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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071006k0000m010192000c.html
海上自衛隊のインド洋での給油活動を続けるための「新テロ対策特別措置法」(仮称)の骨子案が5日、政府・与党から野党に示された。なぜ今「新法」なのか。現行法との違い、野党の出方も含めて、狙いと見通しを解説する。
●苦肉の策
テロ対策特別措置法は01年に2年間の期限付きで制定された後、内容は同じまま期限だけを変えて計3回延長されてきた。政府は当初、これまで通り延長法案を出すつもりだったが、一転して新法案を出すことにしたのは、7月の参院選で与党が惨敗したためだ。
現行のテロ特措法は11月1日に期限が切れる。参院は野党が過半数を握ったため、期限内の延長は絶望的だ。同法が失効すれば海上自衛隊は撤退し、法案も事実上廃案となる。同じ法案を同一国会には出せず、法案の再提出は来年の通常国会を待たなければならない。
そこで浮上したのが新法だ。活動内容はほとんど変更しないまま、形式的に別の法案にすれば、11月1日を過ぎても審議を続けられるからだ。
●「大前提をゆがめる」
ところが5日の自民党合同部会では、新法の骨子案に批判が出た。
「2院制を取っている以上、軍隊を動かす時は衆参両院の承認が必要。大前提をゆがめ、危険だ」(河野太郎衆院議員)
現行法と新法案の一番の違いは、国会承認規定の有無。現行法では、衆参どちらかが承認しなければ、海自は即座に活動を停止しなければならないが、新法案ではこの規定が削除される。与野党逆転の参院で承認を得られる見込みがないことを見越した「回避措置」だが、文民統制(シビリアンコントロール)を弱めることになるとの批判は与党内にもあり、特に公明党で強い。
法律の期限も政府案通り「2年間」となったが、国会の関与が弱まるのを懸念する公明党では「1年間」に変更するよう求める声がくすぶる。
ただ、海自の活動内容に変更はない。実際に実施している給油・給水に限定し、現行法に書かれていても実際にはやっていない被災民救援などを削除するだけだ。
また、新たに「法律の目的」の項に国連安保理決議1776を盛り込む。海自の参加する海上阻止活動に謝意を示した決議で、「前提となる国連決議がない」という民主党・小沢一郎代表の主張に応えるためだが、効果はあまりなさそうだ。
●協議拒否の小沢氏
政府与党は5日、野党側に提示した骨子案を元に「9日からの衆院予算委での論戦を踏まえ、最終案をまとめる」(山崎拓・与党プロジェクトチーム座長)徹底した「話し合い路線」で臨む。
これに対し、小沢代表は5日付の党機関紙で「民主党が政権を取った後、国連決議がある国際治安支援部隊(ISAF)に参加する」と表明。政権交代に絡めて、もっと前のめりな対テロ貢献策を強調し、協議呼び掛けをはねつける構え。いわば「毒をもって毒を制する」作戦に出ている。
死者も多数出ているISAFは、憲法が禁じる海外での武力行使につながる可能性があり、政府与党は「非現実的」と否定的。民主党内にも「政権交代後、本当に派遣して死者が出れば大変な責任だ」(中堅幹部)との懸念がある。だが、小沢氏は9日発売の月刊誌でも同様の主張を掲載する予定。「代案のない反対は無責任」との批判に反論し、協議に応じない理論武装に余念がない。【古本陽荘、大貫智子】
毎日新聞 2007年10月6日 8時11分
<新テロ対策特措法(仮称)の骨子(案)>「毎日新聞」10/5
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071005k0000e010019000c.html
◇新テロ対策特措法(仮称)の骨子(案)は次の通り。
1 法律の目的
国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与するため、現行のテロ対策特別措置法に基づき行っている協力支援活動と同様の、海上阻止活動に参加している各国の艦船に対する自衛隊による補給活動を行う。(国連安保理決議1368に加え、1776を書き込む)
2 法律に規定する活動内容
現行のテロ対策特措法に基づき行っている協力支援活動と同様の、海上阻止活動に参加している各国の艦船に対する自衛隊による補給活動に限定する。
3 国会との関係
(1)自衛隊の部隊等の活動規定の詳細化
現行のテロ対策特措法における国会承認事項の内容を新テロ対策特措法(仮称)の条文において規定。
(2)国会報告規定の充実
現行のテロ対策特措法における国会報告事項に加え、新たに、新テロ対策特措法(同)に基づく活動について、1年後に国会報告を義務付け。
4 法律の期限
2年とする。ただし、法律をもって2年以内の期間を定めて延長することを妨げない。
毎日新聞 2007年10月5日 10時52分 (最終更新時間 10月5日 12時51分)
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