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(回答先: 六ヶ所再処理工場営業運転の危険(3)ストップ『ロッカショ』トーク あまりにリスキーな放射能(JANJAN) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 4 月 24 日 20:03:13)
http://www.news.janjan.jp/living/0804/0804180176/1.php
六ヶ所再処理工場営業運転の危険(4)核廃棄物の沿岸への直接排出は余りにも無謀
桐生広人2008/04/20
旧ソ連・ロシアが、日本海に投棄した核廃棄物には特定の投棄場所が定められていた。しかし六ヶ所再処理では大量の放射性廃液が、沿岸わずか3kmの排出口から、直接、海に排出されることになっている。廃液をパイプで直接沿海に捨てるのは「投棄」ではないので容認される、と国は考えているらしいが、国際条約違反ではないのか。
(前回記事:(3)ストップ『ロッカショ』トーク あまりにリスキーな放射能)
ガラス固化溶融炉のトラブルで試験運転(アクティブ試験)が中断している日本原燃の六ヶ所再処理工場。ウラン酸化物の移動を監視する封印の破損と、使用済み核燃料を遮断する装置からの油漏れもあいつぎ、17日、日本原燃は青森県と六ヶ所村に陳謝した。
さて、「放射能の海洋放出は国際条約違反」で、旧ソ連とロシアが長年にわたって核廃棄物を日本近海に捨てていたことを書いた。当時、世界中の世論がこの核海洋投棄をロンドン条約違反として非難し、投棄の禁止を求めた。六ヶ所再処理工場からの核廃棄物の海洋排出は本当に条約の意図に反していないか、旧ソ連・ロシアの投棄との比較を再考してみる。
旧ソ連・ロシアが、日本海に投棄した核廃棄物には特定の投棄場所が定められていた。だからといって、使用済みの核燃料を抜き取った2基の原子力潜水艦の原子炉や原潜の解体で出る放射性廃液を、投棄が許される低レベル核廃棄物というのには無理がある。当時のロンドン条約の規定には明らかに違反し、海洋環境を汚染したのだった。
退役原子力潜水艦が解体をまってウラジオストク港に係留されている。日本は6隻の解体を莫大な資金を投じて支援している
旧ソ連・ロシアの投棄場所は人間の生活圏からはかなり離れていた
1993年、グリーンピースによる核投棄船の監視活動で明るみに出た海洋投棄は、核廃棄物の核種の構成は不明だったが、六ヶ所再処理工場が1回で排出する予定の核廃液に比べてもかなり少なかった。しかし、それでも世界と日本の世論は猛反発した。
しかしながら、旧ソ連は核廃棄物の海洋の投棄場所をいちおう限定していた。日本海の中央近くに達するところもあるがほぼ大陸寄りに設け、曲がりなりにも人間の生活環境から100km以遠に遠ざける配慮をしたように見受けられる。旧ソ連国内での核開発は、人間の健康や環境汚染への配慮を著しく欠いた過酷なものだったのはよく知られているが、投棄海域を特定した上で公海での国際摩擦を避けるために長年秘密にしたと思われる。
老朽化した核投棄専用タンカー「TNT27」。鉛で被覆した船体が鈍く光る
したがって海洋投棄には、乗員を過度の放射線被曝から防護する設備を施した専用のタンカーが使われ、長い時間と燃料をかけて遠く離れた領海外の投棄場まで運ぶ手間をかけて捨てていた。
1993年の監視活動でも、われわれが目にした投棄船は老朽化で自力では動けず、タグボートに引かれ往復丸2日の航海だった。同時に、放射能の汚染状況を調べる海洋調査船を同行させており、意図は不明だが一応現場の環境調査を行っていたようだ。
これに比べると、六ヶ所再処理工場からの放射性廃液は、3kmの沖合に排出するとしても直接工場からつながった導管からの排出で、手間も暇もかからないダイレクトな海洋投棄だ。いいかえれば、船に積んで沖合に投棄に行くのでは間に会わないほど、大量の核廃棄物が排出されることを物語っている。
旧ソ連が指定したいくつかの投棄海域。少なくとも生活圏に接する沿岸には投棄していない
海洋投棄を「海洋投入」という日本
日本は世界でも有数の、一般および産業廃棄物を大量に海洋に投棄する国で、1990年代初期には、イギリスに次いで2番目だった。両国とも海に囲まれた「島国」なのでゴミの処分には海に捨てるのが手っ取り早かった。しかしイギリスは、98年に下水汚泥の投棄を止めたことから、その後は日本が1番の投棄国となったことが推測される。
行政当局は昔から、これらの廃棄物の海洋投棄を「海洋投入処分」といってきた。捨てるのではなく、海に投(げ)入(れて)処分するというのだ。当時の官僚は、ロンドン条約締約国会議を「海洋投棄を認めるための会議でしょ」と言っていたほどである。それでも投棄が許される廃棄物の投棄場所は、日本の海岸から50海里(80km)以遠と定められ、環境保護団体の抗議の中を、投棄船が延々と1昼夜をかけて沖に捨てに行っていたものだ。
船での「投棄」は条約違反、パイプで「排出」するのはOK?
ロンドン条約・1996年議定書で、2007年からすべての廃棄物の海洋投棄が原則として禁止された。が、六ヶ所再処理工場が放射能を海に捨てることについて、「美浜の会」が外務省にたずねたところ「六ヶ所のように陸上からパイプを敷いて海に流すのは『排出』であって『投棄』ではないと締約国の会議で合意されている」という返答があったという。
放射性廃液を船に積んで外洋で捨てるのは条約で「投棄」に当たるから禁止だが、同じ廃液をパイプで直接沿海に捨てるのは「投棄」ではないので容認される、としているようだと美浜の会は解説している。(シリーズ:六ヶ所再処理のここが問題(3)PDF)
島国で人口が多く平地が少ない日本は、水洗便所からの糞尿などの処分すらままならなかった。私たちの生活排水から生まれる下水汚泥の多くは「海洋投入」といってつい最近まで海に捨てられていた。それでも許された投棄場所は、漁業者たちは怒るが、海岸から80km以上も離れている。あのソ連ですら、海岸から遠く離れた日本海に核廃棄物を捨ててきたのは、自国民へ直接影響が及ばないよう、あるいは反発が起きないよう配慮したと見られる。
にもかかわらず、六ヶ所再処理工場からの放射性廃液をいきなり人間の生活・活動圏に接する沿岸の海に捨てることは、「下水汚泥より放射能は安全」と言っているようなもので、周辺住民の不安への配慮のひとかけらもない。普通に考えてもおかしな解釈だ。しかし解釈のおかしさ以上に、放射能汚染によって悲劇的な事態が起こることの方がより問題なのだ。
(シリーズつづく)
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