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- 金利政策の有効性が低下のなかでの- 「非リカード的財政政策効果」への期待  
http://www.asyura2.com/08/hasan58/msg/165.html
投稿者 hou 日時 2008 年 9 月 06 日 07:58:01: HWYlsG4gs5FRk
 

でも麻生さんも、将来 増税の方向と言っているので

ケインズ政策はやっても、非リカード的財政政策効果は否定している。

やるなら、非リカード的財政政策を  でも麻生も、そこまで大胆にはできなようです。

ケインズ政策なら、ただのバラマキにおわる。

http://www.sibatate-hudousan.co.jp/keizaikizikara-NO5.html

驚くべきことに、わが国の国債残高の国内総生産(GDP)比は第2次世界大戦末期の日本や米国の水準にまで上昇している。グラフに見るように、2001年度末の国債と借入金の残高のGDP比は120%にのぼり、日米のミッドウェー海戦のあった1942年の105%を超え、学徒出陣のあった1943年の133%に迫ろうとしている。

 しかも1990年代以降は、高橋是清財政期(1931−36年)や米国のニューディール政策期(1933−37年)という、典型的なケインズ政策が実行されたといわれる時期よりも、急速なテンポで国債が累増を続けている。さらに今後も、高齢化の進展による社会保障費や不良債権処理など不可避の支出増加だけを考慮しても、急速な国債累増が当分、続かざるをえないであろう。

 このため、国内で最も信用力の高い金融資産である日本国債の国際的な信用はすでに揺らいでいる。日本国債には、スペインやイタリアの円建て国債よりも高い金利が付いており、国際金融市場ではすでにリスクプレミアム(リスクに伴う割り増し金利)を求められているのである。

 しかし、日本国内では金利がきわめて低水準で推移しているからであろうか、国債残高がおびただしく累増し、しかも、著しく速いテンポで拡大を続けることがもたらすであろう弊害が、切迫感をもって議論されていない。

 今日の低金利は、統制によるものではない。国内金融市場は自由化され国債資本移動も自由である。内外の金融資本市場の間で裁定されたうえで成立している長期国債の金利は、フイッシャーの方程式にしたがって表現すれば、日本経済の長期的な成長率と期待インフレ率がともにきわめて低いという市場の予想を反映していることになる。

 また、長期金利は将来にわたる短期金利の予想平均値で決まるという考え方(金利のタームストラクチャー仮説)に立つと、長期国債の金利がきわめて低い水準であるということは、今後かなり長期間にわたって短期金利がゼロ近傍で推移し続けるであろうという市場の予想を反映したものである。

 実際、2001年3月からの量的金融緩和政策のもとで、ゼロ金利が少しずつ満期の長い国債に波及してきた。

 このようにしてイールドカーブ(利回り曲線)のフラット(傾きの平坦)化が進行し、長期金利は歴史上まれな低い水準で推移している。ペイオフ(預金などの払い戻し保障額を元本一千万円とその利息までとする措置)解禁が凍結され、預金流入が続く銀行も大量に国債を購入しており、将来にわたる金利の低位安定を望まざるをえない状況に陥っている。

 量的緩和政策によって流動性の供給増加が続いているが、長期金利に織り込まれるはずのインフレ期待は醸成されず、逆に封じ込まれているといって過言ではない。

 インフレ目標政策にも限界
 このため、一定期間後に一定のインフレ率を実現しようという、インフレ目標政策が提唱されている。どのような方法で実現可能なのかは疑問であるが、かりにこの考え方が実施に移されて、推進論者の想定通りに期待インフレ率が上昇したとすると、長期金利はある程度、上昇に向かうであろう。

 しかし、インフレ目標の実現に向けて、日銀による国債引き受けや、社債、株式、不動産などの購入といった比正統的な方法がなりふりかまわずに採用されると、国を挙げて国債をインフレで削減しようとしているのではないかと市場が予想し、日本国債により大きいリスクプレミアムが求めれれる懸念なしとしない。この場合、インフレ目標政策の推進論者が期待する実質金利の低下は見込みがたい。

 こうしたインフレ目標政策の限界を踏まえてであろうが、流動性の罠に陥り金融政策の有効性が低下している現状での選択肢として、非リカード的財政政策が提唱されている。

 リカードは、景気対策を行っても、その財源は将来の増税でまかなわれると国民が予想するので効果がない、という合理的な期待が働く世界を想定していた。これに対して、非リカード的政策は、将来に増税を行わないという政府の約束によって国民の予想を変えることで、景気対策が効果を持ちうるという考え方である。

 これは、物価下落の原因を、国債に価格上昇(金利低下)の余地がほとんどないにもかかわらず、国債が買い進まれていることにあると考え、財政再建を行わないと約束して国債の信用を低下させることによって、デフレから脱却しようという主張である。

 しかし、非リカード的政策によって、デフレから脱却できたと言う事例を筆者は寡聞にして知らない。国債が高水準にまで累増した状態で、減税や財政支出の拡大を行うと、非リカード的政策のねらいとは逆に、そしてリカードの影響が出ないという世界を超えて、かえって景気に深刻な影響を及ぼす危険が高いことに留意する必要がある。

 国民は、財政の持続可能性に強い懸念を持ち、「最後の審判の日」が近づいたと感じるようになる。国債の負担を将来世代に転嫁することができず、自らに増税や年金、医療、教育など諸制度の崩壊の負担が降りかかってくると、ついに悟らざるを得なくなる。

 すると、将来にわたる可処分所得の現在価値が低下し、個人消費が抑制される。加えて、国債により大きいリスクプレミアムが求められるようになり、資本流出が加速し、これらが金利の上昇を通じて民間投資などに悪影響を与える。

 これが、非ケインズ効果と呼ばれる現象であり、90―93年のスウェーデンや92―95年のイタリアなどで発生した。

 今こそ民間の力を引き出せ

 わが国は、92年8月以降、累計で12回、140兆円もの景気対策を発動してきた。また、日本銀行の負債であるマネタリーベースのGDP比は、量的緩和政策のもとで急上昇し、戦時期を除いて日銀創設以来の高水準に達している。これらのマクロ経済政策で日本経済が持続可能な成長経路に復帰できたわけではない。

 冷戦の終えん、そして情報通信技術の革新という世界レベルでの大きな産業構造の変化に直面してきたわけだから、企業も家計もそれへの対応を積極的に進めねばならなかった。しかし、時間稼ぎのためといってマクロ経済政策の総動員を繰り返し、自助努力を怠ってきたのではないか。このため、産業の新陳代謝が進まず、非効率な産業が温存され、解決すべき問題の先送りが続いた。

 それにもかかわらず、レジームチェンジ(体制転換)と称して、マクロ経済政策への依存をさらに強めようとする動きがある。上述の手段を選ばないインフレ目標政策や、国債の信認を揺るがせる非リカード的財政政策の影響は、不確定、不確実でリスクがきわめて大きい、税制改革について、多年度税収中立を図るという小泉純一郎首相の指示は、非ケインズ効果を発現させないために将来の増税に言及せざるを得ないという、ぎりぎりの選択ではないか。

 わが国はマクロ経済政策という政策資源をほぼ使い果たしてしまったが、民間の力を最大限に引き出すための構造改革が残っている。今こそ、国家総動員体制ともいうべきマクロ経済政策への依存症から脱却し、市場経済と民主主義の原点である自立、自助の精神に立ち返るべきである。

         47年生まれ。関西学院大卒 京都大経済学博士
 

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