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(回答先: わが国の核政策史 その3 投稿者 きすぐれ真一 日時 2006 年 11 月 01 日 00:10:38)
http://sun.ap.teacup.com/souun/53.html
「日本の核兵器製造能力」 原子力・核問題
前エントリー「わが国の核政策史」の続編です。
槌田氏の2002年10月14日、盛岡での講演録からの抜粋です。
多くの日本人は、日本の核武装はアメリカが許さないと考えています。しかし、アメリカはすでに方針を変更しています。日本がアメリカの管理のもとに核兵器を作ることを許しています。そのことは、高速炉『常陽』と『もんじゅ』の使用済み燃料を再処理する技術をアメリカは日本に売ったことで明らかです。
【日本の核兵器製造能力】
核兵器は2種類あります、ひとつは広島型の原爆、これはリトルボーイ(小さな男の子)と呼ばれています。これは長さ5メートル程度の大砲をそのまま用います。大砲の底に爆薬を詰め、その上に高濃縮ウランの円柱の弾を置きます。大砲の先端は分厚い鋼鉄で覆い、その中に高濃縮ウランの円筒を置きます。そこで、この爆薬に点火するとウランの円柱は弾となって飛び、ウランの円筒の中にはめ込まれます。そうすると核分裂反応が臨界になり、核爆発するのです。単純な爆弾です。
この広島型原爆はあまりに簡単な構造ですから、不発弾になることはありません。したがって核実験は必要ありません。簡単で爆発は確実という爆弾です。しかし、ウラン235の濃縮度60%を超える軍用ウランを数10キロも濃縮するには大量の電力が必要です。だからアメリカはこの爆弾を終戦直前に一発しか用意できなかったのです。それも最後のウランのひとかけらが届いたのは広島に投下する2日前で、テニアン基地でこの原爆を現地組み立てしたといいます。
蛇足ですが、北朝鮮にはこのウラン原爆を作る能力はないと思います。電力が不足しているからです。そこで日本と韓国が重油や電力供給すれば、それでウラン原爆を作ることになるでしょう。
それからもう一つの軍用プルトニウムを使うファットマン(太った男)という長崎型爆弾、は構造が複雑です。この原爆も最初はウラン原爆と同じ大砲形で設計されました。しかし、軍用プルトニウムに含まれる不純物プルトニウムのため、プルトニウムの円筒の中にプルトニウムの円柱の弾をはめ込む前に核分裂反応が始まり、円柱の弾が柔らかくなって円筒の穴にはめ込むことができないのです。
そこで、設計を変えて球形の爆弾にしました。穴の空いたプルトニウムの球の外側を爆薬で包みます。これを点火するとプルトニウムが中心に圧縮されて臨界になり、核爆発することになります。しかし、構造が複雑なので、アメリカはこのプルトニウム爆弾が不発弾になることを恐れました。爆薬の球形が上手に作れないと、爆発させた時ひしゃげて、プルトニウムを十分に圧縮することができないのです。そこで、核実験して爆発するかどうかをネバダで核実験して確かめました。しかし、それでも実際の場面で核爆発するかどうか不安なので、この爆弾と同じ大きさの核抜きの爆弾を50発こしらえてパンプキン(かぼちゃ)爆弾と名付け日本の各地にばらまきました。プルトニウム原爆が不発弾になった時ごまかそうとしたのです。
この長崎型爆弾でも軍用プルトニウムを原子炉で得ることはやはり困難ですが、濃縮ウランよりは電力消費量が少なく安上がりで、アメリカ、ロシア、フランス、イギリスなどは、その後の核開発をもっぱらこのプルトニウム爆弾の製造に向けました。しかし、中国、イスラエル、南アフリカ、パキスタンなど技術力のない国は簡単な構造のウラン爆弾に頼りました。そのためには巨大発電所が必要になります。中国は黄河をせき止めて発電所を作りましたが、現在は、やはりプルトニウム爆弾を主体にしています。
しかし、軍用プルトニウムは原子炉で作るといっても、いわゆる軽水炉から得られるプルトニウムでは、プルトニウム239が濃縮度60%程度でしかなく、これでは到底核兵器を作ることはできません。その理由はいくつもありますが、たとえば不純物プルトニウムをたくさん含むので原爆はすぐに劣化してしまうのです。また爆弾が大きくなり過ぎて運ぶことができないのです。さらに不純物プルトニウムの放射能のため発熱量が大きいので、まわりを包む爆薬が自然爆発する心配もあります。アメリカの最初のプルトニウム原爆は濃縮度が94%程度というのですが、重量は5トンもあってB29という大型の飛行機が必要でした。そして発熱量が大きくて、この爆弾を触った人が後で証言しています。「何か、生きたウサギを触っているようで温かかった」と。
ところでこのプルトニウム爆弾は、技術のある国では簡単に作れます。まず、濃縮度の高いプルトニウムを使えばよいのです。軍用プルトニウムの濃縮度は94%以上ですが、高速炉で作ったプルトニウムは、『もんじゅ』の場合濃縮度は97.6%で、『常陽』では99.4%です。高速炉を持っているフランスと日本は簡単に核兵器が作れる国なのです。だから先程フランスの核実験が、白人国家の連合としておこなわれたのです。
この高速炉で発電もすると、熱を媒介する物質としてナトリウムのほかに水も使うことになるので、『もんじゅ』のように事故多発が悩みの種です。しかし、発電しないというのであれば、水を使う必要がなく、『常陽』のようにほとんど事故を起こさず、軍用プルトニウムを生産できます。さきほども述べましたが、『常陽』は今は軍用プルトニウムは作っていませんが、いつでも復元改造すれば軍用プルトニウムを作ることができます。しかし、そろそろ『常陽』も寿命がきていることが問題です。
ところで、軽水炉から作るプルトニウムが、まったく原爆に使えないという訳ではありません。軽水炉で得られるプルトニウムの濃縮度は60%ですが、これをレーザー濃縮で94%以上に高めればよいのです。しかし、どうやらこれは失敗したらしいのです。アメリカはこのレーザー濃縮でウランを濃縮するといっていましたが、中止してしまいました。日本もウランのレーザー濃縮については研究さえ中止しました。ウランも濃縮できないような方法がプルトニウム濃縮に使える筈もありません。結局、軽水炉から得られるプルトニウムは利用価値がないことになったのです。発電用として使うには費用がかかり過ぎ、軍用にも使えないので、日本以外の国では、使用済み核燃料は再処理せず、すべて廃棄する方針です。
【中性子爆弾と水爆】
中性子爆弾や水爆はこのプルトニウム原爆で得られる1億度という高温を利用して核融合させる爆弾です。中性子爆弾は原爆を爆発させて中性子と高温を得、これによりトリチウムと重水素を核融合させ、大量の中性子を発生させる爆弾です。大きさは直径16センチ、長さ40センチ程度で、兵隊が持ち運ぶこともできて大砲で使えるきわめて小さい核兵器です。これに用いるプルトニウムは2キロ、トリチウムは数10グラムです。
通常の水爆の核弾頭は、円錐形で高さが1メートル、底辺の直径が30センチ程度、その最下部に球形のプルトニウム爆弾が入っています。これを爆発させて、中性子と高温を得て、その上にある重水素化リチウムを核融合させます。そこで得られる大量の中性子を最頂部にある濃縮ウランに当てて、核分裂反応させるというものです。つまり、原爆一水爆一原爆という3重の爆弾です。トリチウムも必要ですが、その量は3グラム程度とごく少量です。
日本は、軍用プルトニウムを生産できる『もんじゅ』と『常陽』を所有しています。軍用ウランは六ヶ所の濃縮工場で生産できます。しかし、日本にはトリチウムを作る装置がありません。トリチウムを大量に持とうとすると世界中から疑惑の目で見られます。そこで、トリチウムを作る口実が必要です。そのため、日本は核融合実験炉ITER(イータ)を誘致しようとしているのです。
ITERの建設が認められれば、トリチウムを1.5キロ所有することができます。水爆に必要な量3グラムの500倍という巨大な量です。そして、トリチウムを製造するのに、原発を改造して、トリチウム生産炉にすることもできます。だから何としてでもITERが欲しいという事になります。ITERさえあればトリチウムをいっぱい作ってもよいのです。トリチウムを作る原子炉としては、六ヶ所村の隣にある東通原発が利用できます。この原発は消費地の東京から遠いため、遠方に送電することになるので、電力の損失があり送電費用がかさみ、経済的ではなく、ITERのために国が買い上げてくれればよいと電力会社は思っています。このようにして、六ヶ所に建設予定のITERとともに下北半島は核兵器工場地帯となるのです。
中性子爆弾は1発の値段は3億円です。同じ大きさの小型原爆(戦術核)は1発1500万円ですから20倍もします。その違いは、トリチウムの扱いが困難で費用がかさむからです。それほどトリチウム技術は大変なのですが、これがITERの開発で取得できることになります。核融合研究は核武装の準備そのものなのです。
多くの日本人は、日本の核武装はアメリカが許さないと考えています。しかし、アメリカはすでに方針を変更しています。日本がアメリカの管理のもとに核兵器を作ることを許しています。そのことは、高速炉『常陽』と『もんじゅ』の使用済み燃料を再処理する技術をアメリカは日本に売ったことで明らかです。これは、大きさが10センチ程度の小さい遠心分離機ですが、使用済み燃料の硝酸溶液から軍用プルトニウムを抽出するために必要な技術です。軍用プルトニウムを現存の再処理工場で抽出することは、臨界の危険があるのです。そこで、このように小さい抽出装置が必要なのです。この軍用プルトニウムの再処理工場RETFが現在東海村の再処理工場の隣に建設中です。
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