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「僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」は、有名な芥川龍之介の自殺理由ですが、失われた10年を経た今も日本には同じ気分が蔓延しているような気がします。
アーバンが破綻したことに象徴されるように、日本は再び失われた10年を繰り返すのであろうか?
ゼファーに続きアーバンコーポレーションが破綻した。不動産業界関係者や日本のジャーナリストは、姉歯建築士の耐震強度偽装による建築基準法の改悪がその原因として、官製不況であると主張している。建築基準法改正が不動産マンション業界のきっかけとなっていることは、事実だが、サブプライムローン問題、世界的資源高による鋼材高騰とシンクロし、国内マンション不動産業界は、バブル崩壊後の真性不況へ戻りつつあるようだ。
私は、建築基準法が改悪されたとしたが、日本人の美徳とされた正直さやモラルが破壊されたことによる信頼感の消失がその根本問題ではないかと思う。しかしながら、中国のように震災後に発覚したのではなく、震災前に発覚したのは日本人に残る道徳のおかげではなかったのではないか?とも思う。
官製不況と呼ばれる不動産不況の犯人は、何であろうか?建築基準法を厳格に適用しなくとも、設計施工ともに厳格に守られていれば、厳格に適用しなくても済んだはずであった。
必ずしも、官のせいだけではないと思う。
アメリカのサブプライム問題の幾つかの原因の一つに金融工学への過信があったかと思う。日本でも不動産市場の証券化REITの急激な普及による歪みもその原因の一つではないかとも思う。
REITそのものの考え方は、非常に優れていて間違っていないと思う。例えば、出資する側からすれば、なけなしのお金でアパートを建築してそのリスクを管理するよりも、流動性があり、様々なリスクを回避できる点。地元ではなく、都心の一等地の不動産経営に容易に参入できる点など、メリットは大きい。
ただ、急激な日本のREIT市場の普及は、体質的に不動産業界は、安易な新興業者の参入を許す土壌がある為、その信用システムが崩壊し、カネ回りが止まった場合、他産業よりも深刻な局面に突入しやすい。不動産分野は、バランスシートが破壊されて複合不況に陥ることを繰り返しているようだ。
日本のREIT市場は、1998年にSPC法ができて、不動産の流動化が可能になったことにはじまる。地方銀行に退蔵されていた投資資金や、REIT市場で実績を積んだ外国人のマネーが大挙日本に上陸し、バブル崩壊で二束三文に近くなった都心の一等地をファンドマネーが買い漁った。そのおかげで都心の不動産ミニバブルをつくった。
アーバンのような業者は、ファンドに買ってもらうための投資物件として中古物件を改装し付加価値を高め転売する事業で、瞬く間にビジネスとして盛り上がった。
スルガコーポレーションのように反社会勢力と関係して地上げに手を染めた業者だ出はじめるに至り、日本はバブル崩壊から何も学んでいなかった。個人向けノンリコースローン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3
は、「いつか来た道」と嫌な予感がした。
真っ先に米国のサブプライム問題で海外マネーが日本を離れ、日本のREIT市場メカニズムが暗転した。地銀などが相乗りした協調融資は資金集めできなくなり、日本のREIT市場も価格が低迷しだした。作りすぎた都内高級マンション市場の需給バランスも悪化した。所得が低迷し、「将来に対する唯ぼんやりとした不安」を抱えるサラリーマンがこれ以上都心のオクションを購入できるわけが無いと思っていたが、その通りになった。
不動産業者・マンション業者のマーケットリサーチ能力の欠如による自業自得の面も大きい。そこへ例の、姉歯建築士の耐震偽装問題による改正建築基準法と世界的な資材価格高騰の追い打ちである。
建築基準法が改正されたことによる、官製不況は、官に責任転嫁した不動産マンション業者の甘えにすぎない。明らかに供給過剰のマンションの供給がストップしたのは、逆に不幸中の幸いではなかったのか?とも思う。
アーバンの破綻は、マンション業者の在庫一掃セールに一層の拍車がかかり、いつか来た道へ戻っている。商業用不動産とて、例外ではない。ノンリコースローンを裏付けとしたCMBSも格下げされた。
http://tennisnotsubo.blog75.fc2.com/blog-entry-74.html
J−REITが無傷であることはありえない。構造的にREITは配当を自己資本として蓄積できず、財務基盤が脆弱だ。私募ファンドもレバレッジをかけすぎている。
バブル崩壊で、なんら学習効果がない日本の不動産業界関係者はこの際、一斉退場していただくことに私は異存がないが、日本経済に波及する甚大なダメージが問題である。
米国はファニーメイとフレディマックの支援を電光石火で決めた。今回も、日本の不動産不況に対し何等動きは見えない。日本は、またもたついている。J−REITの低迷や不動産バブル崩壊不況を繰り返す予感がする。当局が例えば、一時的に不動産の共同買取機構を設けるなどの処方箋をしめせないことは今のところ容易に想像がつく。
同じ失敗を二度も三度も繰り返せば、笑い物になるどころか、世界中から日本を軽く見られ、相手にされなくなるだろう。世界における日本の地位の下落に拍車がかかってしまいそうだ。
【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/15187583.html