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3月1日付・読売社説(1)
[世界同時株安]「金融市場を揺るがす中国の台頭」
中国経済が世界経済に占める地位が、確実に大きくなり、金融市場も中国の動向に左右される度合いが増している。
中国が震源地となった初めての世界同時株安は、そうした世界経済の構造変化の表れだろう。
中国の上海市場などでの株価急落をきっかけに、27日のニューヨーク市場ではダウ平均株価が、2001年の米同時テロ直後以来の下げ幅を記録した。
欧州市場やブラジルなどの新興国市場でも大幅安となり、28日の東京市場でも日経平均株価が一時、700円を超える急落となった。
中国では、経済の高成長と好調な企業業績を受けて、余剰資金が株式市場に流入し、株高が続いていた。高値警戒感があったところに、政府が株価過熱の抑制策に乗り出すとの観測が広がり、売りが急速に膨らんだという。
注目されるのは、それが米市場をはじめ、各国市場に大きく波及した点だ。株価下落が中国経済変調の兆しと受け止められ、「中国経済が悪化すれば、米国をはじめ世界経済も悪化する」との見方が広がったからだろう。
米国経済は、企業の生産、設備投資などに弱さがうかがえる指標があるが、大幅な景気減速は避けられるとの見方が多い。欧州の景気は堅調だ。日本も、消費に力強さを欠くものの、企業部門は好調に推移している。
世界経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が、急速に悪化したわけではない。同時株安に狼狽(ろうばい)は禁物だろう。
ただ、日米を含め、最近の各国の株価上昇の背景に、世界的な金余りがあったことには注意が必要だ。投資資金の流れが大きく変われば、世界経済にも様々な影響が及ぶ。
米株価の下落を受けて、外国為替市場ではドルが売られ、円高・ドル安が進んだ。低金利の円を高金利の外貨に換えて稼ぐ円キャリートレードが、最近の円安の要因になっていたが、さらなる円高を懸念して、こうした取引を解消する動きが始まったとの指摘もある。
円高が急激に進んだり、ドルの信認が揺らいだりすれば、日米ともに経済は打撃を受ける。今回の世界的な株安をきっかけに、市場がさらに混乱に向かう事態は防がねばならない。
カギを握るのは、やはり中国の対応だろう。経済が急拡大する中で、大量の資金が流入するようになった市場の動きを中国がうまくコントロールできるかどうかは、未知数だ。各国の通貨・金融当局は中国を含めて、情報交換を密にしていく必要がある。
(2007年3月1日2時16分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070228ig90.htm