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【浜田和幸「ついに石油は枯渇したのか!」】
2006年9月12日 掲載
イスラエル・ヒズボラ戦争の陰にも石油利権
中東地図塗り替えるBTCパイプライン
この7月、イスラエルとヒズボラ(レバノンに拠点を持つイスラム教シーア派民兵組織)の間で起こった激しい戦闘は、小康状態を保っているように見えるが、イスラエルがレバノン侵攻の理由に挙げたヒズボラによるイスラエル兵の拉致事件は解決していない。また、イスラエルが拘束しているレバノン人も1万人近いといわれる。これでは、いつ戦闘が再開されても不思議ではない。
実は、双方が抱える対立要因は捕虜や宗教問題だけではない。直前に完成したカスピ海のバクー油田からトルコ経由で地中海まで原油を運ぶパイプラインの存在こそが隠された原因であった。
通称「BTC」と呼ばれ、バクー・トビリシ・セイハンを結ぶ全長1760キロのパイプライン。建設費は当初25億ドルといわれたが、現実には40億ドルに膨れ上がった。世界最新鋭のパイプラインはテロに備えて、砂漠、山岳地帯、河川敷など複雑な経路をたどっているが、すべて地下に埋設されるという大規模な工事となったためである。日本企業もかかわったこのパイプラインを海底に延長すれば、イスラエルはシリアやレバノンを通らず、原油も水も確保できる。イスラエルは自国の安全と経済的繁栄を維持するため、欧米の石油メジャーやアゼルバイジャンの故アリエフ大統領を説得して、ようやく完成にこぎつけた。
この「救国のパイプライン」に対するヒズボラの破壊工作の動きが判明して、イスラエルが強硬策に踏み切った。レバノンの一般市民を標的に、劣化ウラン弾までばらまくという軍事作戦を展開、国際社会の非難という想定外の結果を招いてしまった。それでもアメリカはイスラエルへの援助を中断することはない。なぜなら、両国は自分たちに都合のいい「新たな中東」をつくり出そうという野望を持っているからだ。その実現のためなら、アフガニスタン、イラク、そしてイランとの戦争も辞さない。戦争の大義名分は何とでもなる。最初はタリバンとウサマ・ビンラディンだった。今回はヒズボラとイランである。
ブッシュ大統領はこう言い切った。
「ヒズボラはイランの支援を受けながら、アルカイダへも資金や武器を供与し、テロリストの訓練まで行っている。アルカイダよりヒズボラの方が危険だ」
こうしたアメリカの動きに危機感を持った中国とロシアは、水面下でイランとヒズボラの支援に動き始めた。まさに、第3次世界大戦を誘発しかねない危ない賭けである。中東の原油に依存する日本も傍観者ではいられない。
【浜田和幸・国際未来科学研究所代表】