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8/13
週のはじめに考える
察して見よう人の心
お盆です。遠く近くセミの声を聞きながら、亡き人のことがしのばれます。沈思するうち、とげとげしい世の姿と、そうさせている精神のありようも思われます。
NHKラジオの「夏休み子ども科学電話相談」。甲子園大会でお休みになる前、昆虫や魚、植物、天文などの質問に交じって、小一の坊やがこんなことを聞いたのでした。
「心は、なんで人間の目に見えないんですか」
回答する先生たちが「オー」と声を上げました。二十三年目を迎えた好番組での、出色の質問です。脳科学や文章、絵でも心は見えるよ、と説明されましたが、どうも坊やの問いの深さの方が印象的でした。
■ なんで心は見えないの
坊やが「見えない」と言う心、見えたらいいと思う心は、だれのどんな心かな。あらゆる人の一切の思いや考えなのかな。幼い胸にきざした疑問をいとおしく思い、精神の営みを始めた芽よ、たくましく健やかに育ちなさいと。そう祈りながら、あらためて考えさせられたものです。
心とは、知情意(知識・感情・意思)の混然としたものか。その深浅、広狭またさまざま。海より深く大空より広い心もありましょう。心の内は、言葉や行動で表に出ることもあれば、じっと抱き、秘め続けられることも。
表れにくい心は、つらさや恥、苦痛、悲しみ、思惑、打算、計略、負い目、恐怖心などでしょうか。
六十余年間、かたくなに閉ざしてきた心の扉を開く人がこのところ増えました。戦争を体験した兵士や市民です。沖縄の、広島、長崎の、大陸や南方戦線の、地獄図を証言する人々。先夜のテレビは「硫黄島玉砕戦」の実相を日米の生還兵の証言で再現していました。
むごさ、つらさ、理不尽さを「とても家族、遺族には話せない」と沈黙してきた日本兵たち。負傷して意識不明で収容され、生還した一人がつぶやきました。
「私が語ることで、あの兵士らの死にも、意味はあったと分かってもらえるのかもしれない」
玉砕戦に何の意味があったか、と問い続けてきた人の言葉です。亡き戦友たちにわびながら生き永らえた苦しみはいかばかり。
<黙ったままでは、自分と周りの体験が、史実までが知られずに終わる。なかったことになってしまう>
余命いくばくとなった今、死に切れぬ思いから、戦争の被害を、葛藤(かっとう)の果てに加害や後悔を、語り残す人々に打たれます。
見えなかった心がそのように見えることがある。晩年、靖国参拝をやめた昭和天皇もそのわけを漏らして「それが私の心だ」と。逝去前年の言葉だったそうです。
■ 参拝は心の問題でない
「靖国参拝は心の問題だ」と小泉首相が言います。精神の自由だ、他人が干渉すべきではない、とも。
そうだな、と思われがちな、例によって分かりやすい語句です。でもどうかな。心の問題とは言えないのでは。戦没者を悼む思いは「心」でも、参拝の行動となると別ではないでしょうか。心には立ち入れませんが、歴然と表れた行動は他者の批評対象にならざるを得ない。
まして国の最高指導者、責任者たる首相は一挙一動を注視されるのです。靖国への「参拝」は、己のプライバシーだといった感覚で不干渉を望むわけにはいかない。
家族や同胞、国に殉じた戦没者への感謝、哀悼は自然な心です。その純真から靖国に参る人が多いのも、成り行きではあります。オレもその一人と首相は思うのか。
戦争遂行の支柱だった靖国には行かない人が少なくありませんが、靖国が単に戦没者を祀(まつ)る神社ならまだしも、戦争指導者たち(A級戦犯)まで合祀(ごうし)したことで靖国観は変質し参拝がさらにためらわれるのです。
侵略、玉砕、自決…死ね、と民にまで叫び立てた指導者にも頭を垂れることになる。そんな靖国参拝となり、昭和天皇さえ遠ざかりました。
「中国侵略は軍国主義者による。日本国民は被害者」と考えることにして日本との国交を正常化した中国にとって、日本の現首相が戦争指導者たちにまで「哀悼の誠を尽くす」のは耐え難く、国交の名分も立たないと思うのは不思議でない。
日本に占領され、辛酸をなめさせられたアジアの国々が首相の靖国参拝を日本国民以上に厳しく見詰め、参拝をやめてほしいと願う。そのアジアの心を軽んじる心、「干渉するな」と理由も察せずに叫ぶ心は、国際的な目には狭量、独善としか映らないかもしれません。
■ 心を、心で見る大切さ
目に見えない心を知りたい、知らなくてはいけない。そんな時は、目でなく、心で見たらどうか。心で見るとは、察することです。相手は、あの人は何を思う、なぜそう思うのだろうと考えるのが大事。
自分の心を押し付けるばかりでなく、相手の心を読み、分かり合える中間点を見つければ、紛争も事件も減って、世の中、うんと幸せになると思いますが、どうでしょう。
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