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2007.11.17(その1)
森田実の言わねばならぬ[733]
平和・自立・調和の日本をつくるために【524】
小沢民主党代表インタビュー(朝日新聞2007年11月16日付朝刊)へのコメント[その1]
小沢代表の「政治判断は今でも正しいと思っている」との発言について
「人間に理性と創造力が与えられているのは、自分に与えられたものを増やすためである。だが、人間は今日まで破壊するばかりで創造をしたことがない」(チェーホフ)
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〈はじめに〉民主党は「政権交代可能な2大政党制の確立」と「総選挙による政権交代の実現」を国民に公約してきた。先の参院選で民主党を支持した有権者は、民主党がこの公約を破ることはありえないと思い込んでいた。だが、小沢一郎代表は、福田首相の「大連立」の話に乗ろうとした。民主党役員会が小沢代表を止めたために福田首相と小沢代表2人の「大連立」の談合は失敗したが、多くの民主党支持者が小沢代表のこの行動に失望したことは事実である。小沢代表が福田首相らの「大連立」の仕掛けに乗ろうとしたとすれば、この小沢の行為は先の参院選で民主党を支持した有権者に対する背信行為であり、裏切りである。小沢氏は、7.29参院選において「国民生活第一主義」とともに「まともな政治」と「政権交代」を強く主張した。今回、小沢氏が福田首相側の「大連立」の誘いに乗ったことは、「まともな政治」の否定である。「政権交代」の公約への違反である。
小沢一郎氏の狙いは民主党役員会において否定され、阻止された。小沢代表はいったん辞意表明をしたが、2日後に撤回した。この間、全党あげての慰留運動が展開された。だが、いったん行った辞意表明を撤回するという潔くない行為は、政治指導者に期待される誇りある生き方に反するものである。さらに、民主党の国会議員が、菅・輿石両代表代行と鳩山幹事長らの号令に従って大慰留運動を起こしたことも、とうてい納得できることではない。
私は、こういう点について、小沢氏と民主党指導者には謙虚に反省してほしいとの願いを込めて、小沢氏の行為に対して批判をした。この私の言論に対して、小沢支持者から激しい反発を受けた。「小沢氏を批判してはならない」との私に対する厳しい個人攻撃をも含む非難に直面している。民主主義は言論の自由の上に成り立つものである。政治に対する批判は必要である。民主党全体が小沢代表の行動を、冷静に批判的に受け止めることができる日が1日も早く来ることを祈りつつ言論活動をつづける。
11月16日付朝日新聞朝刊のインタビューで、小沢氏は「一連の経過の総括と今後の政治戦略は」との問いに、「政治判断は今でも正しいと思っている」と答えている 。ここには、「私に反対した民主党の役員会が間違っている」という小沢氏の認識がある。この発言は、今後も小沢氏をめぐるトラブルが繰り返されるおそれのあることを暗示している。小沢氏もそれなりの年配者である。トラブルメーカーの汚名をそろそろ返上することを願う。
ちなみに、小沢氏は11月7日の党両院議員懇談会における冒頭の辞意撤回発言で、こう述べた。
《…政策協議について役員会で話した。いま思えば、「総選挙に向けて頑張ろう。私が先頭に立つ」とまとめればよかったと反省している》(朝日新聞11月8日付朝刊「小沢代表の発言要旨」より)。この反省は本心からの反省だったのだろうか?!
小沢代表は、11月4日の辞意表明――「民主党代表としてけじめをつけるに当たり」において「民主党内外に対するけじめとして民主党代表の職を辞することを決意し…」と声明し、3日後の「辞意撤回声明」においては「党首会談をめぐり、国民、民主党の支持者、党員、同僚議員に迷惑をかけ、心よりおわびする」「反省している」と表明した。そして今回、11月15日に行われた朝日新聞のインタビューにおいて、「政策判断は今でも正しいと思っている」と語ったのである。この発言には一貫性がない。かなりのブレが感じられる。
「けじめをつける」(11月4日)、「心よりおわびする」「反省している」(11月7日)、「今でも正しい」(11月15日)の3つの異なる発言が示すのは、小沢氏の心の動揺の軌跡ではないだろうか。困難に直面して動揺しないことが政治指導者に求められる資質である。小沢氏はなぜ、これほど動揺したのだろうか。小沢氏を根底から動揺させたものはなんだったのだろうか。(つづく)
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2007.11.18(その1)
森田実の言わねばならぬ[736]
平和・自立・調和の日本をつくるために【526】
小沢民主党代表インタビュー(朝日新聞2007年11月16日付朝刊)へのコメント[その2]
「小沢離党説」について「ばかじゃないか。そういうばかげたことを言う人が党内の一部にいるから、いやになった」との発言について
「政治においては、何をしても軽蔑されない」(ディズレーリ)
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小沢代表の辞意表明後、民主党内に異常なことが起きた。全党あげての慰留運動である。トップリーダーが辞意表明したら、それを素直に受け入れるのが政界の普通のやり方である。ところが民主党議員は菅・輿石両代表代行と鳩山幹事長の指揮のもとに激しい小沢慰留運動を起こした。「慰留運動に水を差すような発言をしたら民主党にいられなくなるような異常な空気だった」と某議員は語っていた。私は何人かの民主党議員に「なぜ慰留運動のようなヘンなことをやるのか」と質問したところ、「小沢代表は17名以上の参議院議員を連れて離党し新党を結成するかもしれない。こんなことをやられたら民主党はオシマイです。小沢代表を慰留する以外に民主党分裂を阻止することはできない」との答えが返ってきた。私が「小沢代表がそんなことをするはずはない。そんなことをしたら、その瞬間に小沢さんの政治生命は終わってしまう。そんなことはありえないのではないか」と言うと、「森田さんは党内のことを知らないからそんなノンキなことを言うのです。小沢さんならやるとみんな思っていますよ」と反論された。まわりに数名の国会議員と前議員がいたが、この話にうなずいていた。
事実は、分裂への恐怖が小沢代表を慰留する大運動を生み出したということである。多くの民主党員が分裂の恐怖におののいて小沢代表にひれ伏したのである。これで政党といえるのか、と私は思い、批判したが、受け入れられなかった。
小沢代表慰留運動を起こした議員のなかには、「小沢氏は民主党にとってかけがえのないリーダーであり、小沢氏が代表の座を去ったら総選挙には勝てない。小沢代表なき民主党に未来はない」と強く主張した者がかなりいたことは確かである。ただ、この主張にも問題がある。民主党は小沢氏一人の党ではない。3年前の参院選で小泉首相に勝った岡田克也元代表もいる。菅代行、鳩山幹事長もいる。繰り返すが、「分裂恐怖症」に罹っていた者も相当数いたことも事実である。
小沢氏の「ばかじゃないか」発言を素直に受け取ると、慰留運動をした民主党議員の多くは自らの誇大妄想に翻弄されたことになる。
民主党はこの苦い体験を踏み台にしてより強い政党に成長してほしいと思う。政党のトップリーダーが辞意を表明したら、党員は素直に受け入れるべきである。慰留などということは政治家のやるべきことではないと思う。トップリーダーも辞意撤回などは行うべきではない。民主党は今回の騒動を教訓として大人の政党に脱皮すべきである。民主党は大切な政党である。小沢氏がいなくなっても生きていかなければならない。(つづく)
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2007.11.19(その2)
森田実の言わねばならぬ[740]
平和・自立・調和の日本をつくるために【529】
小沢民主党代表インタビュー(朝日新聞2007年11月16日付朝刊)へのコメント[その3]
「大連立の狙い」とくに「憲法解釈の変更」について
「人間には、裏切ってやろうとたくらんだ裏切りより、心弱きがゆえの裏切りの方が多いのだ」(ラ・ロシュフコー)
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「大連立の狙いは」と問われて、小沢代表は次のように答えている。
《首相は連立なら特措法さえも譲って構わない、憲法解釈も180度転換しても構わないと、そこまで言い切った。農業政策、年金、子育て、高速道路無料化など、我々の目玉政策ものむかもしれない。》
1つ1つが大変重要な発言である。分解して検討してみよう。
第一は「(福田)首相は連立なら特措法さえも譲って構わない、憲法解釈も180度転換しても構わないと、そこまで言い切った」との小沢発言は辻褄の合わないところがある(11月17日未明の日米首相会談で「給油再開へ最大限努力する」と福田首相が言明した)。前半の部分については福田首相は否定している。どちらの話が本当なのか。
それ以上に問題なのは、福田首相は、何がほしくて大連立を持ちかけたのか、というところが抜け落ちている。少なくとも、大連立を持ちかけるにはそれだけの合理的理由がなければならない。福田首相側がほしかったのが、第一に新テロ特措法の成立ではなかったのか(福田首相が新テロ特措法を断念したかのような小沢発言には違和感がある)。第二に福田内閣の正統性を民主党に認めさせることだったのではないか。第三に福田内閣が提出している法案の成立を民主党に認めさせることにあったのではないか。
つまり、「大連立」の提案は、福田内閣の正統性を民主党に承認させ、福田内閣の施策に民主党に協力させるためになされたのである。小沢氏は、福田首相の要求を呑む代償として、持論である憲法解釈の変更を求めたのであろう。
そこで、この「憲法解釈の変更」が問題にされなければならない。いったい、この憲法解釈の変更とは何か。民主党は、こんなことを党議決定しているのだろうか(何人かの民主党員に確かめたところ、「そんなことは知らない」と言っている)。
民主党の党議でないとするとこれは何を意味するのか。憲法解釈の変更は、小沢氏個人の主張である。小沢氏は、党議決定されたことではなく個人的見解を、民主党代表という地位を利用し、「大連立」を取引材料にして福田首相に認めさせようとしたことになる。
全民主党員に問いたい。党議決定していない「憲法解釈の変更」を福田首相に要求する小沢代表の独断専行を認めるのか――と。それで民主的政党といえるのか。小沢代表の独善的・独断的行動を認めて民主党はやっていけるのか。この点は、民主党にとっても、民主党支持者にとっても、きわめて重大な事柄である。黙認していいことではない。はっきりしていただきたい
次に小沢代表は農業政策など「我々の目玉政策ものむかもしれない」と言っているが、これはたとえ可能になったとしても、大連立によって福田内閣の正統性を認めたことの代償である。代償が大きすぎる。
7.29参院選において、国民は小泉政治を継承した安倍自公連立内閣を否定した。福田内閣は小泉・安倍両政権を継承した。国民から否定された政治を継いだのである。福田内閣の正統性は、国民によって与えられるしか得られない。つまり選挙によってしか正統性を得ることはできないのだ。総選挙によって国民の支持を得ることだけが、正統性を獲得できる唯一の方法である。これは、民主党代表ただ1人の支持でできることではない。小沢氏1人で福田内閣に正統性を与えるのは越権行為である。
大連立というのは、福田首相が小沢氏の個人的主張を呑む代償として、民主党が福田内閣の正統性を承認することである。これは民主政治、国民主権に違反する行為である。ここが、大連立問題の根本問題である。こんなことはとうてい容認できることではない。(つづく)
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