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(回答先: 明大生協労働組合・・・ 深刻な大学の退廃ぶりが浮き掘りにされた。 -明治大学の責任を問う- 【明大生協闘争支援協議会】 投稿者 hou 日時 2008 年 3 月 26 日 21:44:41)
http://www1.ocn.ne.jp/~kcunion/
熟読玩味(35)偽装事業主 労働ダンピング あの手、この手
偽装請負、偽装出向、人件費を削減するためには、なりふり構わずという事例が目立ちます。アルバイトと請負契約を結び、雇用主の責任を全て、放棄するという、極めて悪質な事例が報道されています。
朝日新聞(夕刊)2006年11月22日・・・・ 従業員が一方的に「事業主」扱いにされ、残業代の支払いや労災の補償などを受けられないといった被害に遭うケースが増えている。22日には、不払い残業代や慰謝料などを求める訴訟を起こした20代の男女4人が、厚生労働省で記者会見し、「知識がない若者に狙いを絞り、不法行為が横行している」と被害の実態を訴えた。
会見したのは大阪市の中馬武士さん(24)、東京都の岩田真理子さん(28)ら。中馬さんは02年10月、東京都内に本社があるイベント企画会社に、カード販売促進スタッフとして時給制のアルバイトで採用され、スーパーなどに派遣されて新規会員の募集などをしていた。だが1年後、「業務委託契約」に切り替えられ、「個人事業主」扱いに。何の説明もなく「契約書」を書かされ、本社異動後も「事業主」のまま長時間労働や休日出勤をさせられた上、残業代や交通費なども出なくなった。
労働者が企業で働く場合、失業手当やけがをしたときの治療費などを保障する雇用保険や労災保険への加入が原則として義務づけられている。雇い主は、保険の種類によって全額ないし半額を負担しなければならない。
だが、労働者を「社員1人でやっている取引先の自営業者」と解釈し、個人事業主との請負や委託の形の契約とすることで、保険料は自己負担となる。労働者でなくなれば、残業代や有給休暇、最低賃金など労働関係法の保護からも外れる。
中馬さんらは10月中旬、会社を相手取り、不払い残業代や慰謝料などを求めて東京地裁に提訴、労働組合も結成した。中馬さんは「『そういうものだ』と疑いもしなかったが、会社は巧妙だった」と怒りを込めた。会社側は「お答えできない」としている。
偽装請負が問題にされていますが、この事例は、アルバイトを「個人事業主」に偽造したものです。労働基準法と労働基準監督行政の根幹を揺るがす問題です。労働者を労働者と認めないのですから、労働者の定義を巡る法に対する挑戦でもあります。
同様な問題は、実質的に安価な労働力である、外国人研修生(研修期間であり、技能を学んでいるから、学生と定義され、労働者としては、認められていません。実際には、研修が行われていないばかりではなく、禁止されている時間外勤務も、深夜に及び、時給も
350円など、最低賃金を下回る労働条件が常態化しています。)にもあてはまります。労働基準監督署は、こうした事例でも多くの場合、労働者ではないとして、適正な時間外勤務手当の支払を命じてはいないのです。
NHKのニュースでも、この問題が取上げられ、(11月23・24・26日)「厚生労働省は、今後、研修生らを法的に保護することなど、制度の抜本的な見直しを進めることにしています。」と報道されていますが――――ちなみに、23日は、「外国人研修生1万人が失そう」
24日は、「受け入れの2900社、保険未加入」26日は、「外国人研修 不正200件超す」が問題の発端です。
偽装事業主の問題は、「被害に遭うケースが増えている。」というレベルではないと思います。報道されているのは氷山の一角に過ぎません。私が担当した労働相談の中でも、2件の偽装事業主の事例がありました。いずれも、IT技術者が、雇用主に請負契約の締結を強要され、労働者性を放棄させられていた事例です。
この両者の事例では、労働者は、雇用主と請負契約を締結し、労働者は、IT大手企業に派遣されていますが、雇用主はIT大手企業と請負契約を締結する形をとっています。しかし、業務上の指揮監督は、IT大手企業社員が行っているのですから、偽装事業主と偽装請負の併せ技です。
こうした契約形態はIT業界では、かなり蔓延していることが、日本経済新聞 2006年10月16日「システム大手 請負 点検 野村総研 契約に指針 NTTデータ 全社員に研修」などの報道で窺えます。又、事例の内、Aさんは、金銭解決で退社後、再就職も全く、同じ形態で、今でも、個人事業主のままです。
両者の事例では、月額報酬は40万円超と、一見高いように見えますが、ボーナスがないこと、長時間残業が恒常化している職種であること、健保・年金の問題、(当然、国民健保・国民年金)雇用保険がないこと、労災保険がないこと、の大きなリスクを内包しています。更に、雇用が長期的に安定していないことが最大の問題です。
IT技術者の場合、技術革新のペースは、極めて高く、相当高度な教育システムがない限り、本人が持っている職務上の能力や技能は数年で陳腐化する可能性が高いのです。不要とされた元IT技術者は、解雇という形さえとられず、契約を一方的に打ち切られる可能性が高いのです。
これは、完全に、労働者を商品として捉え、使い捨てを前提とした契約です。IT技術者のあいだでも、階層の分離が進行しているようです。システム設計を行う、中核的な技術者と、主として、メンテナンスなどの定型的な業務を担当する技術者への分化です。後者は、事例に見られるように、物理的な力として扱われ、景気変動の調整弁として、教育も受けず、磨耗するだけの部品と化しているのです。
(11月27日 上泉)