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(回答先: Re: シュレディンガーの猫の意味とは? 投稿者 短足鰐 日時 2008 年 6 月 27 日 20:39:49)
「量子力学の反乱」より引用つづく
第13章 量子力学の自然像
〈人間の認識はどこまで客観的か?〉
量子力学の自然観は素朴実在論ではあり得ない。だがこのことをもって、客観的な認識が不可能になったというのは間違いである。認識における主体を縛る物質的条件が存在することだけでは認識内容が客観的な対象を表現することを妨げない。量子力学によって初めて、認識主体の作用を科学の内部において具体的に扱わねばならなくなったが、それは量子力学が、…認識主体の物質的条件まで問題にしなければならない段階まで自然の認識が深く進んだためなのである。
〈「本質の世界」では存在と非存在が共存する〉
本質のレベルでは、現存在と現象のレベルで互いに他方を排除する事柄がいくらでも共存できる。ある粒子の存在と非存在というような対立する概念が他方を排除するのは、現存在と現象のレベルでのみ起こることなのである。あるいは論理が違うと見ることもできる。矛盾律が、本質の領域では成り立っていないように見えるからである。
〈自然を語る言葉はあるのか?〉
量子力学が発見した「現存在と現象」とは違うレベルの「本質」の存在は人類史上はじめて明らかになったことで、それは…あらゆる自然観・世界観に深い影響を及ぼさずにはおかない。ベルの定理とベルの不等式を否定した実験は量子力学の正しさを示した。量子力学的自然観は、背後にある(変数)を想定して説明することが不可能であることを示した。このことによって、量子力学を文字通り一言一句まで正しいと思わなければならなくなったのである。
量子力学が与える自然像は…「現存在と現象」の背後にはそれを統一している「本質」があるが、それは複素数を使わなければ表現できないようなものであり、…古典物理学的に「物質」とは「実在」を定義すれば、そういうものは存在しないことになる!