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中国でも日本でも、労働者に回るべき金が労働者に回らず、米国の国債を買うことに費やされている。米国は豊かになり日本は貧しく
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投稿者 TORA 日時 2008 年 2 月 03 日 13:07:38: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu161.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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中国でも日本でも、労働者に回るべき金が労働者に回らず、米国の
国債を買うことに費やされている。米国は豊かになり日本は貧しく。

2008年2月3日 日曜日

◆「中国の毒入りギョーザ」について。 2月3日 泉の波立ち
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm

 「中国の毒入りギョーザ」について。
 中国の毒入りギョーザが話題になっている。これまでの情報によると、どうやら故意に毒を入れたようだ。

  ・ その毒物質は、工場内にはもともとない。(ミスによる混入ではない。)
  ・ 毒は非常に大量(致死量* )であり、偶然の混入や残留ではない。
  ・ 外部からの通常の持ち込みは念入りにチェックされている。
  ・ 工場は清潔でクリーンルームのようだ。

 こうして「ミス・偶然」などの理由は却下される。
 その一方で、労働紛争があり、解雇・低賃金などの理由で、労働者との間で軋轢があったという。また、この手の紛争があると、労働者が頭に来て、製品に金属片などの異物を混入させることは、中国ではよくあることだという。

 そういうことなら、頭に来た労働者が、「経営者に仕返しをしてやろう。ついでに、南京大虐殺をした日本人に毒を飲ませてしまおう」と思ったのかもしれない。
 以下では、このことを前提として考えよう。

 以上のことからすると、毒入りギョーザの真の理由は、中国製品の品質低下というよりは、中国におけるワーキングプアの問題であることになる。工場の技術などが劣っているのではなくて、工場の待遇が劣っていたことになる。現場の工場技術などの担当者に責任があるのではなく、労働者虐待という経営方針を取る経営者に責任があることになる。

 では、真の原因は、経営者なのか? そうも言えない。なぜなら、中国は人口が過剰で、労働者は余っており、賃金を下げるのは経営者としては当然だからだ。実際、経済学の原理によれば、労働力が過剰なときには、低賃金でもいいからとにかく労働者を雇用する方がいい。

急に不況になった場合には、ただの需要刺激で問題は解決するが、ずっと失業者があふれているようなときには、高度成長政策を取る必要がある。その場合には、ある程度の低賃金はやむを得ない。(労働者は余っているからだ。)

 では、経営者に責任がないとすれば、誰に責任があるのか? ……ここまで考えてくると、ようやく、真の責任者がわかる。
 問題の原因は、中国のマクロ経済政策だ。では、どこがまずいのか? いろいろと考えてみると、次のことだろう。

 「中国通貨(元)のレートが低すぎるので、国内の需要が増えない」
 
 中国通貨(元)のレートは低すぎる。そのせいで、輸出が過剰になる。中国には多額の輸出超過の金が入り、その金は米国に預金されている。ここでは、「途上国の中国が米国に金を投資する」という逆転が起こっている。

 通常、このようなことは、ありえない。「先進国が後進国に金を投資して、後進国はそこで金を投資に回す」というのが普通だ。中国はその逆をやっている。つまり、国内に入るべき金が入らず、米国への預金に回って、米国民を(借金で)豊かにすることにしている。中国は、自分の手元には金が入らず、預金通帳の金だけが溜まる、という形だ。

 当然ながら、国全体では、入るべき金が入らないので、その分、貧しい生活を強いられる。また、投資に回す金も不足してしまう。結果的に、消費も投資も停滞する。その一方で、(通貨レート低下のための資金供給が過剰なせいで)金余りになり、不動産バブルが起こる。

……全体としてみれば、国民は働いても働いてもワーキングプアとなり、一部の富裕層には富が集中してバブル騒ぎを起こし、かつ、国全体では莫大な預金をかかえながら、それを国民に回さずに政府の預金にして、政府の関係者ばかりが喜んでいる、という図式になる。

 一言で言えば、「気違い経済のせいで、国民が虐待されている」ということだ。経済政策の狂気である。そして、これが、毒入りギョーザの真相だろう。

 中国はなぜ、そういう馬鹿げたことをするのか? その理由は、二つの面から考えられる。

 第一に、間違ったことを正しいと信じていることだ。それは「輸出で経済成長」という発想だ。ま、日本も小泉政権時代には、同様だった。古典派(サプライサイドやマネタリスト)は、「円安によって企業を有利にして、外需による景気回復」というのを唱えた。その結果、たしかに外需は増えたが、国民は貧しくなったので、全体としてはほぼトントンだった。

その一方、外需を中心とした企業はどんどん富み、労働者は円安のせいで所得を奪われて貧しくなった。企業は栄え、労働者は貧しくなり、景気回復は起こらずじまいだった。日本はそうだ。……そして、そのことは、中国にも当てはまる。「輸出で経済成長」という発想は、成立しないのだが、そういう妄想を信じていたことが、根底にある。

 第二に、「内需振興」という正しいことを理解できなかったことだ。たとえば、日本の高度成長期には、たしかに「輸出主導」「外需主導」という方針が取られ、それによって高度成長を成し遂げた。しかし、このときは、労働者にもたっぷりと配分があった。時代はおりしも労働組合や社会党が強いころで、ストもしばしばあり、たっぷりと賃上げを勝ち取った。

かくて、企業は富み、労働者も富み、所得向上による総需要が拡大して、内需がたっぷりとあったので、「外需をきっかけに内需も拡大する」という形で、経済は拡大のスパイラルに乗った。それゆえ、高度成長が成し遂げられた。

 現状の中国や日本は違う。外需拡大を理由に、金はどんどん入るのだが、労働者の力が弱いせいで、労働者に金が入らない。本来ならば労働者にも金がたっぷりと配分されていいはずなのだが、労働者はワーキングプアの状態に陥り、低賃金に喘ぐ。結果的に、金は、企業(や資産家)に滞留している。

中国が金を米国に預金しているのと同様で、日本の企業も金を米国に預金している。(企業が直接預金するのではなくて、企業が黒字で貯め込んだ金を金融市場に預金し、その金を国が米国国債を買う形で米国に預金している。企業は間接的に、米国に預金している。)

 つまり、中国でも日本でも、労働者に回るべき金が労働者に回らず、米国の国債を買うことに費やされている。そのせいで、金の流れが滞る。労働者の所得が増えず、内需が増えず、高度成長もできないままだ。かくて、労働者は日本でも中国でもワーキングプアの状態になる。

 中国と日本で違うのは、次のことだ。
 「中国ではストが禁止されているので、虐待された労働者はギョーザに毒を入れるぐらいのことでしか抵抗できない」
 「日本ではストは禁止されていないが、虐待された労働者はストをするかわりに、ケータイとテレビゲームをすることに熱中している」

 つまり、ケータイとテレビゲームがあるから、日本の労働者はギョーザに毒を入れないだけだ、というわけ。(落語みたい。  (^^);  )
 ま、それはともかく、根源的には、政府の経済政策の失敗がある。それに対して、国民がどう抵抗するか、という違いだけがある。

 なお、昔の日本人は、毒も入れず、ケータイとテレビゲームもやらなかった。かわりに、ストをして、高賃金を獲得した。そのことで、どうなったか? 所得が増えたか? ストをすると、労働者の取り分が増えるようだが、企業はすぐに値上げをするから、労働者の取り分が増えるわけではない。単にインフレが起こるだけだ。

実際、70年代のころには、インフレが起こった。そして、そのおかげで、労働需要は緊迫し、ワーキングプアの問題は起こらなかった。経済は(内需拡大により)高度経済成長を成し遂げた。

 つまり、過去では、ストのおかげで内需拡大と高度成長があった。現在では、ストがないのでワーキングプアの問題がある。そして、それにともなうひずみの形で、中国では毒入りギョーザという問題が起こった。

 こういうふうに整理できる。どこに問題の根源があるのかも、理解できるだろう。経済学の知識を用いることで。


(私のコメント)
「株式日記」では本来日本で使われるべきお金がアメリカに行ってしまって、アメリカが豊かになり日本が貧しくなってきたことを書き続けてきました。90年代から円高で大変だ大変だと輸出業界を初めとしてマスコミも騒いでドルを買い続けてきた。輸出企業も儲けた利益を従業員の給料には回さずアメリカで財テクに回してしまった。

アメリカの方が金利が3%以上も高いのだから、輸出企業は日本国内の従業員の給料を上げるよりもアメリカ国債を買ったほうが金融収益が儲かるからだ。これがトヨタやホンダやソニーの従業員の給料が上がれば周辺企業の給料も上がり、給料が上がれば消費に回って国内産業も儲かって日本全体が潤う。ところがそのような流れは出来ていない。

むしろ、正社員から派遣社員やパート労働者に切り替えられて労働コストが引き下げられている。その結果消費が停滞してGDPの伸びも止まってしまった。日本の労働組合はどうしてこのように弱くなってしまったのだろうか? ストをすると輸出企業の経営者は工場をたたんで中国に引っ越してしまうと脅してきたからだ。大前研一氏などのようなエコノミストも中国に進出しない企業は潰れるしかないと脅してきた。

しかし中国も超低賃金で労働者を奴隷のように使っていては問題も起きてきたし、中国も労働需給が逆転して賃金は1年で40%も上がるような事態も生じている。人民元も最近は急激に上昇してきた。中国に進出した韓国企業は一斉に逃げはじめて労働争議が頻発するようになった。日本企業もほとんどが赤字であり逃げるに逃げ出せないのが実情だ。


◆中国で韓国企業の無断撤退急増(上) 監禁事件も発生 1月25日 朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/article/20080125000067

◆中国で韓国企業の無断撤退急増(下) 監禁事件も発生 1月25日 朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/article/20080125000068

大前研一氏は中国は13億の人口があるから労働者は無尽蔵にいるとして半永久的に低賃金で働かすことが出来るとテレビで発言していた。しかし中国でも労働契約法ができてむやみに首が切れなくなり超低賃金で働かすことが出来なくなった。毒入りギョーザ事件もそのような背景があって起きたのであり、中国に進出した企業は今の内に撤退した方が身の安全のためだろう。韓国企業の幹部は監禁されてしまっている。

テレビに出ているようなエコノミストの言うことを聞いていたらえらい目にあうことは必定なのですが、これは米中が連携して仕掛けてきた罠なのだ。日本や韓国や台湾の企業は中国に進出することで身ぐるみ剥がされて逃げ出すことになるのだろう。だから東京の国際優良株も売られている。だから国内の工場をたたんで中国に進出した企業は天罰が当たったのだ。

これがなぜ米中の連携かというと、中国が1兆5000億ドルも外貨を貯め込んでもアメリカ政府は元の引き上げに対してはポーズだけだ。元の安さで日本や韓国や台湾の企業はコスト競争力がなくなり中国に進出することでしか道はなくなる。それを計算してアメリカのファンドは中国に投資をしておくと中国の経済成長で大儲けができる。アメリカのファンドの資金の出所は日本からだ。

日本政府が貿易黒字に対してドル買い介入ではなくて、国内で使われるような政策をとっていれば現在のようなことになる事はなかっただろう。具体的に言えば従業員の賃金を積極的に引き上げる政策をとることだ。池田内閣の時には所得倍増政策が行なわれたが、アメリカも60年安保で懲りて日本を経済発展させることで親米化させることを目指した。つまり60年安保が高度成長の原動力だったのだ。

しかし最近では日本の親米感情が定着して、日本を痛めつけても反米になる事は無いと舐められて、マネーが日本からアメリカに搾り取られているのだ。例えば反米のはずの左翼が「憲法を守れ」とはいっても「日米安保反対」はほとんど言わなくなった。非武装の憲法でも安保があれば大丈夫だという甘えがあるのだ。

だから日本がこれ以上の経済成長を望むなら外交政策から大転換させるだけの覚悟が必要だ。それが無いといつまでもアメリカにマネーを搾り取られることが続くだろう。豚は肥らせて食うのがアメリカのやり方だ。日本がこのまま対米依存を続けている限り「帝国循環」は続く。だから「株式日記」では自主防衛を主張しているのですが、食品安保でも同じことがいえる。

確かに消費者にとっても中国の安い冷凍食品は魅力的だ。しかし万が一食品テロが行なわれれば日本は致命的な危機が訪れることになる事は毒入りギョーザ事件が物語っている。エネルギー政策にしても日本は万が一のことは考えずにいるし、国防政策も万が一のことは考えずに思考停止状態が続いている。

食品安保にしてもユーロッパ諸国は補助金を出して保護しているのに日本は規制緩和と自由化をアメリカの圧力で解除してしまった。その結果中国から安い食品がどっと入ってくるようになった。まさに米中の連携なのだ。毒入りギョーザを食べさせるようにならなければ日本人は気がつかない。気がついた時はすでに手遅れで国内農業は壊滅状態で、日本弱体化は米中にとっては利益なのだ。


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