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(回答先: 憲法改正国民投票法案、衆院砦抜ぬかれる、少しは条件闘争してくれよ。 投稿者 考察者K 日時 2007 年 4 月 13 日 20:50:59)
【国民投票法案の強行採決を前にして 天木直人のブログ4月12日】 http://www.amakiblog.com/archives/2007/04/12/
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憲法施行60年を迎えた今年、改憲の大きな一里塚である国民投票法案なるものが安倍政権の手で一両日中にも強行採決されようとしている。改憲は戦後最大の政治課題であり、国の将来、国民の運命を決める問題である。その改憲に直結する国民投票法案を強行採決するなどという行為を、安倍首相はよく出来るものだと思う。あらためて安倍晋三という政治家の軽薄さと思慮の無さを感じる。しかし私は不思議なぐらい冷静である。その理由をこれから述べてみたい。
その一つは国民投票法案の成立は、確かに改憲に向かっての一里塚であり、しかもそれは大きな一里塚であるのだが、その後には、改憲案の確定、国民投票の実施という、遥かに大きな一里塚が控えているということである。どれ一つとってみても政府にとってその決断は容易なことではない。護憲派にとっては腕の見せどころはこれから来るのである。
様々な思考過程を経て、最後は「憲法9条を一字一句変えてはいけない」という最強の護憲論者にたどり着いた私はあらゆる手段を講じても改憲は阻止さるべきと考えている。改憲の手続きを定める国民投票法案が成立されない限り改憲はできないわけだから、その意味でいえば国民投票法案が成立しないほうがいい。しかしその事のみで反対するというのであれば、「何でも反対」という事になって一般国民の幅広い共感を得られないであろう。改憲の試みは国民の一票によって挫かれねばならない。それは大袈裟に言えば日本人が初めて自らの手で国のあり方を決めると言うことだ。日本の歴史上初めての民主革命である。だから護憲派は国民投票法案阻止がすべてであると考える必要はない。むしろ強行採決という政府の暴挙を逆手にとって、その後に続く本格的な護憲の為の戦いに全力を傾け、国民を覚醒させ、平和国家日本の実現に向けた民主革命のチャンス到来と前向きに考えるべきだ。
もう一つの理由は、国民投票法案をめぐる議論が十分尽くされておらず、たとえ強行採決しても欠陥法律として必ず問題が出て来ると思うからである。強行されようとしている法案が改憲派にとって有利になっている事は勿論好ましくない。しかし所詮は改憲をもくろむ政府がつくる法案であるから、政府がその気になれば、程度の差こそあれ改憲に有利な法案になることは避けられない。しかしそれ以前の問題として今の法案についてはその解釈や運用を巡って曖昧な箇所があまりにも多すぎるのではないか、つまり与野党とも完全に議論を尽くしていないのではないかと思う。そんな状態で政府が強行採決しても必ず将来問題が出てくるであろうし、野党にとってみれば強行採決された法案の不備を指摘し、修正を求めていく事が出来る。またそうしなければならない。
最後に、やはりなんと言っても、国民投票法はあくまでも手続法であって、それに基づいて実際に国民投票が行われる事との間には、天と地ほどの隔たりがあるという事である。政府がどのように改憲に有利な手続法をつくり、その後にあらゆる情報操作をしてみたところで、国民に改憲の決断をさせるということは容易な事ではない。
考えてもみるがいい。今改憲するという事は米国のテロとの戦いに付き合わされるという事である。米国が行っているテロとの戦いは「人間の良心」が悲鳴を上げるほど不合理で残酷な戦いである。米国自身が認めているように、それは終わりのない戦いである。日本の国や国民を守るという本来の防衛とは何の関係もない、米国の戦争、しかもアラブの国民を不当に差別した戦いである。それに付き合わされる事の愚かさに気づかない国民がいるというのか。日本の国民はそこまで愚かでお人よしであろうか。しかもテロとの戦いに駆り出された自衛隊は間違いなく殺し、殺される事になる。それは名誉の死として靖国神社に祀られるものでは決してない。愚かな指導者の命令による犬死だ。それどころか親日的なアラブの民の恨みを買う悲しい犬死なのだ。どの指導者がそのような愚かな命令を自衛隊に下せるというのか。その愚かな命令を、祖国と国民、家族を守るために自衛隊を志した勇者たちが、唯々諾々と従うというのか。
国民投票法案の強行採決をやれるものならやってみろと私は突き放している。後悔するのは安倍首相だ。それはあたかも小泉前首相が、あの愚かなブッシュ大統領を「正しい人だ」と公言してイラク戦争を支持し、その汚名を歴史に残したのと同じように、安倍首相にとっての歴史的な誤りとなる。そんな事をするために自分は総理になりたかったのかと気づく事になる。あまりにも愚かだ。
護憲派は強行採決を前にうろたえる必要はない。その後の事態の進展はその誤りを厳しく責めていくことになる。国民はやがて改憲の愚かさに気づく。護憲派が行うべき仕事はむしろこれからである。
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※コメント[如往]
天木氏曰く、憲法改悪阻止に向けて粘り強く運動を展開していこうとのことですが、1年先あるいはその先の天王山を見据えて運動を再構築していく必要があるでしょう。ただ、その間のことでは“共謀罪”の成立阻止は絶対条件になると考えています。憲法で結社の自由は認められているとはいうものの、“共謀罪”によってその活動が相当に制限を受けることになるのは必至です。考察者K氏のエイプリル・フールの小噺ではないのですが、ここ一・二年東京では交番の無人化がかなり進み、警ら体制が急激に変化しているように見えます。“共謀罪”の施行を前提にしてなのか、おそらく在来の警察官の多くが私服警官や公安警察に編入され、つまり監察や探索へと業務の焦点がシフトしているのではないかと推測しています。現代における新たな形体の警察国家が現出してきそうな気配です。
こうしたことを十分考慮に入れて如何に運動を展開していくべきかを慎重に検討していなければならないでしょう。しかしながら、日本を取り巻く状況の煮詰り具合いがひと度加速化しようものなら一挙に臨界点に達していまい、民主勢力はおろか時の政権与党であっても最早制御不能な事態になることも予想されますので、その点も視野に入れて戦略を立てなければならないと考える次第です。