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(回答先: <8・15社説から>「戦後レジームからの脱却」を批判し憲法9条の理念にもとづく戦後価値観を称揚する地方紙@(新潟日報) 投稿者 gataro 日時 2007 年 8 月 19 日 10:30:54)
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000540196.shtml から転載。
終戦記念日/戦後の原点が揺らいでいないか
あの日と同じ焼けるような日差しの下、六十二回目の「8・15」が巡ってきた。
折から、「美しい国づくり」を掲げた安倍首相の主導で戦後体制の見直しが進む。改憲への強い意欲も語られる。日本はどこへ行こうとしているのか。性急とも思える安倍路線を前に、先の見えないもどかしさが、いつもの年以上に募る。
そんなときだからこそ、平和国家として歩んだ戦後日本の原点である、あの日の誓いを胸にしっかりと刻み直したい。終戦記念日の意義は、そこにある。
◇
米同時多発テロから、もうすぐ六年になる。この間、国際社会の図式は変わった。テロは拡散し、収まる気配はない。日本の立場もまた、ずいぶん違ったものになっている。
アフガニスタンを攻撃した米国の要請で、海上自衛隊によるインド洋での後方支援が始まった。「ショー・ザ・フラッグ(日本の旗を)」を合言葉にした自衛隊初の「戦時派遣」である。さらに「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上兵力を)」の声を受け、人道支援を目的に、戦闘が続くイラクの国土に陸上自衛隊が派遣された。
陸自は任務を終えてイラクから撤収したが、海と空の支援活動はいまも続く。
「非戦闘地域」という概念で憲法の枠をすり抜けながら、自衛隊の海外活動は拡大してきた。思えば、小泉前政権下での変わりようは、驚くばかりだ。
安倍路線の行方は
その流れは、後継の安倍首相によって、さらに前へ進もうとしている。手続き法を整えた改憲への動きが象徴といえる。
ベースとなる自民党の新憲法草案は、最大の論点である九条を見直して「自衛軍」の保持をうたい、国際的な協調活動に加わる形で海外での武力行使に道を開いている。参院選の選挙公約には、三年後に改正案の発議をめざすことを盛り込んだ。
一方で、集団的自衛権について研究する有識者会議には、行使容認の考えをもつとされるメンバーが多く集められた。
いくら国際貢献が求められているとはいえ、日米同盟重視のなかで自衛隊の海外での役割が増していけば、平和国家とは違う方向に進んでしまわないか。安倍カラーで進む「戦後レジーム(体制)からの脱却」路線に、懸念が付きまとう。それを抜きにして、先の参院選で国民が政権与党に下した厳しい審判は語れまい。
首相は自らの路線の基本にある考え方、歴史認識について、積極的に語ってこなかっただけに、なおさらである。
先の大戦の評価は「歴史家に任せるべきだ」と繰り返し、靖国神社の参拝は「行く、行かないは言わない」とあいまいにした。もともと、タカ派的とされた言動は、首相になって封印された感がある。
それでも、「公共の精神」を強調し、「国と郷土を愛する態度」などを盛り込んだ改正教育基本法をみても、安倍カラーとされるものはにじみ出ている。
あの戦争は六十二年前のきょう、終わった。三百万人を超える国民が亡くなり、アジア・太平洋地域の人々にも癒やし難い傷を残した。その痛切な反省に立って「二度と戦争はしない」と誓い合ったのが、戦後のわたしたちの出発点だった。
いまの暮らしを可能にする安定や繁栄は、その延長に生まれてきたはずだ。
数え切れない人々に苦しみを強いた戦争をどう受け止め、「8・15」の誓いをどう引き継ぐのか。日本の首相として、まず語ってもらわなければならない。
参院選惨敗の後、首相の口から「美しい国」はほぼ消え、「新しい国づくり」が取って代わった感がある。だが、原点が抜け落ちたまま別の言葉で見直しや改革を叫んで、国民の心にどこまで響くだろう。
平和の力を信じて
戦争体験の風化が語られて久しい。いまや戦後生まれが全人口の七割以上を占めており、記憶は薄れ、想像力は働きにくい。歯止めをかけるのは至難といえる。
広島、長崎への原爆投下を「しようがない」と言った前防衛相の発言には耳をうたぐったが、より深刻なのは若い世代にうかがえる意識かもしれない。
格差にあえぎ、将来の見通しが立たないなかで戦争への抵抗感が薄れてきた。そんな指摘さえ聞かれる。単なる時代の流れでは済まされない変化に、たじろぐ。
たしかに、北朝鮮の核は現実の脅威といえる。だが、とげとげしい時代にあって、日本がまずよりどころとすべきは、あの惨禍と復興の体験ではないか。
「戦後日本は平和主義に基づいて中流の生活を土台にした豊かな国をつくった。その存在はすごい力なんだ。平和主義に徹することで、世界を変えうる力がある」
つい先日亡くなった作家の小田実さんが、がんと闘う病床で語った言葉が、本紙に紹介されていた。
力だけに頼って問題が片付かないことは、泥沼状態に陥ったイラクをみれば分かる。戦後、わたしたちが体現した「平和力」に、とりわけ若い人は自信をもて。小田さんはそう言いたかったのだろう。
体験を引き継ぎ、世代を超えて共有して不戦の誓いを新たにする。いまこそ、そうした姿勢の大切さを再認識したい。
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