも自分の腕を普通に動かすときのことを考えればよい。特別の意識は何もなしに、ただこう動かそうと思うだけで腕がその通りに動いていくことをみな体験しているはずだ。サリバンさんの人工の腕もそれと同じように、特別のことを何もしなくても、そうしようと思っただけで、その通りに動くのである。
どうなっているのかというと、もともとサリバンさんの腕を動かしていた神経から電気信号(筋電信号)を取り出して、それをアームのコントローラーにつないでいるのである。
神経が成長して筋肉を動かすようになる
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サリバンさんの腕は、肩口からスッパリ切り落とされている。
その切り口のところから本来、腕に行くはずだった神経を探し出して、それを体内で大胸筋につないだ。
そうすると、大胸筋につないだ神経(随意神経)がどんどん成長していって、胸部に大きく張りめぐらされることになった。そしてサリバンさんが、自分の腕を動かそうと思うと、自分の胸の筋肉がピクピク動くようになったのである。
next: 自分の腕をこう動かそうと思うと…
http://web.archive.org/web/20051218061657/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050722_cyborg2/index1.html
自分の腕をこう動かそうと思うと、胸の筋肉のここがこう動く、自分の肘を動かそうと思うと、胸の筋肉のここが動く、指を動かそうとすると、胸がこう動くなど、育った神経の行く先に従って、それぞれに対応する胸の筋肉が動くようになったのである。
そうなったところで、大胸筋の上に筋電信号を取り出すセンサーを7つ置いたら、腕の動きをコントロールする信号がすべて自由自在に取り出せるようになったのである。あとはその信号をロボットアームのコントローラーに入れたら、それがサリバンさんが思う通りに動くようになったのである。
人工腕のカバーを開くと電子回路がびっしり並ぶ
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このロボットアームは、物質的にはサリバンさんの体外にある金属とプラスチックでできた装置でしかないが、情報的神経学的には、サリバンさんの腕そのものなのである。
これは見ていると、実に不思議な光景だった。脳神経科学と工学を合体させると、こういうことが可能になる時代がきたのである。
そうやって大胸筋に、腕に行く神経をつないでしまったら、胸をさわられたときどう感じるのだろうかと思って、その胸をさわらせてもらった。すると、「アッ、そこは腕です」「アッ、そこは肘です」「そこは指です」というではないか。これには驚いたが、そこまで両者が合体してしまたからこそ、大胸筋から拾った信号で腕が動かせるようになったのだと納得した。
サリバンさんはかつて、7200ボルトの高圧送電線を素手で触ってしまい、体ごと跳ね飛ばされてしまい、意識を失ってしまった。
事故当時のことは電気ショックによる記憶喪失で何も覚えていないが、周囲の人の記憶によれば、焼け焦がれて近くの病院に担ぎこまれたが、即座に両腕を切断しないと、命にかかわるということで、サリバンさんが意識を失っている間に、両腕を切断してしまった。
サリバンさんが目を覚ましたときに、自分の両腕がなくなっていたわけで、「もう自分の人生は終わりだ」との精神的ショックを受けた、という。
サリバンさんの人工腕のプラスチックカバーを開くと、中には電子回路の基盤が並んでいてびっくりする。昔、「ウエストワールド」というユル・ブリンナー主演のサイボーグを主人公とするSF映画があったが、主人公が腕の皮膚をはがすと、中には電子基盤がいっぱいという、観客にはショッキングな場面があったが、それとそくりだった。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
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