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(回答先: 岩国基地問題:3 動きだす住民 初の訴訟 負担主張へ/4 基地城下町 経済効果 膨らむ期待(中国新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 1 月 25 日 14:49:44)
5山里の不安 訓練空域 見えぬ協議
高齢化 向き合う力弱く
広島県北広島町の八幡高原。昨年十二月二十日の昼前、腹の底に響く米軍機の音が続いた。町役場の八幡出張所で、臨時職員の沖里子さん(47)が素早くメモ用紙に時間を書き付けた。約二十分で三回―。世界的な植物学者の故牧野富太郎博士が戦前に訪れて絶賛した自然の宝庫は今、中国山地で最も米軍機の目撃が多い地域である。
上半期目撃455回
十二月は米海兵隊岩国基地(岩国市)の約三十機が沖縄の訓練に展開。ごう音は影を潜めていたが、十八日から再び機影が戻った。過疎が進む八幡地区の高齢化率は四割近い。「事故があったときに立ち上がる住民のパワーが都市部より弱いと思われているのかも。艦載機が来ても、コースが変わることはないでしょう」と沖さんは嘆く。
八幡高原を含む芸北地域は「エリア567」と呼ばれる訓練空域の下にある。米軍機が目立ち始めたのは旧芸北町時代の一九九四年ごろ。北朝鮮の核危機と重なる。山やダムがあるうえ、役場や学校など対地攻撃の目標にしやすい建築物が点在。格好の「演習場」となった。
連日、ごう音が響き、二機で戦闘訓練をする「ドッグファイト」なども繰り返された。葬儀は読経がかき消される。釣り堀の魚が餌を食べない。小学校の真上を繰り返し通過して授業にならない…。訓練は次第にエスカレートした。
ここ数年は以前ほどのひどさはない。それでも広島県が集計するデータでは、北広島町の延べ目撃回数は本年度上半期(四―九月)で四百五十五回と全県の九割を占める。そのうえ五十九機もの艦載機が来ればどうなるか。「訓練がさらに強化されるのは明らか。日常生活に多大な影響を及ぼす」。十二月の北広島町議会一般質問で、議員の一人は危機感をあらわにした。
米軍に親近感も
芸北の住民にとって、米軍は憎むべき存在ではなかった。昨年末に出版された芸北町史。六三年の「三八豪雪」の逸話が載った。陸の孤島になった地域に岩国基地のヘリが生鮮野菜などを届け、給食に回した―。
元芸北町長の増田邦夫さん(76)も、町職員として経験した善意への恩義は忘れていない。だが、絶え間ない訓練には腹を据えかねる。九九年に目撃情報を収集する町の要綱を制定。二〇〇二年の退任まで中止を求める運動の先頭に立った。
しかし、米軍機の自由な飛行を認める日米地位協定の壁は厚い。訓練が「固定化」し、声を上げる人も少なくなってきた。〇五年の合併後は新町が取り上げることも減った。引き継ぎの不備から一昨年七月に復活するまで監視記録も途絶えた。
高齢化がさらに進む地域は、艦載機移転に向き合えるのか。増田さん自身も、以前は音がすると外に飛び出てカメラを構えていたが、体が追いつかなくなってきた。「あきらめずにものを言わにゃあいけん。そうでないと、訓練が倍増しても、やられ損になるだけだ」
「一切出さない」
地域の不安をよそに、訓練空域の確保をめぐる日米政府間の協議は既に始まっている。岩国基地への進入管制空域とともに、在日米軍再編の重要懸案である。その中身について、ある国土交通省関係者はこう表現した。「表には一切出さない、ブラックボックスだ」
厚木基地(神奈川県)では艦載機の年間飛行回数は四千回以上。岩国移転後は訓練の密度が増えるのか、エリアが広がるのか―。その答えが中国山地の住民に事前に知らされる可能性は小さい。
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010601.html
6世界遺産の島 失われる千年の静寂
生態系への影響も懸念
年の瀬の週末。廿日市市宮島町のホテルに、観光業者や島外の企業の有志らが集まった。世界遺産の島・宮島の明日を語る懇談会。厳島神社に向かう表参道商店街の副会長正木文雄さん(58)がこう切り出した。「島に渡れば、平安時代にタイムスリップできるようにしたい。そのためには昔のままの雰囲気を守りたいが、岩国の問題がある」
増える上空飛行
宮島の全島は世界文化遺産の厳島神社と弥山原始林を囲むバファーゾーン(緩衝地帯)に当たる。西端から岩国基地(岩国市)滑走路まで約八キロ。世界遺産と軍用空港がこれほど近いのは、世界でもまれだ。艦載機移転で増大する騒音の影響を住民は心配する。
弥山山頂に近い大聖院の弥山本堂一帯は千二百年余り前、空海が開いたと伝わる真言密教の聖地。在日米軍再編を前にここ数年、米軍機が上空を飛ぶケースが目立つようになった。「頭上に機影が飛び出し、建物が震動することもある。その時はF1のレース場にいるようだ」と僧侶小野湛海さん(39)。修行の妨げになるだけではない。世界遺産ならではの静寂を求める人たちを興ざめさせている。
国が示す米軍再編後の騒音予測図。住居地域の環境基準である「WECPNL(うるささ指数)七〇」の範囲は宮島方向に向けて拡大するが、島は含まれない。手前で回避する標準的な飛行経路を想定しているためだ。
だが、島へ直進する米軍機は後を絶たない。「標準」から外れた米軍機のごう音は、その日しか宮島を訪れない人を幻滅させる。島に対する悪いイメージを積み重ねかねない問題だ。
伝統神事を妨害
植物学者で広島大名誉教授関太郎さん(73)=廿日市市=は、そんな場面の一つに遭遇した。一昨年五月、島の周囲の七つの神社をめぐる恒例の「御島廻(おしままわり)」。関さんも参加したところ、締めくくりの厳島神社のおはらいの最中、ごう音が響いた。三十秒は会話もできないほどだった。
御島廻の途中には、島の西南端の養父崎(やぶさき)沖で団子を載せたいかだを浮かべ、神の使いである野生のカラスがついばむのを待つ「御鳥喰(おとぐい)式」もある。関さんは、艦載機移転で神と人と自然が融合した伝統神事への影響を何より懸念する。
厳島神社の神域だったため、島は貴重な生態系を今にとどめている。ただし、動植物にどんな影響を与えるか、十分には検証できていない。
宮島はこの十数年の相次ぐ台風被害で、原始林などが痛めつけられた。「ちょっとしたことで生態系が崩れだす恐れがある。影響が分からないからこそ、人間が変化させてはならない」。長年、宮島の自然と向き合ってきた関さんは警告する。
宮島は昨年、十年ぶりに来島者が三百万人を突破し、明るい新年を迎えた。だが、艦載機のことはのどに刺さったとげのようだ。三年前は全島民の98%にあたる反対署名を集めたが、米軍関係者も多数、訪れるだけに、観光客への訴えは見送っている。
「制限ルールを」
手詰まり感もある中で、住民の間からこんなアイデアが浮上している。伝統文化や生態系を守るため、日本の民間機も含めて宮島上空の飛行を制限するルールをつくる―。米軍機に悩まされる大聖院座主で宮島観光協会副会長吉田正裕さん(47)は「今後、議論を始めたい」と意気込む。
悠久の歴史を次世代に継承したい―。米軍再編は住民意識を呼び起こす契機にもなりつつある。
(写真説明)沖合移設工事が大詰めを迎えた岩国基地。宮島(奥)は目と鼻の先だ(撮影・田中慎二)
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010801.html
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