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http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20071119/CK2007111902065478.html
2007年11月19日
来年八月に横須賀基地へ配備される原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」が現在所属する米国バージニア州のノーフォーク海軍基地。米東海岸のチェサピーク湾の入り口に位置し、湾奥のポトマック川河畔に首都のワシントンがある。
横須賀基地も東京湾の出入り口、浦賀水道わきにあり、その奥に首都、東京の市街が広がる。ともに深い入り江に恵まれた天然の良港で、開設された当初から米海軍と旧日本海軍の中枢基地だったこともよく似ている。
空母艦載機の拠点として、周辺地区にオシアナ基地と厚木基地があることも共通しているが、実際に見て大きく異なるのは、その規模だ。
海軍で全米最大のノーフォーク基地は、米海軍横須賀基地の六倍近い約千八百ヘクタール。東京ドーム約三百九十個分の広さだ。巨大な桟橋が十四もあり、原子力空母五隻の母港で、軍人だけで横須賀の五倍を超える五万四千人が勤務する。
オシアナ基地はもっと広い。面積は約二千四百ヘクタールで東京ドーム五百二十個分もある。ノーフォークの五隻の空母航空団に所属する戦闘攻撃機ホーネットなど約二百六十機の訓練基地だ。常時、八十−九十機が、爆音をとどろかせて陸上空母着艦訓練を繰り返している。
日本での勤務経験もある広報官のスニードさんは「飛行訓練は(厚木基地のような制限はなく)二十四時間、毎日でも行うことができる。ただ、基地の周囲に住宅が増えて騒音の苦情は出る」と話す。
騒音対策のため、海軍は基地の周囲の農地を取得して民間に貸し出し、緩衝帯にしているほか、騒音被害が出やすい地域への住宅建設計画については、周辺自治体の議会で実情を説明し、控えるよう助言をしているという。
原子力艦に対する日米間の住民意識にも大きな差がある。ノーフォークでは、横須賀で強い原子炉事故を不安視する声は少ない。
その背景には、GWのダイコフ艦長が「安全プログラムは、技術や教育面などにわたるしっかりしたものであり、過去五十年間も事故がなく運航されている」と訴えるように原子力艦開発の長い歴史がある。
世界初の米原潜「ノーチラス」が原子力による運航を開始した一九五五年から、半世紀を超えた現在、米海軍が保有する七十隻余の潜水艦はすべて原子力推進。十一隻の空母も横須賀基地の「キティホーク」が退役すれば残るのは原子力だけ。コストが高いといわれながら、燃料補給なしで事実上無限に航続できる戦略的重要性から今後も通常動力型の空母建造計画はない。
十月下旬、米原潜「ハンプトン」で原子炉の安全点検を怠り、記録を改ざんしたとして艦長が解任される事態が発覚したが、GWの原子炉担当責任者のシルクマン中佐は「安全システムがしっかりしているが故に勤務の怠慢もすぐ発見できた」とむしろ、安全管理への自信を強調した。
一方、唯一の被爆国で原子力を平和利用に厳しく限定する日本には、原子力推進の艦船はなく、安全性を独自に検証する技術的な蓄積もない。加えて米海軍の原子炉の技術情報は、軍事的優位を保つための極秘事項。安全性をめぐる市民意識の溝は、日米間で隔たる安全保障戦略と核開発の歴史が大きな影を落としている。 (斎藤裕仁)
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