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http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0001165426.shtml
社説
沖縄慰霊の日/過去と今を見つめるとき
先の大戦中、国内で唯一の地上戦が行われた沖縄に、ことしもまた「慰霊の日」がめぐってきた。
糸満市の平和祈念公園では全戦没者追悼式が行われる。戦没者の名を刻んだ「平和の礎(いしじ)」には、県の追跡調査で判明した百二十八人が新たに刻み込まれる。
沖縄本島では一九四五年四月一日に戦闘が始まり、六月二十三日に旧日本軍の組織的な抵抗が終わったとされる。
すべてを破壊し尽くす砲撃や空襲を、人々は「鉄の暴風」と呼んだ。犠牲者は約二十万人に達し、その半数が一般住民というから、いかに悲惨な戦いだったか。
あれから六十三年になる。戦いで亡くなった肉親や友人たちの霊を慰め、世界の平和を願う。きょう一日、沖縄から静かな祈りが広がる。私たちもそれをしっかり受けとめ、共有したいと思う。
同時に、沖縄の今に目を向ける日にしなければならない。形こそ変わったが、苦難の歩みはなお続いているからだ。
国土のわずか0・6%の県に、在日米軍の専用施設面積の七割強が集中する。一向に解消されない現実は、戦後も強いられてきた重い負担を象徴している。
その軽減を図るため、二年前、海兵隊のグアム移転や普天間飛行場の移設を盛り込んだ米軍再編が決まった。だが、関係自治体の反対などから、計画は滞っている。一方で、米軍がミサイル防衛(MD)システムを嘉手納基地に配備するなど、基地の機能がむしろ強まるような動きがあった。
この間、米兵による不祥事なども後を絶たない。県民にすれば、腹立たしさ、やり切れなさが募るばかりだろう。
加えて、経済面の立ち遅れがある。一人当たりの県民所得や失業率など、暮らしを映す指標は全国の最低レベルにある。経済自立を掲げ、巨額の国費が投じられた振興策が、なかなか成果につながらない。
先の県議選で与党が過半数割れした背景には、こうした現状への県民の険しい評価があったことは間違いないだろう。
いまや沖縄といえば、若者を中心にリゾートの島としてのイメージが定着している。しかし、なお残る深い「傷跡」や、基地の島という、もう一つの実像から目をそらすわけにはいかない。
「慰霊の日」のきょう、あらためて沖縄の過去と現在に思いを寄せたい。それは、戦後日本の民主主義のあり方や、平和への意思を問い直すことにも通じるはずだ。
(6/23 09:00)
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