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『かけはし』2009号(1月14日号)に拙文「読書案内・陰謀論の罠」への批判の投書が寄せられた。正直、私は「9・11陰謀論」自体は検討に値しないタワゴトとしか思っていないことと、まさか『かけはし』読者に「9・11陰謀論」の熱烈な信奉者はいないだろうと思い、その「陰謀の有無」の検討ではなく「9・11陰謀論」が一定浸透してしまっているメンタリティーについて論じたわけだ。 S・S氏の投書はまったくの想定外ではないにしても、やはり「あんなタワゴトがここまで浸透しているのか」と驚きを禁じえない。陰謀論に酔っている人々との「白黒論争」など時間の無駄であり、する気もないのだが、「読書案内」を書いた以上、当該文献の著者の名誉を守る義務も一定あると思うので、最低限の反論だけはしておきたい。 ボーイング機 S・S氏は「ペンタゴンに突入したとされるボーイング757機の残骸が全く見つかっていない」と主張しているが、『陰謀論の罠』冒頭のカラーページには機体の航空会社ロゴの部分の破片、エンジンの一部、車輪のホイールなど、五枚もの機体の破片の写真が掲載されている。S・S氏はまさか冒頭のカラーページも読まずに「反論」を書いているのだろうか。『陰謀論の罠』に対する「9・11陰謀論者」の「反証」などこの程度なのである、ということをS・S氏は自ら示してしまっている。もっとも、こう言ったところで「米政府が後から持ち込んだ破片ではないことを証明しろ」などと「9・11陰謀論者」の人々は言うのだろうが。 被害者は特定 こういうことは一事が万事なのでこれで終わらせてもいいのだが、せっかくだからもう少しだけ付き合おう。「9・11陰謀論者」は、ペンタゴンに突入したのは「巡航ミサイル」と主張しているが、ペンタゴンに激突したボーイング757機の乗員・乗客の遺体は発見され、犠牲者の氏名は特定されている。「9・11の真実」を解明したいなら、「ボーイング」などではなく「被害者と遺族」を捜せば効率よく「真実」にたどり着けるだろう。その程度の労を惜しんで、インターネット上で情報をもてあそぶだけで「陰謀」を解明しているつもりになっているのが、「9・11真相究明運動」なのである。まったく、お粗末な「真相究明」ではないか。
自らが世に吹っかけた「疑惑」が破綻しても「まだ謎が残っている」などとして永遠の論争を挑む「陰謀論者」との議論は疲れるし、誰もやりたくない仕事である。しかし、「トンデモなタワゴト」も放置すれば、アメリカのように市民に広く浸透することも起こるのである。もっとも、それは明確な世論というより、ブッシュ政権への不信感の歪曲された形による「気分」の表明といったほうが正しいのだろうけれども。その意味で、奥菜のような「陰謀論」批判の仕事は貴重であるし、左派や反戦運動がこのような「タワゴト」をきっちり批判することは、必要なことなのである。 --------------------------
この写真はアメリカ土木工学学会発行の「ペンタゴンレポート」のPDFファイルの19ページ目に掲載されているものです。この写真では1階部分だけ左側の柱は完全に跡形無く破壊されています。さらにその左側まで破壊されていると思われます。巡航ミサイルやグローバルホークをもちださなくともB757の激突で矛盾なくに説明できるということです。この事実から「ペンタゴンに激突したのはB757ではない」などといった陰謀論など不要なのです。 |