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(回答先: Re: シュレディンガーの猫の意味とは? 投稿者 短足鰐 日時 2008 年 6 月 27 日 20:39:49)
「量子力学の反乱」より引用つづき
第7章 粒子でもなく波でもなく
(二つのプリズムを波長より狭く接した一つのだけの装置の実験で)1個の光子だけの状態を使って、光子が“波動性”と“粒子性”を同時に示すことを明らかにした。この実験そのものが、1個の観測では波か粒子かどちらかしか出現しないというボーアの相補性を明白な形で破っている。
第10章 ベルの不等式が破られるとき
〈隠された変数の理論〉
隠れた変数の理論−フォン・ノイマンが『量子力学の数学的基礎』という著書で、隠れた変数の理論の不可能性を“証明”してしまった。
ところが、「フォン・ノイマンの定理」は成立していなかった。数学的には正しいが、三つの仮定のうちの一つが、量子力学で扱わねばならない重要な場合に成り立たないことが後に明らかになったのだ。このことを1952年に具体的に示したのがボームであった。
そのため(局所的な)隠れた変数の理論はまだ可能性がある、と一般には信じられていた。それが誤りであることを発見したのが、ベルであった。
〈ベルの定理−アスペの実験〉
隠れた変数の理論では必ず次の不等式が成り立つことをベルは示した(1964年)。
|P(a,b)−P(a,c)|≦1+P(b,c)
アスペの実験の結果はベルの不等式を破っており、量子力学の予言ときわめてよく一致した。このことはベルの定理によって隠された変数の理論が否定されたことを意味する。
〈量子力学の議論は新段階へ〉
アスペの実験はEPRパラドックスが単なる思考実験としていたものを光子を使って実行し、その結果、量子力学がまったく正しく、EPRが“パラドックス”とした現象が自然界でその通りに起こっていることを明らかにしたのである。量子力学を正しく適用すれば、EPRパラドックスはパラドックスではなくなるのである。
ラオホの実験(アルミによる位相器によるもの)も、アスペの実験(遅延選択実験)も、量子力学を文字通りに信じなければならないことを示している。ボーアとアインシュタインの論争が行われた頃とは状況が大きく変わってきたのである。