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□世界の新たな現勢 [ル・モンド・ディプロマティーク]
http://www.diplo.jp/articles06/0609.html
世界の新たな現勢
イグナシオ・ラモネ(Ignacio Ramonet)
ル・モンド・ディプロマティーク編集総長
訳・岡林祐子
地球上で最も古い対立の不断の戦火が、この夏、悲劇的に燃え上がった。ガザとレバノンで起きた敵対行為には、9・11から5年を経た世界の新たな現勢が、特異なかたちで凝縮されている。そこから何を引き出すことができるだろうか。時局の迷路の中で自己の位置を確認する一助となるような、世界地図の素描を試みてみたい。方向をつかむためのささやかな手がかりを、以下に4つの概況と10の簡単な考察として述べていく。
概況その1
現代の中心的な現象である経済のグローバリゼーションは、中東の衝突に直接的な影響を及ぼさなかったと言えそうだ。衝突を引き起こしも、煽りたてもせず、また沈静させることもなかった。
このことから、次の2点が確認できるだろう。この戦争は19世紀と同様に、領土紛争、ナショナリズムのうねり、燃え上がる信仰心が結びついた古臭いものである。そして、交易が活発になりさえすれば世界は平和になると考える自由主義イデオロギーは誤りである。
概況その2
中東がメディアの注目を集めているからといって、戦略面でのアジアの重要性を忘れるわけにはいかない。21世紀の人類の命運はアジアの動向に大きく左右される。インドと中国、この2大国の重要度は増している。さらに、中国と台湾、北朝鮮と日本、インドとパキスタンといった国々の間で、衝突が起こる危険性は無視できない。
もちろん、サハラ以南のアフリカの国々も忘れるわけにはいかない。極度の貧困、不法移民その他、ありとあらゆる問題が重なり合い、圧力鍋の中身のように煮えたぎっている。いずれ豊かな国々の目の前で、爆発することになるだろう。
概況その3
核戦争が、再び世界にのしかかる2大脅威のひとつとなっている(もうひとつは環境破壊の問題である)。最近の戦闘で、通常兵器で圧倒的優位に立つのに困難をきたしたイスラエルは、核兵器保有国であり、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。この点は、ライバル関係にある2つの核保有国パキスタンとインドも同様である。これらの地域からほど遠くないところでは、核大国3カ国が軍事活動を展開し、苦戦を強いられている。介入先は米国と英国がイラクとアフガニスタン、ロシアがチェチェンである。アフガニスタンでの戦闘行為には、同じく核大国のフランスを含む世界最大の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)も加わっている。
核衝突の危険は朝鮮半島と台湾海峡にも存在するとはいえ(1)、破壊的な核兵器の集中する未曾有の武器庫となっているのは、インドの西部国境からスエズ運河までの地域である。中国を除く大国のすべてが、この地域で軍事活動を行なっている。ささいな火花が大爆発を引き起こしてもおかしくない。
それゆえ、次々と起こる危機的状況の管理には専門能力が必要とされる。その鍵を握っているのは国連だけである。しかし、今回レバノンで明らかになったように、現代の大きな紛争の解決にあたり、今日の国連は不可欠であるにもかかわらず、絶望的に無力なままである。では欧州連合(EU)はどうかと言えば、戦禍に満ちた歴史を乗り越えてきたという意味では最適の調停役になり得るはずだが、そのためには政治的な発言力を増さなければならない。
概況その4
現在展開中の戦略を理解するには、我々の未来を決定付ける3つの領域を区別して考えた方がよい。
* まずは軍事的領域である。その主体は国民国家であり、国土および短い選挙サイクルが制約要因として働く(それゆえ、長期にわたる地球規模の問題を扱うには不適である)。この領域では米国が圧倒的な優位に立ち、一極的な世界の実現に向けて邁進している。
* 続いて、経済と貿易の観点から見てみよう。世界銀行、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)が規定するグローバリゼーションの論理が働く領域である。ここでの主体は民間企業と金融利権であり、増大する取引のうちに多極的な世界の出現をかいま見ることができる。
* そして、環境・社会問題を中心に考えた領域である。3つのレベルにおいて問題が累積している。環境問題(気候変動、温暖化、公害、森林破壊、飲料水、生物多様性)。新しい国際ルールの必要性(世界秩序の不公正への対策、移民の管理、遺伝子組み換え作物の使用、知的所有権、遺伝子分野の研究、脱税、現代的な犯罪行為)。そして、地球の住民の行く末という問題(アフリカ、感染症の世界的流行、貧困、デジタルデバイド、巨大都市、飢餓、教育、労働、自然災害)。この領域には、貧困、無秩序、困窮、混沌が満ちている。
これら3つの領域がどのように連動しているかは時と場合による。関連が明らかであることも多いが、まったく無関係という時もあり、相互の関係がつかみどころのない場合もある。
以上で述べてきた概況に加え、中東における最近の衝突から引き出せる考察を何点か慎重に述べてみたい。
考察その1
中東で新たに上がった火の手は、この紛争地帯が1991年の湾岸戦争以来、世界の「動乱の巣」の中心地と化しているという地政学的な事実を突き付ける。この「巣」は1914年から冷戦終了までの時代は、欧州にあった。それは現在では、パキスタンからエジプトにかけての、世界の主要な紛争を抱え、イスラム教を主要宗教とする地域を包含する。カシミール、アフガニスタン、チェチェン、カフカス、クルディスタン(クルド人居住地域)、イラク、レバノン、パレスチナ、ソマリア、ダルフール地方などだ。
国際関係上の緊迫状況が集中しているのも、この地域である。カシミール地方をめぐるパキスタンとインドの紛争。核兵器保有を企図しているとの疑惑をかけられたイランに対する恫喝。カフカス全域におけるロシアの圧力。イラク領クルディスタンの分離を危惧するトルコ。淡水資源の支配をめぐる数々の紛争。大部分がペルシア湾、イラン、黒海を結ぶ広大な三角地帯に埋蔵されている石油資源がかき立てる欲望。
考察その2
イスラエルが自衛権を持っていることには議論の余地がない。しかしパレスチナとレバノンの一般市民に加えられた過大な懲罰的措置を見るがいい。これは言ってみれば、強烈な無力感の裏返しだ。理由は単純だ。米国人たちも自覚しつつある。クリントン前大統領の言うように「敵を全員殺すことなどできない」からだ(2)。イスラエルの場合、近隣にあまりに敵が多い。
非対称戦争においては、圧倒的な軍事的優位があっても勝利は約束されない。米国はまたも過去の苦い経験を繰り返しつつある。「イラクがヴェトナム以来最悪の失態になりつつあるのではないか」とオルブライト元国務長官は懸念している(3)。
イスラエルの安全を保障する唯一の手段は和平であり、軍事的手段を偏重したところで、和平が実現しない限りは政治的解決に至ることはできない。そして、平和への道は、敵との交渉によってしか開かれない。
考察その3
メディア戦線はこれまでにないほど決定的な力を持つようになったと言える。ただし、情報の流れ方は変貌を遂げた。イスラエル軍は発電所、電話局、テレビ局(とくにアル・マナール[4])に集中砲火を浴びせて、敵側の情報システムの目、耳、口を塞ごうとしたが、無益な試みだった。
現場にいた戦闘員や目撃者の携帯端末、小型カメラ、ブログのおかげで、惨状を告発する映像がほぼ瞬時に世界中に流れる。爆撃がいくら激しくても、核爆発にも耐えるように作られたインターネット網に穴を開けることはできない。この点においても、イスラエルは何も学ばなかったようだ。アブ・グレイブ収容所の出来事をはじめとする数々のとんでもない証拠が飛び交ったことでイラクの米国人が愕然とした事実からも、世界中の世論において、米国のイメージが崩壊した事実(5)からも。
考察その4
米国政府は中東各地に民主主義をもたらそうとしているのだと主張するが(6)、民主的になったところで、同じく民主国家であるはずのイスラエルによる攻撃から身を守ることはできない。米国政府の言葉を額面どおり受け止めたパレスチナ人は、2006年1月、レバノンと並んで民主的な選挙を実施する唯一のアラブ市民となり、ハマスを選出した。ブッシュ政権はこれを黙殺して、パレスチナの民主主義者(悪い民主主義者)が虐殺され、代議士がガザで拘束された事態を放置した。ウィリアム・プファッフが述べているように「5人の反徒を殺すための作戦によって、新たに50人が反徒に加わるのだとしたら、それはまったく非生産的である(7)」。つまり、行き過ぎは、毛沢東が言う「ゲリラ兵の泳ぐ(人民の)海」の状況を生み出すことになる。
パレスチナやレバノンと同様に「動乱の巣」全域で、急進的イスラム主義が勢力を伸ばしつつある。この勢力は、中身は様々であり、慎重に判断すべき点も多々あるが、米国による支配に対して武力で立ち向かおうとする政治勢力の中心をなしているのは間違いない。活動家たちは救世主の到来を信じ、そのためには自分の命を投げうつ覚悟ができている。このイデオロギーは、例えば19世紀から20世紀にかけて無政府主義や共産主義が占めていた位置を、ある程度まで受け継ぐものとなっている。こうした比較はひんしゅくを買うかもしれないが。
世界の他の地域では政治的暴力が後退しているのに対し(8)、タリバンの巻き返しでNATO部隊が守勢に回っているアフガニスタンや、ソマリア、イラク、パレスチナ、そしてレバノンでは、サラフ主義(原点回帰主義)が急速に勢力を伸ばしている。
考察その5
非国家機関の力は伸びる一方である。とくに伸長が著しいのは、人道、環境、社会、法律問題を扱う非政府組織(NGO)だが、それらは時には道具として利用され、必ずしも不偏不党の立場にはない。「動乱の巣」においては、武装した非国家機関が続々と出現しており、様々に入り乱れた対立関係の中で決定的な鍵を握る存在となっている。その一例が、ハマスの武装グループが6月25日にガザ地区で、ヒズボラの民兵が7月12日にレバノンで決行した襲撃であり、2つの事件はイスラエルの反撃を引き起こした。
留意しておくべきことがある。この地域のどこかに、米国の「公然の敵ナンバー1」たる武装イスラム組織アル・カイダの拠点が存在する。ウサマ・ビン・ラディンを指導者とし、2001年9月11日のテロ攻撃の犯行声明を出した組織である。米国政府が、目下の「国際テロに対する終わりなき戦争」を始めたのは、この組織に対してである。
考察その6
9・11を機に、我々が新しい時代に突入したのは紛れもない事実である。米国のブッシュ大統領とその取り巻き連中は、この悲劇が社会を震撼させた事態を見て、かねて抱いていた地政学的妄想を思いのままに実施できる状況が整ったと考えた。
ここで3つのことを指摘しておきたい。世界の運営にあたり、米国が「帝国」の役割を自任していること。民族的な抵抗闘争(ハマスやヒズボラの闘争)を「テロリズム」と同一視していること。市民の自由を犠牲にして、市民を全般的な監視下におくのを優先させていること。
こうした米国政府の持説に従って、中央情報局(CIA)をはじめとする情報機関は容疑者を「抹殺」したり、容疑者を世界各地から拉致して秘密監獄に連行したりする許可を得た。ジュネーヴ条約に反し、あらゆる法の枠組みを踏み越えて、アル・カイダの関係者と目された人々を監禁、虐待するためにグアンタナモの収容所が作られた。
9・11のテロには一切関与しておらず、「大量破壊兵器」をひとつも所有していなかったイラクは、虚偽の報告に基づいて(実際は石油支配のため)侵略された。米国政府はウィルソン的な理想主義に勢い込んで、「大中東」の地図を描きなおすつもりだと公言した。大変な状況だ。
この大それた野望から何が起きたかは、もはや周知の事実である。今日の世界は、以前にも増して危険となった。新たな大規模テロの発生も、ありえない話ではない。米国の恐るべき軍事機構は、イラクで泥沼にはまり込み、勝つことのできない非対称戦争に絡めとられた。そしてヴェトナムで惨憺たる失敗を犯して以降は(9)絶対にないはずだという残虐行為(民間人の無差別拘束、虐殺、組織的な拷問[10])をやったりやらせたりするだけの存在に成り下がっている。
政治的な失敗はさらに強烈だ。この地域における米国の主要な敵であるイランは、米国の介入のおかげで、国境を接する対抗勢力、すなわちアフガニスタンのタリバン政権とイラクのフセイン政権を厄介払いできた(11)。そして現在、防衛力の増強を推し進めている。他方、米国政府が中東地域に専心している間に、米国の裏庭たるラテンアメリカでは、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、チリ、パナマ、ドミニカ共和国、ボリビアなどの国々で、かねて米国が敵視してきた勢力が民主的に政権についた。共産主義勢力と社会主義勢力の未曾有の波は、当然ながらキューバの立場の強化という余波ももたらしている。
この数年間、ブッシュは世界中の問題がテロ問題のみに集約され、軍事的圧力だけでテロ問題を解決できると信じてきた。それは誤っていた。彼はあまりにも多数の基本原則を無視し、あまりにも多くの権利を踏みにじってきた。ノーム・チョムスキーはブッシュ政権を「米国史上最も危険な政権」と呼び、自国を地球上の「主要なテロ国家(12)」と呼ぶのを躊躇しなかったくらいだ。
考察その7
イラク戦争はとても高くついている。2005年、米国の軍事支出は5000億ドルに達した(13)。これは世界の他の国の軍事費総額に匹敵する。あまりにも巨額だ。グローバリゼーションが進んだ結果、米国の経済システムは生産能力だけでなく、消費活動を牽引役とするようになった。米国は、年間7000億ドルから8000億ドルの資金を吸い上げる揚水ポンプとなり、この資金によって輸入消費財をまかなっている。
米国がこのように世界中の流動資金を吸い上げていることで、危うい状況が生じている。米国の貿易赤字が国際的な金融取引に重くのしかかって、ドル安、金利上昇、株価下落(14)、世界的な景気後退といった事態を引き起こすおそれがある。現代の(目に見えない)大きな問題のひとつである。
考察その8
推定7000億ドル近くにのぼる米国の赤字は、安価な労働力を抱えた国々を潤している。中国を筆頭に(15)、急成長している新興経済諸国(インド、韓国、台湾、ブラジル、メキシコ)が、世界の強国を脅かし始めている。さらに、ロシア、カザフスタン、ベネズエラ、チリ、アルジェリアといった国々も、原材料価格(とくに石油相場)の高騰によって大きな利益を手にしている。
こうした国々の企業との競争はますます脅威となっている。新興諸国から出現した世界規模の多国籍企業はすでに25前後あり、まもなく100にのぼるだろう。米国の石油会社ユノカルの買収を企てて失敗に終わった中国海洋石油や、欧州鉄鋼大手のアルセロールの獲得に成功したインド系のミッタル・スチールに見られるような、注目を集める企業買収の試みは今後は増える一方だろう(16)。
こうして見ると、グローバリゼーションは最終局面に近付きつつあると言えるかもしれない。この調子でいけば、今までずっと安泰だった旧来の大国による支配が脅かされることになるだろう。新たな保護主義の時代が始まってもおかしくはない。
考察その9
イスラエルとレバノンの紛争の結果、家を追われた人々は約120万人にのぼる(レバノン側90万人、イスラエル側30万人)。戦争により強いられた移住は一時的なものに留まるが、他方では構造的問題として、労働力の国境を越えた移動が起きている。その規模は1億7500万人に達する。背景には生産効率の向上がある。経済成長が実現された場合でさえ、富は生まれても十分な雇用は創出されないからだ(17)。
仕事にありつけない人たちは貧困状態に甘んじるしかなく、そうでなければ国外に出ることを余儀なくされる。もちろん不法入国だ。歴史家のエリック・ホブズボームが指摘するように「市場経済は、あらゆる生産手段の自由な流通を促進する。しかし、大部分が国家の管理下におかれている労働力だけは別だ(18)」。若い健康な者を中心とする多数の人々が、命を賭けて(かつてモロッコ内の飛び地メリーリャで見られ、今日カナリア諸島で見られるように)世界の中の数少ない繁栄の小島に潜りこもうとする。米国への入国を果たした者は2000万人を超える(19)。米国でも欧州でも、滞在資格を持たない人たちの問題は、国家安全保障にかかわる問題として扱われているのが現状である。とはいえ、不法移民の問題はまだ爆発していない。多くの人々の身に降りかかっているこの悲劇は、あらゆる先進国の社会を激しく揺さぶることになるだろう。
考察その10
2006年7月14日、イスラエル空軍はベイルートの南、ジイエ発電所の重油タンクを爆撃した。1万5000トン近い重油が海中に流出した。8月初旬の時点で、重油の波はレバノン沿岸の3分の1を汚染し、シリア沿岸に到達し、さらにキプロス、シリア、トルコ、ギリシャ、そしてイスラエル沿岸を脅かしていた(20)。
敵対行為の「付随的被害」として発生したこの環境汚染には、環境関連問題が高度に戦略的な問題となりつつあることが示されている。2005年7月にグレンイーグルズで開催された先進国首脳会議(G8)の場でも、地球温暖化対策が議題にのぼった。平均気温が数度上がるだけで、地球環境は激変する。海面の上昇により、前例のない災害が発生するようになるだろう。抜本的な是正措置が必要とされているのだ。需要に見合うだけの石油資源(温暖化の進む原因)を採掘できなくなる日が近付きつつあるのだから。
世界の新たな現勢を駆け足で見てきた。今ここで触れた問題点、すなわち警戒域に入った気候変動と近付きつつある石油時代の終焉は、これから人類が取り組んでいくべき2つの大きな課題を指し示している。
(1) 2005年7月15日、北京の中国国防大学防務学院院長である朱成虎少将は、台湾にかかわる国益が脅かされた場合は、米国に対する核攻撃もあり得ると述べた。マルティーヌ・ビュラール「中国が展開する非対称外交」(ル・モンド・ディプロマティーク2005年8月号)も参照。
(2) Le Monde, 10 August 2005.
(3) Newsweek, New York, 24 July 2006.
(4) レバノン国内のシーア派勢力ヒズボラの運営するテレビ局。
(5) International Herald Tribune, Paris, 14 June 2006.
(6) ネオコン一流の持論によると、民主国の間で戦争が起こることはない。それなら、イスラエルは民主的なパレスチナと平和に共存できることになる。しかし、イスラエル政府の最近の行動は、まったく逆のことを証明した。さらに、米国政府が最悪の「友好専制国家」たるエジプト、サウジアラビア、ヨルダン、アゼルバイジャン、パキスタンに対し、決して「圧制の拠点」などと呼ぶことなしに、妥協的な姿勢をとっていることは、事実の示すところである。これらの国の国民は、貧困に追いやられ、抑圧に苦しめられ、政治腐敗にうんざりして、急進的イスラム主義組織へと流れている
(7) Le Monde, 19 July 2006.
(8) 加ヴァンクーヴァー州のブリティッシュ・コロンビア大学ヒューマン・セキュリティ・センターの報告書「21世紀の戦争と平和」は、冷戦終結以後、紛争の数が減少したと指摘する。EU域内においては、殺害した犠牲者が最多数にのぼる2つの武装組織、アイルランド共和軍(IRA)とバスク祖国と自由(ETA)が、武力闘争の放棄を決定している。IRAは2005年7月28日、活動家たちに「武器を置く」ことを命じ、ETAは2006年3月22日に「恒久的休戦」を宣言した。
(9) ロサンゼルス・タイムズ紙は、2006年8月6日、ヴェトナムで米国人が行なった残虐行為が、我々の想像以上に多数であったことを明らかにした。
(10) ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、「イラクにおける捕虜に対する拷問は米軍により許可されていた」。Le Monde, 25 July 2006.
(11) Cf. Joe Klein, << The Iran factor >>, Time, New York, 24 July 2006.
(12) Le Point, Paris, 20 July 2006.
(13) 開発援助に費やした予算はわずか180億ドル、国内総生産(GNP)の0.16%であった。
(14) 各国の中央銀行が公定歩合を引き上げるかもしれないという懸念だけで、2006年5月21日、世界の主要株式市場が暴落した。
(15) 2005年の米国の対中貿易額は、輸出478億ドルに対し、輸入2016億ドル、すなわち中国側が1538億ドルの黒字である。しかも中国は3200億ドルにのぼる米国債を保有している。
(16) Cf. Capital, Paris, August 2006.
(17) Le Figaro, Paris, 20 June 2006.
(18) L'Express, Paris, 8 June 2006.
(19) International Herald Tribune, Paris, 29 June 2006.
(20) Cf. Caroline Pailhe, << Israel, Palestine, Liban. Le chemin le plus long vers la paix >>, Groupe de recherche et d'information sur la paix et la securite (GRIP), Bruxelles, 8 August 2006.
(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2006年9月号)