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http://www.news.janjan.jp/living/0804/0804110721/1.php
六ヶ所再処理工場営業運転の危険(2)放射能の海洋放出は国際条約違反
桐生広人2008/04/13
六ヶ所核燃料再処理工場が本格稼動すると、海に排出するのはトリチウムだけでも年間1京8000兆ベクレル。ロンドン条約の1996年議定書に反し、旧ソ連が海洋投棄をした核廃棄物の27倍にもなる。多くの市民やマスメディアの沈黙にちかい無反応が不思議でならない。
(前回記事:(1)放射能で世界の1万5千人がガンで死亡か)
放射能(放射性廃棄物と放射性物質)の海への投棄は、国際的な「ロンドン条約1996年議定書」で2007年から原則禁止となった。当然、六ヶ所核燃料再処理工場からの放射性廃液の海洋放出(投棄)は、この国際条約に抵触し禁止されるべきものである。
この条約は海洋環境の汚染防止のために、廃棄物その他のものを海へ直接投棄することを制限する海洋汚染防止が目的で、1972年にロンドンで調印されたことからロンドン・ダンピング条約とも呼ばれる。当初は高レベルの放射性廃棄物の海洋投棄を禁じていたが、中・低レベルのものは、一定の条件の元に投棄が許されていた。
しかし、1983年からの締約国会議では、あらゆる種類の放射性廃棄物の海洋投棄モラトリアム(一時停止)を呼びかける決議が条約加盟国間で検討されるようになり、1993年に全面禁止が採択された。
背景には、1978年から欧州の核廃棄物海洋投棄の禁止に取り組んだグリーンピースなどの環境保護団体の働きがある。世界に広がったその動きで、特に原子力発電所から出る放射性廃棄物をドラム缶につめてミクロネシア北東部の太平洋に捨てることを計画していた日本政府に周辺諸国から猛反発が起きたこともあった。
1981年から82年に掛けて、日本の反核運動も投棄の禁止を求める声や、一方で「試験投棄で安全性が確かめられればいい」とか、「数千mの深海でどうやって確かめる?」などの論争も起こった。当時の日本政府は、ロンドン条約の締約国会議で海洋投棄のモラトリアム決議に反対したり棄権して、いつも消極的な姿勢をとっていた。
原子力潜水艦から出た液体核廃棄物を日本海に捨てるロシアの核投棄専用タンカーTNT27。放射線測定器で放射能を確認
グリーンピースの摘発で沸騰した日本の海洋投棄反対の世論
グリーンピース・インターナショナルは1990年ごろに、ペレストロイカで情報公開の始まった旧ソ連の海洋核投棄問題の調査を始め、1993年にエリツィン大統領下のロシア政府・海洋投棄調査委員会から、調査報告書「ヤブロコフ・レポート」を入手しこれを世界に公表した。報告書には1959年から日本海およびその周辺海域に657兆ベクレルの液体と個体の高レベルを含む核廃棄物を違法に投棄していたことがわかった。これだけでも「ソ連はけしからん」と日本のディアはいきり立った。
「ヤブロコフ・レポート」は、投棄待ちの核廃棄物が近々海洋投棄される可能性も示唆しており,それを察知したグリーンピースは監視船を日本海に送り、1993年10月、ウラジオストックの沿海で投棄に向かう核廃棄物投棄船を発見した。筆者は当時、監視船に同乗し核廃棄物投棄の様子を間近で逐一写真に撮っていた。
TNT27と呼ばれる、原子力潜水艦から出た液体の核廃棄物を投棄するために作られた専用のタンカーが、当時のロシア政府の発表で総量1キュリー(370億ベクレル)未満の放射能を日本海のほぼ中央の海に捨てたのである。個体の廃棄物と見られるものもあったが、われわれの監視で投棄を断念したようだ。このとき筆者らは小型ボートで投棄船の15mにまで接近、放射線の空中戦量は自然値のほぼ150倍を記録。投棄船の核搭載を確認したのである。
こうした観測記録とビデオ映像、写真が衛星通信で日本に送られると、その日の夕方から全てのTVニュースは日本海や海産物の放射能汚染が懸念されるなどと報道、翌日からほとんどのメディアがロシア政府を非難する論調を展開し、核廃棄物の海洋投棄に反対する世論がわき上がった。日本政府もロシアを厳しく非難し海洋投棄の即刻停止を要求した。
これに韓国がつづき、核投棄モラトリアム決議に反対していた英米もロシアを非難し始め世界中の注目を集めた。その結果、当時の細川政権は国内世論におされ方針を転換、翌月に行なわれたロンドン条約締約国会議で海洋投棄の全面禁止を支持、米国も方針を変え全面禁止に賛成し核廃棄物の海洋投棄全面禁止が採択されたのである。
日本列島は、放射能に汚染された日本海と太平洋に挟まれた格好になってしまう危険がある
再処理工場からの大量核廃棄物に沈黙するメディアの不思議
当時、1カ月で、日本の主たるメディアがこの問題を取り上げた回数は確認できただけでも200件を越えた。そのほとんどがロシア政府を非難したり、海洋の放射能汚染を問題視したり、市民の怒りと反発を取り上げたものだった。これを今、六ヶ所再処理工場からの放射能排出の危険と比べてみても、日本のメディアや市民の無関心、無反応な様子はやはり異様に見えると思うのは筆者だけではないだろう。
ロシアの海洋投棄の事実を受けて、日本の行政当局は日本海の放射能調査を行ったが、特段の海洋環境の異常を見つけたわけでもない。少なくとも今日まで、放射能汚染が原因とみられる海産物や生物環境、人間の生活環境への異変は報告されていない(深海までは調べていないようだが)。
日本海周辺に投棄された放射能657兆ベクレルは当時としては高いレベルで驚きだったが、六ヶ所再処理工場が営業運転をすると1年に排出するトリチウム、1京8000兆ベクレルと、量だけを比べても約27分の1だ。それでも当時圧倒的多数の日本国民は、放射能汚染を恐れ海の環境を守れと極めて正しい反応を示し行動を起こしたのである。ほとんどのメディアがその先頭に立って世論をリードした。しかし、今のこの沈黙はなぜなのだろうか。
2007年から発効したロンドン条約1996年議定書は、核廃棄物の投棄について、国際原子力機関(IAEA)が定義した免除レベルを上回る放射能があるものは投棄が禁止されている。免除レベル以下であれば投棄を検討しても良いことになっているが、免除レベルは、個人が受ける年間線量が10μSvを越えてはならないとしており、1年間の集団線量を1人・Svを越えないとする基準を定め、これより小さい場合に規制の免除が適用されるとしている。
六ヶ所再処理工場が海や空に放出する放射能の推定年間集団線量は実に7400人・Sv。液体のヨウ素129とトリチウムでも30.72人・Svの年間集団線量が推定される。これだけの放射能が人の住む生活圏沿いの海や漁業者が操業する海に直接排出されることを、海洋投棄とは言わないのだろうか。ロンドン条約の意図に照らし合わせれば、当然、放射性廃液の海洋排出は禁止されるべきである。 (次回は「ストップロッカショ・トークの模様」を取り上げる予定)
(つづく)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 10 日
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