★阿修羅♪ > 雑談専用21 > 817.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 学者は政治に対しどのような関係であるべきか 投稿者 heart 日時 2006 年 12 月 26 日 13:13:43)
日本の財政が来年度にも黒字化するという事実を、経済に携わる者を含めて誰一人として指摘しようとしない
2006年12月26日 火曜日
◆第63回 もはや消費税率を引き上げる必要はなくなった 12月25日 森永卓郎
財務省によれば、今年度予算の税収見積もりは総額で50兆円。当初予算よりも4兆円の増額となることが明らかになった。その大きな理由として、景気の回復によって法人税収が好調となっていることが挙げられる。
実は昨年度においても、当初予算より税額が増えている。昨年度は、補正予算の際に3兆円を上積みし、さらに決算の際に2兆円が加わり、合計5兆円も税収が増えたのである。
財政状態が上向くのは喜ばしいことである。だが、これだけ財政がよくなっているというのに、不思議なことに消費税を引き上げようという声は、けっして小さくなることがない。それどころか、定率減税の全廃という実質的な増税が決定してしまった。これはおかしいのではないか。
いつのまにか、国民の大多数は「消費税率の引き上げはやむを得ない」という考えを持たされてしまったようだが、それは本当なのだろうか。もう一度じっくりと検討する必要があるとわたしは思うのだ。
◆財政の黒字化、可能性は来年度にも
ご存じのように、日本政府は大きな赤字を抱え、財政再建の真っ最中である。そして、「2010年代初頭までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する」という目標を立てている。
プライマリーバランスというのは、国の収入(歳入)と支出(歳出)の釣り合いを表した数字だ。この数字には、国債の発行や元利払いなどは含まれない。要するに、純粋な財政収支を示すものだ。この収支がちょうど釣り合っていれば、借金の対GDP比は増えも減りもしない。一般家庭に例えれば、借金の返済は進まないものの、毎月の収入によって生活はできるという状態である。
現在、プレイマリーバランスは赤字であるが、財政再建によってこれを2010年代初頭までに黒字にしようというわけだ。
黒字化する年度について、政府は当初2012年度を想定していたが、ここにきて税収が好調になったために、いつのまにか2011年度に繰り上げている。それを見ただけでも、ずいぶんいいかげんな計画であると分かるだろう。
では、本当にプライマリーバランスの黒字が達成できるのか。具体的な数字を検証していくことにしよう。
今年度当初予算のプライマリーバランスの赤字は11兆2000億円であった。ところが、冒頭に述べたように、税収が4兆円増える見込みなので、現時点での赤字見込みは7兆2000億円に圧縮されることになる。
税収が増えることで、本来ならば自動的に地方交付税が増加するということになるはずだが、政府は地方交付税を抑え込もうとしていることは、すでにご承知の通りである。もし、全額を抑え込むことになれば、いま示したように7兆2000億円にまで圧縮できるのである。
確かに、この赤字額は小さな数字ではないかもしれない。しかし、2004年度から2005年度にかけて、決算ベースで見たプライマリーバランスは、6兆4000億円改善したという実績がある。加えて、昨年度決算では1兆5000億円の予算の使い残しも発生している。こうした状況を考慮に入れれば、7兆2000億円などという額は、1年で解消できる金額に近いといってよい。
現に、12月20日に内示された政府予算の財務省原案では、来年度における税収は53兆4670億円となり、税収増は7兆6000億円を予測している。
そう、このまま景気回復が続き、不要な支出を抑えることができれば、実は破綻状態と言われた日本の財政は、早ければ来年度にも黒字化する可能性があるのだ。
◆日本の財政はけっして破綻していない
ところが、日本の財政が来年度にも黒字化するという事実を、経済に携わる者を含めて誰一人として指摘しようとしない。誰もが、日本の財政は破綻状態と信じて疑わないのである。これは、実に奇妙なことではないか。
けっして、わたしは好き勝手な妄想を口走っているわけではない。予算書に書いてある数字を見て、論理的に述べているだけなのだ。
確かに、こういう反論もあるだろう。「プライマリーバランスが、ちょっとくらい黒字になっても、多額の借金はどうにもならないのではないか」。
しかし、それは目先の借金の額にとらわれているに過ぎない。それを説明するために、まずプライマリーバランスがプラスマイナスゼロになったと仮定して話を進めてみよう。
確かに、プライマリーバランスが釣り合えば、政府は新しく借金をする必要がない。一方で、借金の返済もできないので、過去の借金は残っている。その借金には金利が付くので、その分だけ借金の残高は増えていくわけだ。もし、金利が2%だとすれば、借金は年に2%ずつ増えていくことになる。
それでは、借金は雪だるま式に増えていくように見えるが、そうではない。同時に、経済が成長していけばいいのだ。金利が2%ついても、名目経済成長率が2%以上伸びていれば、GDP全体に占める借金の比率は下がっていく。つまり、借金の比重が軽くなっていくわけだ。
同じ100万円の借金であっても、年収300万円の人と年収1億円の人とでは、その比重は違っている。たとえ借金の返済が進まなくても、年収が増えていけば、借金の苦しさは低減するというわけだ。もちろん、年収を増やしていけば借金の返済も楽になる。
それと同様に、現在の経済成長を維持していけば、あとはプライマリーバランスを黒字化することで、借金返済も楽にできるのだ。
◆企業減税・個人増税にただ黙って従うサラリーマン
先ほども述べたように、プライマリーバランスは2007年度にも黒字化できる。これは、政府目標である2011年度よりも4年も早いわけだ。
それならば、何も焦って消費税率をアップすることなど必要ないではないか。「安定的な歳入が必要だ」などと言う人たちがいるが、それならば法人税減税をやめればいい。
ただでさえ、来年度は定率減税の廃止によって、さらに税収が1兆円伸びることになっている。もうこれ以上、一般国民に対する増税は必要ないではないか。少なくとも、財政再建を目的とした消費税率アップは、もはや必要がなくなっている。そんなことは、財政をやっている人ならば誰でも分かっているだろう。
では、それなのになぜ消費税率を上げようという話が消えないのか。それは、減価償却の拡充や法人税率の引き下げといった法人減税を行うための財源として必要だからではないか。
だが、いま救うべきなのは、空前の利益を上げている法人ではなくて、年収200万円程度で暮らさざるをえない庶民ではないのか。
わたしは、なにも安っぽい正義感だけで、庶民のためになることをしろと言っているのではない。いくら景気が上向いたといっても、国民の所得を伸ばして消費を拡大しなければそれは続かないのだ。たとえ企業の投資が伸びて生産力が上向いても、庶民がモノを買うことができなければ、やがて景気は失速してしまうだろう。それをわたしは恐れているのだ。
だが、わたしがいくら数字を挙げて、「消費税など引き上げなくてもいい」と論理的に説明しても、なかなかそれを理解してもらえないのが残念だ。それどころか、やれ財政が分かっていないだの、経済オンチだのとヒステリックな反応ばかりが返ってくる。揚げ句の果てには、非国民呼ばわりされる始末だ。マスコミにしても、借金の額ばかりを示して不安をあおっているばかりである。
だが、もう少し冷静になって数字をチェックしようではないか。そうすれば、現在の日本の財政状態の本当の姿が見えてくるだろう。そして、一般の国民も、政治家やマスコミに言われるがままに信用するのではなく、さまざまな意見を聞いて判断するようにしてほしいのだ。
わたしにとって、何よりもミステリーなのは、誰が見ても明らかな企業減税・個人増税という流れに対して、サラリーマンがただ黙って従っていることなのである。
(私のコメント)
株式日記では景気の回復で財政再建ができると主張してきましたが、小泉・竹中内閣では増税と歳出カットで財政再建をしようとした。これでは経済が収縮してしまうのでますます税収が落ちてきてしまって、国債発行高は増える一方だった。
そこで小泉・竹中内閣は2003年の「りそな銀行」救済の頃から銀行潰しを止めて、株価を上げて景気を回復させる政策転換を行なった。株価が上がった事で銀行の不良債権は優良債権に転化して銀行は空前の利益を上げるようになった。
◆第10回「失われた5年−小泉政権・負の総決算(4)」 6月25日 植草一秀
小泉政権が5月17日のりそな銀行処理に際して「破綻処理」ではなく、「救済」を選択した背景とし2つの推論が成り立つ。ひとつは、「破綻処理」選択が小泉政権崩壊を意味したことだ。日本経済が金融恐慌に突入したなら、政権は持ちこたえるはずがない。引責総辞職は必至である。いまひとつの推論は、小泉政権がどこからかの指揮、指導を受けて、当初より暴落後の銀行救済を目論んでいたとの見方である。
おそらくこの両者のいずれもが真実であると思われる。小泉政権は2003年前半に米国政府と頻繁に連絡を取り合っている。米国の指揮、指導を受けて、大銀行の破綻危機が演出され、最後の最後で銀行救済がシナリオどおりに実施されたのだと考える。
2003年5月17日以降の株価猛反発でもっとも大きな利益を獲得したのは外資系ファンドであったと伝えられている。政府が「銀行破綻処理」でなく「銀行救済」の措置をとることがはっきりしていれば、株価が猛烈に反発することはまず間違いのないことと事前に予測することが可能になる。この政府方針を事前に入手し、株式投資を実行したのなら、これは明白に「インサイダー取引」となる。
外資系ファンド、国会議員、政権関係者がインサイダー取引を実行した疑いは濃厚に存在するのである。私はこの問題について、テレビ番組などで再三、調査を要請した。証券取引等監視委員会はこのような局面でこそ、本格的に行動すべきである。だが、調査に動いた形跡はまったく存在しない。「村上ファンド」を摘発するなら、その前に2003年の「インサイダー疑惑」を徹底調査すべきであるし、今回の問題でも「政界ルート」に踏み込むことが不可欠である。
(私のコメント)
2003年5月の株式日記を見ると当時の状況がよくわかりますが、テレビをつければ構造改革と銀行の不良債権処理のオンパレードだった。もしあのまま竹中大臣の銀行潰し政策を続けていれば経済パニックは避けられなかった。ところが「りそな銀行」救済によって政策の大転換が行なわれたのだ。ところが植草一秀氏の記事に寄れば、その情報は外資系ファンドに漏れていたらしい。
何はともあれこのときを起点に株価は上昇軌道をたどり、3年後の現在の企業業績の回復にともなう結果をもたらしている。ならば最初から銀行の不良債権を30兆円程度買い取っていればもっと早く日本の景気は回復していたはずだ。最初から竹中大臣と外資系ファンドとが仕組んだ構造改革政策だったのだ。
◆マクロ経済がわからないと構造不況が解決できない。「ミクロの総和がマクロではない」と理解するべきだ。 2003年5月27日 株式日記
不良債権処理も、同様である。個々の銀行は、自社の利益をめざして、不良債権処理を進める。しかし、国中の銀行がそういう行動を取れば、不況がどんどん深刻化する。いくら不良債権を処理しても、さらに次々と不良債権が発生していくので、不良債権は減るどころか増えていく。「ミクロの総和がマクロではない」と理解することが大事だ。 (この意味で、「自由放任にすれば経済は最適になる」というのは、とんでもない妄想である。
日本のマスコミと学界は、政府の御用学者と提灯持ちによって占められている。だから何時までたっても解決策が見つからないのだ。構造改革が必要なのはマスコミと経済学界だ。東大の伊藤元重教授も「マクロ経済学」と言う学生向けの教科書を書いている。どうやら伊藤教授が日本のマクロ経済学の権威らしい。
しかし伊藤教授が言うごとくペイオフを実施していたら、今ごろ日本はどうなっていただろうか。「りそな」に取り付け騒ぎが起きていただろう。日本のマクロ経済学の権威ですらこの程度なのだ。リチャード・クー氏はペイオフ解禁を「基地外沙汰だ」と指摘していた。植草一秀氏もペイオフ解禁には反対していた。日本でまともなマクロ経済学者はこの二人しかいない。
(私のコメント)
いまや伊藤元重教授は時の人ですが、いまも昔も御用学者の一人に過ぎない。リチャード・クー氏は日本人ではないから無理ですが、植草一秀氏は国策捜査によっていまは留置場に居る。これは竹中一派と外資系ファンドによる陰謀なのだ。森永氏にも悪の手が伸びなければいいのだが、財務省官僚は目障りな学者を陥れて増税路線まっしぐらだ。