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(回答先: [世界同時株安]「金融市場を揺るがす中国の台頭」 【読売新聞社説】 投稿者 愚民党 日時 2007 年 3 月 01 日 07:50:37)
【経済面】2007年03月01日(木曜日)付
活況市場、突然の冷水 世界同時株安
「中国発」の株価急落が初めて、世界の株式市場に波及した。成長著しい中国経済がグローバル市場にとけ込み、世界の資金の流れに大きな影響を与えるようになったためだ。今年に入って株価上昇が続いていた東京市場も突然の「中国ショック」に冷や水を浴びせられ、先行きへの不安が広がった。
世界同時株安の主な流れ
業種別の株価を示すボードの矢印も軒並み下向きを示した=28日午後5時20分、東京・丸の内で
28日、香港の証券会社で株価指標を注視する投資家。取引開始後、主要株価指数のハンセン指数は大幅に下落した=AP
●売り殺到、15分取引中断 日本
「このままでは取引中断になる」。28日朝、東京証券取引所では職員が相場情報を流すモニターにくぎ付けになった。
午前9時の取引開始からわずか7分。東証1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の先物取引に売り注文が殺到し、下落率が基準値を超えた。
東証は急激な価格の乱高下を防ぐため、01年9月11日の米同時多発テロの翌日以来となる「15分間の取引中断」に踏み切った。
東京株式市場は昨夏以降、世界的な株高や国内景気の回復を背景に順調に上昇してきた。円安傾向の定着で輸出関連企業の決算に期待が高まり、今年2月に入り、TOPIXが約15年3カ月ぶりの高値水準を回復し、日経平均株価も約6年9カ月ぶりに1万8000円台に回復。市場では「春には2万円台」などの楽観論が出ていた。
しかし、27日の中国・上海株式市場の暴落を機に市場環境は一変した。米株価も大幅に下落し、米景気の先行き不透明感までが意識されるようになった。外国為替市場では急激に円高ドル安が進んだ。
市場関係者からは「輸出関連企業の業績の上方修正の期待は、絵に描いた餅に終わるかもしれない」との声も出始めた。
日本市場の割安感から積極的な買い姿勢を続けて相場を支えてきた外国人投資家も売りに転じ、安全性の高い債券市場などに資金を振り向けた。市場では「常夏から一気に氷河期に入った」(大手証券)との声すら出た。
ただ、発端となった上海市場が28日朝に反発する動きが出たため、東京市場も同日午後には日経平均が下げ幅を縮小した。
日本経団連の御手洗冨士夫会長は28日、記者団に「今回の下げは短期的なもの。急激な株価上昇の調整という見方もできる。希望を込めて今年の株価を年初に2万円と言ったが、状況は変わっていない」と楽観論を強調した。
●楽観的見通しに陰りも 米国
「まるでクラッシュだ」。ダウ工業株平均の終値が01年の同時多発テロ以降で最大の下げ幅になったニューヨーク市場。トレーダーからはそんな声もあがった。
ダウは約6年8カ月ぶりに史上最高値を塗り替えた昨年10月以降、「いずれ調整局面がくる」と指摘されながらも最高値更新を続けてきた。
米アナリストの中には「一時的下落にすぎない」と冷静な見方がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長も28日、景気を減速させている住宅部門の不振が一服すれば「米経済は年央にもしっかりしてくる可能性がある」と議会で発言。従来の見通しが変わらなかったこともあり発言を受けて平均株価も100ドル超上昇した。
その一方で、「世界的な株高が終わる兆候」と警戒する声も出ている。昨年から始まった景気減速がさほど深刻化せず、最近は「順調に回復しつつある」との楽観的な空気があった。が、今回の株安はそれも弱まっていることを示した。
28日に発表された昨年10〜12月期の米実質国内総生産(GDP)の改定値の伸び率は、1月末に発表された速報値の3・5%から大きく下方修正され、2・2%に鈍化した。7〜9月期より0・2%幅改善したものの、景気の先行き不透明感をぬぐい去ることができず、慎重になった企業が在庫積み増しや設備投資を控えている。
米GDPの約7割を占める個人消費は4・2%増と9カ月ぶりの高い伸びだが、それを下支えしてきた「安いガソリン」の価格が再び上昇に転じており、息切れする懸念もある。幅広い産業に影響を与える住宅市場の冷え込みもじわり広がり、景気牽引(けんいん)役の製造業は不振が目立つ。27日に発表された1月の耐久財受注額は、前月比でマイナス7・8%と3カ月ぶりの落ち込みを記録し、株価下落に拍車をかけた。
いまも市場に絶大な影響力があるグリーンスパン前FRB議長が26日、香港のビジネス会議の参加者に衛星回線で「(米経済は)今年後半に景気後退局面を迎える可能性もある」と指摘。01年に始まった景気拡大がそろそろ息切れするとの見方を示したことも、市場の悲観ムードを刺激している。
株価下落が長引けば、株価上昇が個人消費を刺激してきた資産効果が逆回転し始め、景気に冷や水を浴びせかねない。(ニューヨーク=丸石伸一、ワシントン=西崎香)
●ため息つく個人投資家 中国
28日午後1時半すぎ。上海市中心部の雑居ビル2階にある証券会社の窓口は、100人以上の客が集まって騒然とした。大半が株価の動きを心配して集まった高齢の個人投資家だ。
「昨日、持っている株が三つともストップ安になった。昨夜は悔しくて眠れなかった」。株価ボードを見ていた男性(69)がため息をついた。10年前に退職金をはたいて株投資を始め、約20万元(約310万円)を投じていたという。
広東省の深セン株式市場では28日、午前は下落したが、午後に反発して引けた。10年前から株式運用をしている30代の会社員は「27日は資産が3分の1減ったが、取引をやめる気はない」。
中国の株式市場では個人投資家が大きな比重を占める。最近は中央政府の不動産投機の抑制策が強まり、株式に多額の資金が流れ込んでいた。
投資家の間では、3月5日から始まる全国人民代表大会(国会に相当)で市場の過熱を警戒する現政権が株式譲渡益課税など新たな引き締め策を打ち出すのではないか、との憶測が広まっていた。現地メディアは、利上げや、証券監督当局のトップが辞任するといううわさまであったことを伝えている。
中国の影響を強く受ける香港市場は28日の取引開始直後に急落したが、午後は持ち直した。市場関係者には株安を「一時的なパニック現象」とみる意見が多い。野村国際(香港)ストラテジストのショーン・ダービー氏は「中国経済の基礎的な指標は堅調だ」。京華山一(香港)のトウ以旭首席分析員も「市場は高値が続いていた。ちょうど良い調整の機会だ」と楽観している。(上海=塚本和人、広州=鈴木暁彦、香港=林望)
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