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(回答先: 岩国基地問題:5 山里の不安 訓練空域 見えぬ協議/6世界遺産の島 失われる千年の静寂(中国新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 1 月 25 日 14:54:11)
7NLPの行方 決まらぬ施設候補地
馬毛島誘致 揺れる地元
鹿児島県・種子島にある西之表市の漁港。夕暮れ時、漁から帰った男性(71)が十二キロ沖の馬毛島の灯台を指さした。「豊かな漁場で生活を支える宝の島。基地なんか持ち込ませられん」。周囲十六キロ、開発業者が大半を所有する無人島が今、米空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)の候補地に浮上している。
地元二分の恐れ
石油備蓄基地、使用済み核燃料の中間貯蔵施設…。さまざまな構想が浮かんでは消えた馬毛島。NLPの候補地になったとの情報は昨年二月に表面化した。十二月十七日には開発業者が西之表市議会で誘致を正式に表明。「貨物空港を造る」などの理由で、既に滑走路整備を進めていた。
「やはり、との感はあった。反対の方針で対応する」と長野力市長(68)。既に同市や周辺自治体、議会は昨年、相次いで反対を表明した。ただ、同市の職員の一人は案じる。主産業の農漁業の担い手は高齢化し、実質公債費比率では全国ワースト50に入る。「国から出る金の経済効果に期待も出るはず。地元が二分されかねない」
騒音に住民反発
NLPは空母出港前、パイロットに義務付けられる着艦訓練。滑走路を空母の甲板に見立てて急降下、急上昇を重ねる。厚木基地(神奈川県)などでの騒音が反発を招き、国は厚木から千二百キロ南の硫黄島(東京都)に暫定施設を用意した。
米軍は、周囲に緊急着陸の場所がないなどとして代替施設を求めてきた。在日米軍再編で艦載機が岩国基地(岩国市)に移転するのを機に半径百八十キロ圏内に訓練場所を探すのが日米間の合意事項だ。「二〇〇九年七月」という選定時期のめども明示されている。
「NLP施設が決まる。それが『岩国移転』のメリットだ」と厚木基地幹部。首都圏周辺に探せなかった施設も「イワクニ」の近くなら―。米軍側はそう期待する。
ところが、激しい騒音を容認する自治体はそうは現れない。米軍再編が決まる前の〇三年。旧広島県沖美町(現江田島市)が岩国に近い大黒神島への誘致を表明したが、住民の猛反発や県、周辺自治体の反対で一週間足らずで撤回した。長崎県の五島列島や民間空港の活用などの案もささやかれるが、具体的な動きにはなっていない。
馬毛島は米軍の要求する百八十キロより遠いが、所有者が誘致を表明した異例のケースだ。ただ、防衛省首脳は言う。「NLPは候補地の名前が事前に出た時点でもうつぶれる。そんな簡単なものじゃない」。日本側の貴重なカードである馬毛島が地元の反対でついえれば、NLP施設の行方はさらに不透明となる。
懸念はぬぐえず
国は一貫して「岩国はない」と繰り返す。十二月二十七日、岩国市役所を訪れた中国四国防衛局の月橋晴信局長(52)も「岩国に空母艦載機着陸訓練の専用施設は整備しない」と明言した。十一月末、市が出した艦載機移転をめぐる要請に「NLPの恒久施設の明確化」があったからだ。ただ、日米協議の進展については「説明することはできない」とした。
岩国でのNLPは二〇〇〇年に実施されたのが最後。今後も硫黄島が悪天候の際の予備基地に指定される見通しだ。在日米軍再編に伴う負担の象徴として敬遠されるNLP。訓練施設が確保されないまま艦載機が来れば、「暫定」の名の下に岩国で繰り返されるのでは―。そんな懸念がいまだ消えていない。
(写真説明)西之表市の海岸から12キロ先に望む馬毛島。大半を所有する開発業者がNLPの誘致を表明した
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008010901.html
8再編後の姿 情報不足 見えぬ負担
「両基地とも活用」懸念
ごう音が頭上と足元から突き上げた。話し声がかき消される。厚木基地を抱える神奈川県大和市。滑走路北側にある第四次厚木爆音訴訟団の事務局にいた訴訟団長の藤田栄治さん(73)は、窓越しに空を見やった。
住民4度目提訴
「騒音は、一一〇デシベルから一二〇デシベルに達する。まさに拷問だよ」。滑走路に進入しようとしていたFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機は空母キティホークの艦載機。二〇〇三年の配備だ。エンジン出力は従来機の35%増で騒音はさらに拡大した。
基地周辺の八市の六千百三十人が、飛行差し止めと騒音被害の賠償を求める訴訟を起こしたのは十二月十七日。過去三度の訴訟とも国の賠償が認められた。在日米軍再編計画で艦載機の岩国基地(岩国市)移転が盛り込まれたのは、こうした負担を軽減するためだ。それでも、原告団は四度目の提訴に踏み切った。
厚木基地は神奈川県中央部の大和市と綾瀬市をまたぐ形で広がる。周辺は一九六〇年代の高度経済成長期以降、ベッドタウンとして都市化。人口密集地の米軍基地としては、世界でも異例の存在となった。七三年、米第七艦隊の空母が横須賀基地(同県)を事実上の母港としてからは艦載機部隊が使い、周辺の約二百万人が騒音と事故の危険と隣り合わせで暮らす。
基地近くに四十年以上暮らす原告の斉藤英昭さん(67)は「騒音は年々なし崩し的にひどくなった」と振り返る。艦載機移転の目標は一四年。歓迎し、騒音軽減を期待する住民も少なくない。
縮小計画示さず
しかし、日本政府はその後に基地を返還、縮小する計画を示していない。国会答弁でも艦載機の整備部隊は厚木に残ると説明する。原告の多くは負担がどの程度減るのか不透明と感じている。
厚木基地を長年取材してきた軍事リポーターの石川巖さんの藤沢市の自宅では八日、防音工事が始まった。スーパーホーネットの導入を背景に、国は助成の対象となる範囲を南北方向に大幅に拡大。滑走路の南約十二キロにある石川さんの家も含まれた。
はからずも基地騒音の当事者となった石川さんは「艦載機が移っても、騒音はある程度までしか減らないだろう」と分析する。例えば、艦載機は空母が出港する時期が近づくと陸上の夜間離着陸訓練(NLP)に続いて相模湾に浮かぶ空母上で成果を試す。空母が横須賀を母港とする限り、艦載機は岩国から厚木を経由して訓練場所に通う―。石川さんはこう見る。
厚木のジレンマ
「米軍は、厚木と岩国との間をひっきりなしに行き来し、二つの基地を自由に使うだけではないか」。原告団を裏方で支える藤田さんも、そう考えている。一九四五年の横浜空襲で焼け出されて大和市に移り住み、厚木基地の変遷を見つめてきた。「どちらも機能強化され、両方の住民が騒音に苦しみ続けるのでは。だからこそ岩国に苦しみを転嫁したくない」。騒音被害を身近に知るがゆえのジレンマは続く。
二月の岩国市長選では艦載機移転問題が最大の争点になる。ただ、米軍再編は一カ所の基地だけで解決する問題ではない。岩国、厚木、沖縄…。パズルのように組み合わされた負担のたらい回しの側面もある。
基地を米軍がどう使うのか。地域がどんな姿に変容するのか。再編完了まであと六年。住民が議論していくための情報は現時点では少なすぎる。
(写真説明)厚木基地の滑走路に進入しようとする空母艦載機スーパーホーネット。住宅地が間近に迫る=神奈川県大和市(撮影・荒木肇)
http://www.chugoku-np.co.jp/iwakuni/bakuon/2008011001.html
(08.01.01〜01.10)
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