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輸出で得た資金は内需に回っていない。
この資金を国内市場に回し所得を形成することがデフレの解消には非常に重要である。
今現在の日本は、度重なるデフレにおける経済対策の失敗により、初期には中国からの廉価製品の大量輸入を招き、その後中国経済のすさまじい拡大により、中国の外需に頼った輸出攻勢によって、輸出による還流資金が溜まっている状況にある。これは日本の非常に大きな幸運であり、誰も考えていなかった事である。1980年代のアメリカやヨーロッパへの洪水的な輸出で批判されたため、輸出での外貨稼ぎは考え憎かったのである。中国市場がこれ程早く開かれようとは考えていなかったのである。この僥倖を日本は的確につかめばよりうまくデフレから解放されるであろう。
この輸出による還流資金の性格は日本国内の市場を循環していないので、金融資産や外資に似ている。それ故何の対策もしなければ、国内市場に有望な投資先がないかぎり、国内になかなかそのお金は回らない。主に外貨や金融市場に流れ、国内に回ってもその多くは外需向けの研究設備投資に流れ、国内市場向けの設備投資や販路開拓などには向かわない。デフレの場合この傾向がより顕著に表れる。
それ故、国内は、やや金余りの不景気になっているのが現状である。デフレの場合、貯蓄が少ないので投資資金が貯蓄量を上回っているとも考えられよう。これを直す必要がある。お金を内需市場に回し国内の所得にしなければならないのである。これは随分昔スタグフレーションとか言っていたのとよく似ているかもしれない。お金が余っているのに景気がよくならない現象を言っていたと思うが当時私は学生で良く分からなかったし、その説明も余り当を得ていなかったように思える。理論的にも解明されていなかったのであろう。どうすればそれが直るのかも、いろいろ言われていたようだが結論は出ていなかったように思える。しかし今日本の現状におけるものは、原因が明らかである。それはデフレ下における金余りという現象で、主に、その余剰資金は、低金利の過剰金融緩和とそれに伴う輸出攻勢によって得た還流資金である。
以前のスタグフレーションとの違いはデフレ下にあり、貯蓄が少ない中での金余りと言えるだろう。本来国内に回れば解消されるはずの資金が、国内に回らず金余りとなっているのである。
この金余りが存在すること自体がデフレにおいて輸出関連業者と内需関連業者との間に所得格差が存在することを証明している。これ以外にもデフレにおいて、官民格差、ぜいたく品必需品格差、などがあるが、この還流資金は明らかに輸出業者と内需主体業者の格差を表すものである。デフレ下では、輸出や輸入の業者が儲け易く、内需主体の企業は儲けられないからである。この資金が内需市場に巡回すれば、輸出と内需企業の格差は解消されるはずである。
この資金は,主に金融緩和からくる物は国内の証券市場や金融資産に回りミニバブルの株式市場を形成している。また輸出による還流資金は、名目のGDPにプラスされ、一見名目GDPが実質を越え通常の状態に戻ったかのように見せているが、実際国内の内需市場は今までと変わらず同じ状態が続いている。デフレの所得線の角度が、45度線より低いままであり、金余り資金が金融資産として45度線外にはみ出しているのである。(この45度線の意味は、デフレインフレの一般理論を参照されたい。)
この中国特需とも言うべき資金をうまくハートランドに取り入れなければならない。それが早くデフレを解消する方法である。
デフレの解消は内需の振興、消費の拡大にある。それなしでは、企業の売上は決して拡大しない。単なる企業優遇策では、消費が導かれないのである。これは消費者が貯蓄を持っていないからである。それ故その対策は消費者が今の所得のままで消費を拡大するような政策が必要である。簡単に言うと今まで政府や公共団体に税金として、医療として、保険料として、公共料金として払っていたものを少なくすればよいのである。それが消費を拡大する道である。
このようなことを言うとでは財政はどうなるのかという人達がたくさん今の日本にはいることだろう。
ここがデフレと正常な経済との一番の違いなのである。経済が、貯蓄が減り所得が減った段階の45度線以下の所得曲線が支配する経済では、消費を増やす方が売り上げが上がり、税収が増大するのである。逆にデフレにおいて増税、特に消費税を上げることは、資金を国民から奪うことになり、売上を下げ、所得を減らし再び日本を資金取り合い競争へと導き、さらなるデフレの進行を促すことになる。
この国内市場に回り憎い還流資金は金融資産のような性格を持っている。国内の内需関連の会社の株式にお金を回したり、国内需要用の設備投資をする方向にお金を回すためには、国内の市場が拡大する兆しを見せなければならない。でなければ国内向けに投資されることはない。この還流資金が発生したおおもとである
輸出企業から得た税金を、内需を活発にするように回す必要があるのである。これが第1儀である。この得た税収のほとんどを赤字財政のための借金返しに使うなら、何の意味も持たないであろう。単に今だけ少し財政がましになるだけである。来年再来年に向けた発展的な要素はなくなってしまう。せっかくの僥倖も水泡に帰するであろう。
成長なくして財政再建はない。この言葉は正しい。
そのためには、内需の拡大、すなわち消費の拡大を通して、企業の売上を伸ばす工夫が必要なのである。それは何度も言うように企業側への優遇ではない。デフレの場合は消費者側への優遇である。我々が今支払っている税金、公共料金、保険料、医療費などを削減して、私達が負担している物を少なくすることである。
それによって所得曲線が上昇しデフレから逃れる1歩となるのである。例えば、高速代金など大幅にカットできると思われる。保険料や医療費等も増えた税収で少なく徴収することが、消費を増やす道であろう。さらに、消費税の減税である。特に消費税の減額はデフレ解消からの特効薬とおもわれる。例えば景気の回復が非常に遅れている北海道地区などの回復には、著効があるだろう。夕張市などは消費税を無くせば良い。さらにはマイナス消費税を課すことも夕張市の回復に効果があるであろう。多くの発展途上国にも同じことが言えるであろう。
現在の日本全体に消費税を減額するか否かは、現状をどのように見るかによって意見が分かれるところだ。
3年前ならば消費税の減額でデフレからの解消のかなりの効果があったと思うが、今現在は中国への輸出拡大から下手に消費税を減額すると、一気にハイパーインフレになるやもしれぬからである。それ故日本全体では、大幅に消費者の負担を軽くする方策をたくさん取るのが賢明な政策だと思う。
そうすることにより消費の拡大が見込めるようになれば、還流資金が内需用の設備投資や内需を主体にしている会社の株を買う始めるであろう。還流資金は、デフレにおいては、外資のような性質を持っているから、普通にしておれば内需に流れないのである。
大事なことは、アホの一つ覚えのような政策をやめよということだ。デフレではケインズの企業サイドによる需要創造は成り立たない。それは既に日本の今までの政策が実証していよう。
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