★阿修羅♪ > 雑談専用34 > 855.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 経済的な面で、うまくいくかどうか? 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2009 年 1 月 02 日 17:33:05)
どうも、最大多数の最大幸福さん、はじめまして。こちらでの投稿、いつも興味深く拝見しております。
>自由気ままに任せておいて、社会的必須労働がうまく分担されるとは思えないのです。
それはもちろんです。
しかし、私はその問題が「経済的な面」ではないと考えています。
私の考えでは「社会的必須労働」という概念が存在しません。存在するのは「全ての(もしくは大多数の)人が必要とするサービス」です。
資本主義経済では、サービス(労働)の質に関し、その必要性を算定するために市場で取引きをして値段を決めます。
値段が高ければ、それに従事する人や資本が増え、安ければ減ります。そのようにして、必要性に応じたサービス(労働)量が確保される仕組みになっているのです。
しかし、「全ての、もしくは大多数の人が必要とするサービス」の場合、値段に関わらず、最初から必要量が決まっています。
ですから、それらのサービスを提供するために動員される人や資源は、市場経済から切り離されたところで確保されなければなりません。
このサービスを「行政サービス」と呼び、それに費やされる資源が政府(自治体)予算、動員される人員が公務員となります。
また、それらのサービスは、「経済的事情で受けることの出来ない人」が出てきた場合、生存権にかかわる問題となりますので、基本的には利用者が料金を負担することなどありません。
たとえば「消防」という行政サービスを受けるのに、料金が発生すれば、貧困層の家が燃えても消火活動をしてもらえない事態が起こり得るわけです。
犯罪に遭遇しても、被害者が金持ちなら警察が動き、貧乏人なら動かない…などということになれば治安はメチャクチャです。
これら、無料の行政サービスが拡充することで、人々は生命の危機に脅かされることなく、安心して自分たちの生活の質を良くするだけの目的で仕事をすることができます。
あらゆる経済が民営化され、市場で値段付けされる「ウルトラ資本主義」あるいは「市場原理万能主義」では、必須サービスが価格高騰し、多くの貧困層がサービス対象から除外されてしまうため、中流以下では労働強化による過労死か、さもなくば餓死か…というような、究極の二者拓一を迫られる事態となるでしょう。
したがって、こうした「非市場部門経済」を政治が積極的に保護、推進する、いわゆる「福祉国家」のモデルが登場したわけです。
このモデルはイギリスで失敗し、北欧で成功しましたが、イギリスが失敗した理由は「福祉」に対する国民意識の希薄さであり、そうなった原因は、産業革命以降、急激に進行した、伝統的コミュニティの崩壊であろうと、私は分析しています。
対して、日本の場合、80年代までは伝統的コミュニティが健在であったし、護送船団方式の半社会主義的政策が一定の成功を収め、経済発展を成し遂げてきたという過去を持っています。また、文化的な均一性が国民の一体感を潜在意識に植え付けられていることも「福祉国家」モデルが成功しやすい条件ではないかと思っています。
ただ、現代の日本社会では、「福祉国家」モデルの成功を阻害する要因もいくつかあります。
その最大のものは「財政危機」でしょう。財政の再建なくして「福祉国家」モデルの実現はあり得ません。
しかし、日本の財政危機は深刻で、もはや行政改革や消費税の増税程度じゃ「焼け石に水」の状態です。これを打開するには、とてつもない「大ナタ」が必要であると思っています。
これは、あまりに大胆で突飛な案なため、いままで私は公言を躊躇していましたが、ここまで言ってしまった以上、嘲笑や罵倒を覚悟して暴露しますね。
大ナタのその一は、貿易経常黒字の財政転化です。異常に膨らんだ外貨準備や、保有している米国債を、早急に「使える金」に変えて財政を補填します。
大ナタ、その二は、独立行政法人の全面解体です。官僚利権の巣窟となっている悪名高き法人だけでなく、現実には有用なサービスを提供している法人まで、まとめて解体してしまいます。ガンを取り除くのに臓器全てを切り取ってしまうような乱暴な政策ですが、これは構造改革であり、対象療法では限界があると考えるためです。行政改革を今の政府に任せておいたのでは、対象療法と称して前者を残し、後者を解体するという愚劣な政策をとりかねません。やるなら、有無を言わせぬ「全面解体」で、一旦破壊しつくした後に有用な法人を復活させるしかないでしょう。
大ナタ、その三は、国民金融資産の財政転化です。郵政資産を市場に投げ出すことだけは、なんとしても阻止し、「福祉国家」モデル実現の原資として確保します。
大ナタ、その四は、高収益企業の国家接収です。「倒産できない」ほどに巨大化し、高収益をあげている優良企業のいくつかを「大企業の社会資本化」という名目で強制接収してしまいます。これは政府による一種の社会主義革命ですから、反発も大きいでしょうが、その分効果も絶大です。
大ナタ、その五は、日本国債のデフォルトです。雪だるまになった財政の借金を、どう転がしたところで増え続けることは目に見えています。であれば「踏み倒し」が一番、手っ取り早い対策です。国債保有者の多くは大資本や生保ですから、一般庶民におよぶ害は少なく、それらは代替の社会保障で穴埋めすれば、混乱も少ないでしょう。
まあ、四〜五は武力による市民革命でも起こらない限り実現不可能でしょうが、この程度の大改革(…というか、これじゃもう革命ですね)に挑戦する覚悟が必要でしょう。
おっと、話が脱線して大層なところまで飛んでいってしまいました。
戻しますと、最大多数の最大幸福さんのおっしゃる「社会的必須労働」は、市場経済から分離した政策発動として確保すべき…というのが回答になるかと思います。この具体的なイメージは消防や警察など、現在の「行政サービス」を拡充すると考えて頂ければ、ご理解頂けるでしょう。