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(回答先: イスラエル製プルトニウム核爆弾説は早くから出ている。 投稿者 木村愛二 日時 2006 年 5 月 31 日 14:00:15)
申し訳ないのですが「プルトニウム爆弾は残留放射能を出さない」は誤りです
●プルトニウム２３９はウラニウム２３５よりも核分裂を起こしやすく臨界量も小さいのが特徴です。（約１２．５キログラム）したがって効果的な圧縮装置があれば非常に小型の爆弾を造ることも可能です。
プルトニウムに不純物（主に同位元素のプルトニウム２４０や２４１、もちろん放射性）が多いと核分裂連鎖反応後もそれが残り、強い残留放射能を示します。ですから、プルトニウム２３９の純度が極めて高ければ、これらプルトニウムの同位元素が残留することはなくなります。
「プルトニウムの純度が高ければ残留放射能は無い」というのは、申し訳ないのですが、おそらく「残留プルトニウムが無い」という内容の情報をそのようにお取り違えになっている、あるいはそのように取り違えて発信された英語情報をご覧になったのではないか、と思います。
（なお、残留プルトニウムが無くても、ウラニウム２３５とは分裂生成物の種類が異なりますので、プルトニウム爆弾だったのか、ウラニウム爆弾だったのかの区別はすぐにつきます。）
●２３９の純度が高ければ確かにプルトニウムの同位元素が残る心配はありませんが、核分裂で新たな物質が何種類も生成されます。これらはほとんどの場合放射性で、アルファ線よりもむしろベータ線、ガンマ線などより危険な放射線を出すことが普通です。したがってプルトニウムだけよりも高濃度の放射能が検出されます。
そもそも、一つの原子核の質量が十分に大きい場合には（自然界に存在する物質ではポロニウム以上）核が不安定になって自己崩壊し放射能を出します。通常はアルファ線（ヘリウム原子核）を出して質量を減らします。この際余計なエネルギーをガンマ線（電磁波）の形で放出することもあります。さらに陽子と中性子のバランスが悪くなる（通常は中性子の数が多すぎる）のを、中性子がベータ線（電子）を出して陽子に変わる事で修正しようとします。多くの場合、この過程が繰り返されます。（中性子や陽電子が放出される場合もあります。）
質量が小さい場合でも核の中にある陽子と中性子の数的なバランスが悪い場合には、バランスを取り戻して安定化しようとするために粒子を放出します。通常はアルファ（ヘリウム原子核）、ベータ（中性子から飛び出す電子）、その際にガンマ線（電磁波）を放出する場合もあります。最も質量の小さいものは水素３でこれはベータ粒子（電子）を出してヘリウムの同位元素に変化します。中にはガンマ線（電磁波）のみを出して核の中にある余剰なエネルギーを無くして安定化する場合もあります。
プルトニウム２３９の核は、陽子が９４個、中性子が１４５個で出来ているのですが、これがどのように分裂しても新たに生成された原子核では陽子と中性子の数的なバランスが極めて悪く、２個に分裂した少なくとも片方は、間違いなく放射能を出してより安定化しようとします。つまり分裂生成物による強い放射能は１００％検出されます。しかもプルトニウム２３９が出すアルファ線よりもはるかに生物に有害なベータ線やガンマ線が検出されます。
ついでに申しますと、ある放射性の物質の半減期が○○年だ、と聞いて、では○○年経てば放射能が半分になるのか、というと、これも間違いである場合が多いのです。放射性元素のかなりのものは、アルファ崩壊やベータ崩壊をしても、新しく生まれた核がさらに放射性であって、引き続き放射能を出します。したがって○○年経っても放射能がちっとも減らない可能性があります。
●なお、私はＷＴＣで小型核が使われた可能性は、上にある「笑いが宇宙を救う会」さんと「ブッシュ親子の自作自演テロの１１」さんの論争とは無関係に、否定します。
（参照）
http://asyura2.com/0601/war78/msg/257.html
「小型水素爆弾」は何が何でもありえないでしょう。
http://asyura2.com/0510/bd42/msg/1069.html
「科学的」を掲げる『９１１解明』にはうかつに信用できない例があるのでご注意を！
放射能検出、放射線障害、中性子線障害などの報告が全く無い上に、力学的にもありえないことです。（これと比べるならホログラム飛行機の方がまだ可能性があるでしょう。）
なお、一見すると科学的に書かれている文章で、明らかに誤っている例をもう一つ取り上げておきます。
先日Global Researchで次のような論文が発表されました。
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http://globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=BUN20060519&articleId=2473
New official 9/11 video: The Pentagon Magic Plane
by Pierre-Henri Bunel
May 19, 2006
Voltaire Net
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これはフランス語版ヴォルテール・ネットの英訳なのですが、元々がこうなっていたのか、英訳の際に誤ったのかはわかりません。しかし、この論文の中に次のような内容の箇所があります。それは激しい爆破の際に起こる衝撃波で空気中の水蒸気が霧状になって「雲」を形作る、という説明の部分です。
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【前略】
The combustion of explosive chemical materials - powders, explosives or hydrocarbons, for example - release energy by producing a shock wave. The diffusion at high speeds of the enormous quantity of gas produced by the chemical reaction is accompanied by flame, by a noise caused by the displacement of the shockwave through the air, and by smoke. One also often observes, even before seeing the flame, a cloud of vapor due to the compression of the air surrounding the zone of the explosion. The air can’t be set into motion immediately, so it compresses under the influence of the shockwave. At first, under the compression of the air molecules, the invisible water vapor that the atmosphere always contains in greater or lesser quantities compresses and becomes visible as a white cloud.
【後略】
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これによると、衝撃波によって空気が猛烈に圧縮されるために空気中の水蒸気が凝結して雲が作られる、ということになっていますが、これは明らかな誤りです。衝撃波によって雲が作られる場合には、圧縮過程の直後に逆に急激な膨張が起こり、そのために温度が急激に冷やされて水滴が霧状になります。
したがって、「雲が形作られることは衝撃波が作られた証拠であるので、爆薬による極めて急激な爆破（detonation）である」という点では何の問題も無いのですが、その論証部分で、読む人の誤解を招き、敵から難癖を付けられて足下をすくわれることになってしまいます。（この論文で、最初に白っぽい火球が見られるのを、水蒸気が凝結して出来た「雲」であると断定しているのも少々気になります。もう少し厳密な検証が必要でしょう）
●以上、使いました用語に関しては下記をご参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%88%86%E8%A3%82%E5%8F%8D%E5%BF%9C
核分裂反応
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%A8%E7%95%8C%E9%87%8F_(%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B)
臨界量
http://contest.thinkquest.jp/tqj1999/20159/fission.html
核分裂について
http://www.nucpal.gr.jp/website/support/plutonium/plutonium_08.html
核兵器とプルトニウム
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