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在日米軍再編の先駆けとして、米陸軍第一軍団の前方司令部が神奈川県キャンプ座間に発足した。２０１２年度までに陸上自衛隊の中央即応集団司令部も置かれる予定で、米軍と自衛隊の連携を強化する再編の「象徴」といえる。（樋口 薫）
座間、相模原市にまたがる約２３５ヘクタールの広大な敷地に、在日米陸軍の司令部が置かれるキャンプ座間。同基地に駐留していた第九軍団が１９９５年に消滅して以降、在日米陸軍はアジア・太平洋地域の有事に米本国から派遣される第一軍団（ワシントン州）の後方支援部隊と位置づけられてきた。
それが今回、第一軍団の「展開可能で統合任務が可能な作戦司令部」（０５年１０月の日米安保協議委員会中間報告）に再編された。四軍（陸・海・空軍、海兵隊）の一元的な運用体制をとる米軍にとって、統合軍を指揮できる司令部の存在意義は大きい。
米軍は、冷戦終結に伴って一度は撤退させた陸軍戦闘部隊の司令部を再配備したことになる。その理由は中間報告で、テロなどの「新たな脅威の発生」と説明されている。突発的な有事の際、迅速に対応できる態勢づくりが必要ということだ。同時に米政府が「不安定の弧」と呼ぶ、北東アジアから中東へと至る地域ににらみを利かせることにもなる。
さらに注目すべきは、陸自の対テロ部隊を持つ中央即応集団の司令部が、埼玉県朝霞市からキャンプ座間に移転されることだ。第一軍団司令官のチャールズ・ジャコビー中将は前方司令部の役割について、真っ先に「自衛隊との調整や演習を迅速かつ円滑に行うこと」を挙げた。
今回の再編では、航空自衛隊の航空総隊司令部（東京都府中市）も、在日米空軍司令部のある横田基地（同福生市など）に移転。海上自衛隊の自衛艦隊司令部と在日米海軍司令部は既に神奈川県横須賀市で隣接しており、日米の陸海空の中枢が同一拠点に置かれることになる。
前方司令部の発足、そして米軍と自衛隊の連携強化で、キャンプ座間の軍事拠点としての重要性が増すことに、地元自治体は強い警戒感を示している。今月１９日に同基地で開かれた前方司令部発足の記念式典では、招待された知事と周辺７市の市長らがそろって出席を辞退するという異例の事態が起きた。
さらに地元が懸念するのは、司令部の本体機能の移転だ。今回、座間に設置されたのは「前方」司令部で、あくまで米本国にある司令部の一部。その活動が及ぶのは「日米安保に基づく周辺事態の範囲」（在日米陸軍広報室長）にとどまる。
だが在日米陸軍の日米防衛政策調整部長クレッグ・アゲナ大佐は、本体機能についても「時期は決まってないが、いずれは移転する」との認識を示している。一方、国は「（移転が）決定したとは承知してない」とのあいまいな説明に終始し、地元自治体は不信感を募らせている。（相模原通信部）
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