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タケシの番組を見直していると、WTCビルのツインタワー崩壊で、シルバースタイン氏が80億ドル手にいれたと「報道」しています。番組の私なりの検証途中でであったサイトです。
番組ではシルバースタイン氏がユダヤ人であるとは紹介していなかったので、驚きです。
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名無し人の観察日記
http://plaza.rakuten.co.jp/kurukku2004/diary/20071027/
15日に日本テレビ「世界まる見え! テレビ特捜部」で911陰謀説を紹介する番組が取り上げられたとのこと。「まる見え」は好きな番組のひとつで、残念ながら最近は仕事が忙しく見られない事のほうが多いのですが、この回も見てませんでした。
海外の過激ないたずら番組や、難病や災害の現場から奇跡の生還を果たした人々のドキュメンタリーと言った定番は良いと思うんですが、今更911陰謀説なんかを取り上げたことにはちょっと失望しました。調べる限り、今までに散々論じられた911陰謀論と大差無い内容だったようですし。
見た友人に確認したところでは、主流のブッシュ政権自作自演説ではなく、WTCのオーナー、ラリー・シルバースタイン氏が保険金詐欺を目論んでテロに見せかけてWTCを破壊したのではないか? と言う内容でしたが、良くもまぁこんな下らない陰謀説に未だに需要があるものだと感心するやら呆れるやらです。
まず最初に断っておきますが、このオーナーによる自作自演説は911陰謀論の割と初期から唱えられていた説で、この説が持ち出された背景には未だに欧米社会に残っているユダヤ人差別問題が横たわっています。
シルバースタイン氏は姓で見てわかるようにユダヤ人で、大手不動産業者として成功を収めている人物です。ユダヤ人差別を広めたい連中にとっては、彼がWTCのオーナーだったことは格好のネタに思えたようですが、こんな下賎な連中の広める説に付き合うのがどれだけ馬鹿馬鹿しいかは言うまでもありません。
そもそも、シルバースタイン氏の自作自演説には初手から大嘘が混じっています。それは、「シルバースタイン氏がWTCにかけていたテロ保険で80億ドルの保険金を手にした」と言うくだりです。これはネットで検索をかけてみると「80億ドル手に入れた」と断定調で書かれているケースが多く、かなり広まっている噂のようですね。
実際は「80億ドル」と言うのはシルバースタイン氏が保険金会社に払ってくれと言った数字で、彼がかけていたテロ保険の総額は35億ドルです。飛行機二機が突っ込んだのを「テロが二回起きた」と数えて二回分の保険金を払って欲しい、と言うのがその主張ですが、保険会社はその言い分を却下。最終的にシルバースタイン氏に支払われるべき、と裁判所が判定した保険金の総額は46億ドルにとどまっています。
それでも巨額には違いないですが、シルバースタイン氏はWTC跡地の再開発計画(フリーダム・タワービル建設)に20億ドルの支出を予定している上、911後のニューヨークの地価下落は、保険金など軽く吹っ飛ぶくらいの大損失を彼にもたらしています。陰謀の主犯にしてはマヌケな話ですね?
もうひとつの嘘が、「大した被害も無いのに倒壊したとされるWTC7ビル」の問題です。このビルもシルバースタイン氏所有だった、と言うのですが、それは当たり前の話で、WTC1、2、7の各ビルを含むWTC全体の地権者がシルバースタイン氏だったからです。陰謀論者は倒壊の経緯が怪しいとされる3つのビル「だけが」シルバースタイン氏所有だったかのように風説を流布していますが、これは実に卑怯なやり方だと私は思います。
加えて、WTC7は「大した被害が無い」どころか、WTC1、2の倒壊時に起きた衝撃と飛散した瓦礫によってかなり広範に壁面を破壊され、火災も発生していたことが確認されています。
このように、シルバースタイン氏自作自演説はその前提からして嘘・大袈裟・紛らわしいの三拍子で到底信用に値しない話なわけですが、他にも番組中で疑問とされた部分は、全部公式調査報告書で論破されまくりなネタばかりだったりします。
1.ワールドトレードセンターは旅客機の突入に耐えられたのではないか?
2.ジェット燃料で起きた火災は、そんなに大きかったのか?
この二つは私が「陰謀論者は本当にアフォだな」と思う点なので、まとめて取り上げます。
WTCは旅客機の激突では崩壊しない設計だ、だから怪しいと陰謀論者は説きます。
火災ごときで崩れたビルはない、だから怪しいと陰謀論者は説きます。
しかし、WTCで起きた事象は「旅客機が突入し、かつ火災が起きた」です。多くのビルは確かにどっちかには耐える作りなのでしょうが、両方をまともに食らったビルはありません。それを無視して片方だけを取り上げ、「こんな事ではビルは壊れない!」と主張するのは、痴的な行為としか言いようがありません。
3.速すぎるタワーの崩落速度
よく言われる話ですが、「ビルが自由落下と同じ速度で倒壊したから、爆破解体された」と言うのが陰謀論者です。しかし、この人たちは「どこからどこまでがビルが倒壊した瞬間なのか」という事を説明してくれません。あの時の映像を見た人はご存知だと思いますが、ビルが倒壊した瞬間に猛烈な粉塵が発生して、「ビルが完全に壊れきった瞬間」を見る事ができた人はいなかったはずです。
また、自由落下にこだわる人がいますが、数千トンかあるいは数万トンにも及ぶであろうビルの上層部がたかが400メートル落下するのに、「素人がストップウォッチで計ったくらいで自由落下と有意な差が観測できる」ほどの要素が何か存在するとは思えません。金星みたいに濃密な大気があるならともかく。
中には「自由落下より速い速度で落ちた」と主張している陰謀論者もいるんですが、屋上に上向きに噴射するロケットでもあったんでしょうか……?
4.不可解な崩落現場の状況
ビルが粉々にぶっ壊れたから爆破解体だと言うのですが、爆破解体というのはビルを粉みじんにするほどの爆薬を仕掛けるのではなく、ビルが自重で建っていられない様に、急所を選んで爆薬を仕掛けて破壊するものです。
爆破と飛行機の衝突+火災の違いはありますが、爆破解体されたビルとWTCは「強度限界を超えて倒壊した建物」と言う共通点があり、倒壊現場が似たような状況でも不思議には思いません。
で、この「爆破解体に似ている」という説は陰謀論者同士の説が矛盾しあうと言う状況を生んでいます。崩壊現場から出た細かいコンクリの粉塵を見て「こんなに細かくビルが粉砕されたのは、地下で核兵器が爆発したからだ」という電波を飛ばす陰謀論者がいるのですが、その横で「ほらこんなに制御解体にそっくり」と、「大量の粉塵が出ている」他のビルの解体場面を紹介している別の陰謀論者がいます。他のビルも核兵器で解体してるんでしょうか?
お互いに殴り合いにでもならないかとワクテカしてるんですけどねぇ(笑)。
5.爆発音に関する証言
爆発音を聞いた、という証言が多いことを爆破解体の証拠にしている陰謀論者がいますが、この生存者たちの「爆発音を聞いた」というのは、救助中、あるいは避難中に二機目の旅客機が突入したときや、最初のビル倒壊時の轟音を爆発音と聞き間違えた、というケースだそうで、要するに陰謀論者のトリミングです。
6.謎の白い煙
ビルが倒壊する時に、炎上していない下層階から白い煙が出た、というのを爆破時の煙だと主張している人がいますが、これについてはビル倒壊時の気圧変化で下層の室内気圧が高まり、窓を破って噴出したものであると説明されています。
爆破爆破とうるさいですが、すでに「上層階が自由落下並みの高速で」崩壊し始めたときにタイミングよく爆破できるとは、その解体業者はずいぶん優秀なんでしょうね(棒読み)。
というか、倒壊し始めてるのに爆破する意味があるのかと。
で、これらの話を紹介したあとで、物理学者のスティーブン・ジョーンズが「あれは飛行機の激突ではなく、サーマイトで爆破解体されたのです」と言うのは、もはやお約束というか伝統芸能と化しているようですね。
サーマイト(テルミット)とはアルミニウムが他の金属酸化物から酸素を奪う(還元する)反応を利用して高熱を得る冶金法で、溶接などに広く利用されています。ジョーンズ博士はこのテルミット反応の痕跡がWTCの跡地で見つかったというのですが、アルミは飛行機の材料として使われています。添加物だという硫黄も、航空燃料や駐車場の車のガソリンに含まれているかもしれませんね。
ハイ終了。
と言いたいところですがもう少し続けましょう。
ジョーンズ博士は核物理学の専門家ではあっても冶金工学の専門家ではないのですが、肝心の冶金工学の専門家にジョーンズ説を支持する人はいないようです。という事は、プロの間では概ねこれは珍説扱いと言っても過言ではないでしょう。物理学者と言うと「おおすげぇ」となりがちなので、肩書きのハッタリという点では文句無しなのでしょうが……ちなみに、ジョーンズ博士のサーマイト説は核兵器爆破説の陰謀論者からは、核兵器爆破の痕跡を隠蔽する為の陰謀だといわれているようです(爆笑)。
さて、陰謀論を見て思うのですが、保険金詐欺をあんなド派手にやる必要がどこにあるでしょうか。夜中に放火でもしたほうがまだマシです。保険金詐欺といえばサスペンスドラマの定番ですが、それに例えるなら、冒頭で被害者を白昼堂々バズーカ砲か何かで吹き飛ばすようなもので、こんな脚本を書いてくる奴がいたら、私が番組責任者なら速攻でクビにします。
それに、保険金詐欺説には致命的な欠点があります。これではペンタゴンへの突入と墜落したユナイテッド航空93便はなんだったのか説明できません。
これでも保険金詐欺説にしがみつく人間は、ユダヤ憎しのあまり人間として大事な何かをどっかに置き忘れてきたんだと見なすしかないです。