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(回答先: 活況市場、突然の冷水 世界同時株安 【朝日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2007 年 3 月 01 日 07:56:37)
【社説】2007年03月01日(木曜日)付
同時株安 グローバル経済の危うさ
活況に沸いていた世界の証券市場に衝撃が走った。震源地は中国・上海だ。国内のバブル景気への警戒感がきっかけだったが、新興国にとどまらず欧州、米国そして日本へと、株価急落は地球を一周した。
東京市場は全面安の展開となり、主要銘柄から成る平均株価が一時は4%強も値下がりした。これを機に、株式投資のカネが国債や社債といった比較的安全な資産に向かうとの見方もある。しばらくは「余震」が続くだろう。
いま世界の経済は拡大を続けている。米市場の急落では、先行きへの懸念を示す経済指標が発表されたこともマイナス材料となったが、東京も含めて短期的な調整の範囲なら過度の心配はいらない。投資家には冷静な判断を呼びかけたい。
20年前の「ブラックマンデー」は、世界経済の中心地ニューヨークが発火点だった。今回は新興勢力の中国が世界同時株安を呼び起こした。だが、驚くにはあたるまい。このところのグローバル化のもとで、アジアが世界の成長の先導役に躍り出ているからだ。
上海市場は、06年から高騰し始めた。中国株に対する内外の投資家の関心が高まり、投機マネーが流れ込んだ。だが、企業の情報開示が不十分なうえ、政策の方向もはっきりしない。市場に厚みがなく、乱高下しやすい。
中国政府が過熱を抑える政策を打ち出すのではないか、との観測から一方的な売りにつながったようだ。
先進国の低金利が追い風となって、世界はカネ余りの状態だ。超低金利の日本円を借り、外貨に替えて投資する「円キャリー取引」も活発だ。
それらを元手に、多様な金融技術を磨いたヘッジファンドなどの機関投資家が、連日、株式や為替市場を舞台に巨額の資金を何往復もさせている。
日本や欧米の企業は成長著しいアジアに進出し、ビジネスを展開して利益を上げている。そうした直接投資や貿易面でのネットワークの深まりが各国の株価を押し上げてきたのも事実だ。
その結果、未熟な新興市場が揺らげば、その影響は一気に世界中に広がるようになった。
97年、アジアに端を発した経済危機がロシアや南米に広がり、世界経済が揺さぶられたのは記憶に新しい。タイに押し寄せていた短期資金が逃げ出したことによる通貨不安が引き金だった。脆弱(ぜいじゃく)な金融システムなど、経済発展の基盤が整っていない途上国がグローバル化の波に翻弄(ほんろう)された結果といえる。
こうした事態への反省から、アジアでは通貨危機を未然に防ぐ態勢作りも動き出している。経済の国境が低くなることで各国に富がもたらされても、一方で「共倒れ」の危険も膨らむ。
中国をはじめとする新興国を、国際的な経済システムにしっかりと組み込んでいく国際協調の努力が欠かせない。今回の株安はそのことを物語っている。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html