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シオニズムの隠された歴史:第6章(ラルフ・シェーンマン著)《全訳、その2》
【「ホロコーストの死霊」による憑依現象】
これは下記の投稿の続きです。
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http://asyura2.com/0601/holocaust3/msg/358.html
シオニズムの隠された歴史:第6章(ラルフ・シェーンマン著)《全訳、その1》
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この投稿でも前回同様に、訳文の途中途中で区切りの良い箇所にコメントを挟んでみたいと思います。また全体を通しての感想は、翻訳が終わった最後につけるようにしましょう。
本文中で「++++++++++++++++」でくくられてある箇所に、その部分までの内容に関する私からのコメントを記入するようにします。
訳文中の[1][2]等の数字は原文にある注釈の付いた部分で、脚注に出典資料、参考資料を挙げておきます。
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【原典Url】
http://www.marxists.de/middleast/schoenman/ch06.htm
(その1より続く)
[ハンガリーのユダヤ人に対する協定]
シオニストの裏切りの極地は、1953年になって始めて知られるようになったシオニズム運動とナチス・ドイツとの間で交わされた一連の合意によるハンガリー在住ユダヤ人の犠牲であった。ブダペストのユダヤ機関救出委員会(the Jewish Agency Rescue Committee)のルドルフ・ケストナー(Rudolph Kastner)博士は、ハンガリーにおける「ユダヤ人問題を解決させる」ために、アドルフ・アイヒマン(Adolf Eichmann)との秘密協定に調印した。これは1944年に起こった。この協定は80万人のユダヤ人の運命を閉ざしたのだった。
ケストナーがアイヒマンとの合意を結んだときに彼が外国のシオニスト指導者の命令を受けていたことが後に明らかにされた。その合意はハンガリーのユダヤ人の運命に関して沈黙を守るという条件で600名の優秀なユダヤ人を救うものであった。
生存者の一人であるマルチエル・グリーンワルド(Malchiel Greenwald)がこの協定を暴露しケストナーをナチ協力者として「彼がブダペストで行ったことによって数十万人のユダヤ人が命を落とした」と告発したときに[16]、グリーンワルドはイスラエル政府によって告訴された。イスラエルの指導者たちがケストナー協定の文言を作り上げていたからである。
イスラエルの裁判所は次のような結論を下した。
《優秀な者たちを救出するために大部分のユダヤ人を犠牲にすることがケストナーとナチスとの間の合意における基本的な要素だった。この合意は、国民【訳注:ユダヤ人】を二つの不平等な収容所に別けた。一方でナチスはそのごく少数派の優秀な者達を救うとケストナーに約束し、その一方でハンガリーのユダヤ人の大多数にはナチスが死をもたらしたのだ。[17]》
裁判所は次のように述べた。この協定にある命令調の条件は、ケストナーもシオニスト指導者もユダヤ人に対するナチスの行動に干渉しない、というものであった、と。これらの指導者たちは、干渉することを避ける保証をしたばかりでなく、イスラエルの裁判所の言葉によると、「彼らを絶滅させることを妨げない」ことに合意したのだった。
《ユダヤ機関救出委員会とユダヤ人絶滅者との間の協力はブダペストとウィーンで打ち固められた。ケストナーの義務はSSの一部分になることだった。その絶滅局(its Extermination Department)と略奪局(Looting Department)に加えて、ナチSSはケストナーに率いられる救出局(a Rescue Department)を開設したのだった。[18]》
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【私からのコメント(5)】
もしもナチスが本当に『ユダヤ人絶滅』を願望しその決意していたというのなら、彼らにとって最も恐ろしい敵となるべき「優秀なユダヤ人」を選別して欧州の目と鼻の先にあり油田地帯を背後に控えたパレスチナに送り込む手助けをして、ヒトラーが最も恐れ憎んだと信じられている「ユダヤによる世界支配」を益々容易にするような、そんな馬鹿げた協定を結ぶでしょうか? だとすればヒトラーは『悪の権化』でも何でもなく単なる薄ボケたアホでしょう。
この「ケストナー=ナチ協定」が存在する以上、ナチスが行ったことは『ユダヤ人絶滅作戦』ではなく「イスラエル建国のためのユダヤ人選別作戦」だった、したがって、「シオニストにとって不要なユダヤ人の始末」はあったとしても『ユダヤ人絶滅のためのホロコースト』など存在しなかった、ということになります。
シューマンにしてもブレンナーにしても、「ホロコーストの死霊」に憑依されてこんな基本的な矛盾にすら疑問を持てなくなるほど正気を失っている、としか思えません。(彼らの受け売り以外に能を持たない日本の論者は最初から相手にする気も起こりませんが。)
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[ユダヤ人ではなくナチスを救う]
ケストナーがSSのクルト・ベッチャー(Kurt Becher)将軍を戦争犯罪の裁判から救うために干渉したことが明らかになったのは驚くべきことでもない。ベッチャーは1944年のシオニストとの取引で主要な交渉者の一人だったのである。彼はまたポーランドでのSS高官の一人であり、「ユダヤ人を殺す時計の針を回らせた」殺人集団のメンバーであった。「ベッチャーはポーランドとロシアでユダヤ人殺しとしてその名を馳せていた」[19]。彼はハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler)によって全てのナチ強制収用所の代表委員に指名されたのだった。
彼はどうなったのであろうか。彼は多くの企業の代表となりイスラエルに小麦を売る責任者となったのだ。彼の会社であるケルン・ハンデル・ゲセルシャフト(the Cologne-Handel Gesellschaft)は、イスラエル政府との多額の取引を行った。
[ナチとの軍事協定]
1941年1月11日、アヴラハム・スターンは、現イスラエル首相【訳注:この論文が書かれた当時】であるイツァーク・シャミールがリーダーを務める民族軍事機構(National Military Organization=NMO)とナチ第3帝国との間の公式な軍事協定締結を提唱したのだった。この提唱はアンカラ文書として知られるようになったのだが、戦後になってトルコのドイツ大使館でファイルの中から発見されたものである。それは次のように述べている。
ヨーロッパからのユダヤ人大衆の避難はユダヤ人問題解決のための前提である。しかしこれは、ユダヤ民族の故国であるパレスチナにそれらの大衆を植民させることを通して、および歴史的な地平に沿ってユダヤ人国家を確立させることを通してのみ、可能であり完成されうるものである・・・。
《NMOは、ドイツ国内におけるシオニストの運動に対する、またシオニストの移民計画に対する、ドイツ帝国政府およびその当局者の好意を歓迎するものであり、次のような見解を持つものである。
1.ドイツの思想と一致させることによる欧州の新秩序の確立と、NMOによって体現されるものとしてのユダヤの民族的熱望との間に、共通の利益が存在しうるであろう。
2.新しいドイツ人と再生したヘブライ民族との間の協力は可能であろう。そして、
3.民族的で全体主義的な基盤を持ち、そしてドイツ帝国との条約によって規定される歴史的ユダヤ人国家の確立は、近東地域における未来のドイツの権力的地位を維持し強化するという利益につながるであろう。
これらの認識から、パレスチナNMOは、上記のイスラエル自由運動の民族的熱望がドイツ帝国の側にあると確認される状況の下で、ドイツの側に立って積極的に戦争に参加することを申し出るものである。[20]》
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【私からのコメント(6)】
「救われたナチ」ならいくらでもいます。米国情報機関とバチカンの全面協力で数万人にのぼるナチ幹部が主として中南米に向かい、その後の米国の中南米戦略に非常に多大の貢献をしたほか、ゲーレン機関などのCIAによる世界戦略を支えたナチ幹部は数多くいます。またイタリアにしても、イスラエルのシオニスト(右派)が最も仲良くしているのがムッソリーニを礼賛するファシストの後輩たちです。
イスラエル建国に対するナチス最大の貢献者アイヒマンだけはおそらく「ホロコースト」の秘密を守るために死をもってシオニストにつくしたようですが、ドイツやクロアチアなどのナチ主力の大多数は無傷だったのです。
またイツァーク・シャミールの集団(スターン・ギャング:レヒとも言われるテロリスト集団)が、結局は実現しなかったとはいえナチス・ドイツと軍事提携しようとしたことも、そしてその頭目が後にイスラエルの首相となったことも、また必然的なことでしょう。彼らはイスラエル建国に反対する英国のモイン卿をはじめ多くの欧州の反シオニスト人士を暗殺しました。彼らがそれを実行できしかもその頭目が何一つ罰せられることなく「ユダヤ人国家」の指導者となった事実が、その背後関係を示唆しています。
さらに、ナチのシンパでありジャボチンスキーの舎弟であったレオ・シュトラウスが米国で「ネオコンの祖」となり、またブッシュのじいさんを含む英米の資本家がナチとヒトラーを育み支えました。ナチスとシオニストは現在までガッチリとつながり続けています。ネオコンこそが本当の意味のネオナチです。(右も左も、体制に養われ一般的に知識人と呼ばれる者たちは、このような事実を無視します。)
このような点から見ても、ナチスとヒトラーを『絶対悪』として、その『絶対悪』とつながりを持ったから、シオニストが「民族の裏切り者」である、などという発想そのものが、根本的に誤っていると言えます。
そしてこれらの事実の中に「コーディネーター」つまり背後関係を探ろうとする者がいる場合に、それに対して「陰謀論者=ネオナチ」と言い放って妨害を試みるような者達が、その本物のネオナチの手先であることは明白でしょう。(誰とは言わんけど、どこかのトンデモ・サイトで9・11の「パンケーキ」や「イスラム・テロ」にしがみついているやつなど、その典型でしょうな。)
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[シオニズムの背信]
シオニズムの背信、つまりホロコースト犠牲者に対する裏切りは、支配階級の利益をユダヤ人の利益であると見なす試みの極地であった。今日、シオニストたちは、ラテン・アメリカでの暗殺部隊から4つの大陸にまたがるCIAの隠密作戦に至る米国帝国主義の軍事行動に、自らの国を参加させている。
この浅ましい歴史はシオニズムの創始者たちの道徳的退廃に根ざしている。彼らは大衆の闘争と社会革命を通しての反ユダヤ主義(アンチ・セミティズム)の克服の可能性を拒否した。モウゼス・ヘス(Moses Hess)、テオドル・ヘルツル(Theodor Herzl)、そしてハイム・ワイツマン(Chaim Weizmann)はバリケードの逆側を選んだのだ。つまり国家権力、階級支配、そして排外主義的な支配の側である。彼らは、迫害からの解放と社会変革の必要性の間には何の関係も無いという空想を打ち出した。彼らは、反ユダヤ主義とユダヤ人への迫害が、自分たちが恩恵を得る支配階級自身の仕業であることを十分に理解したのである。
反ユダヤ主義者自身による保護を求めて彼らは様々な動機を現した。自分が結び付いて力を手に入れる権力への崇拝、アウトサイダーであり続けることをやめてユダヤ人の「無力さ」とひ弱さを終わらせようとする野望である。
この感覚はジュー・ヘイター達自身の価値観と思想への同調までほんの一歩の距離にあった。シオニストたちが書くことには、ユダヤ人は実に礼儀知らずで破壊的で堕落した人々であり、彼らが受けてきた悪口に値するものであった。シオニストたちは恥知らずにも人種主義のジュー・ヘイターたちの機嫌をとった。権力を賞賛しながら、彼らはフォン・プレーヴェスやヒムラーの反ユダヤ願望に訴えかけた。迫害を受けて過激化した人々、革命的な運動の中心を担った人々や、苦しんだ結果としてその最良の意思を既製の価値に対する攻撃的な知的触媒へと変えた人々を犠牲者として取り除くためである。
シオニストの歴史の汚い秘密は、シオニズムがユダヤ人自身に脅威を覚えていた、という点である。迫害からユダヤ民族を守ることは彼らを脅迫する政権に対して抵抗を組織することを意味した。しかしそういった政権は社会的な権力の意思のみで成り立っている、すなわちパレスチナ人たちに移住者の植民地を押し付けることができる帝国主義的な支配階級を体現したものであった。ゆえに、シオニストたちはユダヤ人を植民地推進者とさせるために迫害を必要としたのである。そして彼らはその権威を支援する迫害者を必要としたのである。
しかし欧州のユダヤ人たちはパレスチナの植民に対する興味を一切掲げようとしなかった。シオニズムはユダヤ人の間では周辺部の運動であり続けたのである。ユダヤ人たちは彼らの生まれた国で差別を受けずに住むことを、あるいはより寛容な民主的な扱いを受ける資本主義国に移住することで迫害を逃れることを望んでいたのである。
だからシオニズムはユダヤ人たちの必要性や希望に応えることが全くできなかったのだ。迫害が肉体的な絶滅への道を与えたときにその本当の瞬間がやってきたのである。ユダヤ人の生き残りとの実際の関係について最終的で唯一のテストを与えられたときに、シオニストたちは抵抗を率いるあるいはユダヤ人を守ることに失敗したのみならず、ナチの経済に対するボイコットの努力を積極的に妨害しさえした。彼らはその後でさえ自分たち自身の大量殺人者どもの保護を求めた。それは単に第3帝国がシオニスト植民地を作るのに十分に力を持っていたからだけではなく、ナチの行為がシオニストが想定したことと同調していたからである。
ナチスとシオニストの間には共通の基盤があった。それは単にシャミールの民族軍事機構がパレスチナに「民族的で全体主義的な基盤」の上に立つ国家を作るために行った提案の中に現れるばかりではなかった。ウラジミール・ジャボチンスキーは、その最後の著作である「ユダヤ戦線(The Jewish War Front :1940)」の中で、パレスチナ人についての彼の計画を次のように書いた。
《我々がアラブ人たちの脱出を穏やかに直視するためのこの偉大な道義的権威を持つがゆえに、我々は90万人が怖気づいて出て行く可能性について重要視する必要は無い。ヒトラー氏は最近、人口の移し替えによる評判を打ち立てつつあるのだ。[21]》
「ユダヤ戦線」の中にあるジャボチンスキーのこの注目すべき表明は、シオニストの思考とその道徳的破産に同調するものである。ユダヤ人の虐殺者たちはシオニズムに「偉大な道徳的権威」を与えた。何のために? 「アラブ人たちの脱出を穏やかに直視するため」である。ナチによるユダヤ人破壊の教訓は、シオニストにとって、パレスチナの人間たち全体に同様の運命をもたらすことが今や許されるべきものである、ということだった。
7年の後に、シオニストたちはナチスを手本とした。彼らはナチスの後押しを求め時にはそれを達成すらした。そして彼らはいくつものリディセ【訳注:チェコにある村で1942年にナチスによって村民340名が虐殺された】[22]の中でパレスチナを血で覆い、80万人を追放に追いやったのだ。
シオニストたちは、フォン・プレーヴェに対して持っていたのと同様の精神でナチスに接近し、ジュー・ヘイトが利用できるという邪な考え方で行動した。彼らの目的は救うことではなく、選ばれた少数者の強制的な徴用であり、残りはその残酷な運命に放り込んだのであった。
シオニズムはそれでもってパレスチナの植民を進めるための人材を求め、ひょっとしたらどこかにでも移民したかもしれないユダヤ人たちを救うことよりも、何百万もの死体を作ることを好んだ。
もしも、迫害と打ち続く難民生活の苦しみと降伏の惨めさの意味を十分に解っていると思われる民族がいたとするならば、それはユダヤ人であったはずなのだ。
同情の代りに、シオニストたちは他民族からの迫害を祝った。彼らはまさに、まずユダヤ人を裏切りそして次にその品位を下げたのである。彼らは自分たち自身の民族を犠牲として選び征服の計画をその上に負わせた。彼らは生き残ったユダヤ人を、パレスチナ人に対する新たな大虐殺の作業に就かせた。残酷な皮肉を使って、自らの姿をホロコーストの集団的な死装束の中に覆い隠しながら、である。
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【私からのコメント(7)】
この手の人たちのユダヤ中心主義にはうんざりします。いくらこの章が「シオニストとユダヤ人の関係」を述べたものであるといっても、著者の視野にはほとんど『悲劇のユダヤ民族』しか入っていないようで、まず人を「プロ・ジューか、ジュー・ヘイターか」に分けて、「ジュー・ヘイターと手を組んでホロコーストに協力した裏切り者」としてシオニストを弾劾する、これ以外の思考回路が存在しないかのようです。
それはともかく、作者のラルフ・シューマンは、忘れているのか無視しているのか、ドイツ人を最大限に侮辱する表現でドイツ製品に対するボイコット運動を激しく呼びかけたのが当のジャボチンスキーであった事実を書いていません。『ボイコットを妨害』するもしないも無いもんで、これは彼らとナチスとの間の掛け合い漫才、要はユダヤ人に対する迫害(恐怖を用いてのパレスチナへの追い出し)を早く始めろ、という合図に過ぎなかったわけです。「ホロコーストの死霊」に憑依されている人の目にはこんな簡単なことすら見えてこないのでしょうね。
さらに『道徳』を言うならば、ジャボチンスキーは「ユダヤ戦線」を書く7年前に「鉄の壁」の中で『シオニズムの道徳』について次のように語っています。
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《シオニストの植民は、やめるのか、あるいは原住民のことなど考えずに進めるのか、のどちらかだ。それは次のことを意味する。原住民たちとは――鉄の壁の後ろの者たちとは――無関係なある権力の保護の元でのみ、植民は進行し発展させることができるのである。それは原住民たちが崩すことのできない壁である。
【中略】
我々はシオニズムを道徳的であり正義であると主張する。そしてそれが道徳的であり正義であるがゆえに、正義は果されなければならない。ジョセフが、シモンが、イワンが、アクメットが、それに賛成しようがすまいが関係ない。
その他の道徳性など無いのである。》
(参照:ジャボチンスキー著『鉄の壁(The Iron Wall:1923)』【全訳】)
http://asyura2.com/0505/holocaust2/msg/540.html
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彼の道徳観は決してヒトラーのまねではなく、むしろ米国の原住民制圧の歴史から多く学んでいます。「鉄の壁」を一読すれば明白なのですが、シューマンはシオニストを《絶対悪》としてのヒトラーに結び付けたい一心で、こんな事実をも無視しています。
ところで、「ユダヤ戦線」で触れているヒトラーの「人口の移し替え(原文:population transfer)」つまり「人間の集団的な移送」とは、具体的に何を指しているのでしょうか。ヒトラーがある特定の民族を狩り集めて集団的に移送しようとしたのは、何よりもユダヤ人に対してであり(『絶滅』の対象はむしろロシア人だった!)、ジャボチンスキーはこれがヒトラーの「ユダヤ人問題の最終解決」であることを知っていたはずです。そして歴史上実際に大規模な人間の集団移送を複数回実行したのはスターリンです。
また「民族的で全体主義的な基盤」の上に国家を作ろうとしたのはシャミールやベギンなどのジャボチンスキー系列ばかりではなく、ベン・グリオンやゴルダ・メイアなどの労働シオニストにしても同様です。ただこちらはソ連が手本のようですが。
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【脚注】
[16] Ibid., p.58. (または次を参照のこと)
http://www.marxists.de/middleast/brenner/ch25.htm
[17] Judgment given on June 22, 1955, Protocol of Criminal Case 124/53 in District Court, Jerusalem. Ibid., p.58. (または次を参照のこと)
http://www.aldeilis.net/zion/zionhol03.html
[18] Ibid., p.59.(同上)
[19] Ben Hecht, Perfidy (New York: 1961), pp.58-59. Ibid., p.60.
[20] Proposal of the National Military Organization - Irgun Zvai Leumi - Concerning the Solution of the Jewish Question in Europe and the Participation of the N.M.O. in the War on the side of Germany. Original text found in David Yisraeli, The Palestine Problem in German Politics. 1889-1945. (Ramat Gan, Israel: Bar Ilan University, 1974), pp.315-317, Brenner. Zionism, p.267. (または次を参照のこと)
http://www.marxists.de/middleast/brenner/irgunazi.htm
[21] Brenner, The Iron Wall, p.107. (または次を参照のこと)
http://marxists.de/middleast/ironwall/08-fascter.htm
[22] Lidice was a Czech village razed to the ground by the S.S. It became a symbol of Nazi brutality and was singled out as a war crime during the Nuremberg Trials.
【以上、翻訳作業終了】
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【全体を通してのコメント】
●「ホロコーストの死霊」による憑依現象
この論文の作者であるラルフ・シューマンだけではなく、レニ・ブレンナーやノーマン・フィンケルシュタインなども同様なのですが、彼らユダヤ系左翼知識人のホロコーストに対する見方は、一つの特殊な「信仰」のようなものになっているのではないか、としか思えません。彼らのシオニスト批判は「宗教的使命感」のようなものに支えられているのではないでしょうか。
これは拙稿《『米国:あるユダヤ国家』に対する私からのコメント、および若干の考察》
http://asyura2.com/0601/holocaust3/msg/310.html
でも触れたことですが、「信仰」といっても、《絶対善としての神》ではなく《絶対悪としてのナチス》に対してです。
彼らにすれば《絶対悪としてのナチス》とそれによる「ホロコースト」は文字通り絶対的であり、その否定は《神》の否定にも等しいばかりか、《絶対悪の側についてホロコーストに手を貸したシオニスト》を憎む彼らにとっては批判の根拠を失うことになります。だから「ホロコースト否定」は「ネオナチ=アンチ・セミティスト」つまり《絶対悪》そのものになるのです。
そしてこの地点で彼らはシオニストと手を結ぶことになります。シオニストにしてみれば「ホロコースト」を失うことはイスラエル国家と自分たちの利権の根拠を失うことにつながりますから「600万人」の死守には手段を選びません。その意味で彼らにとってもホロコースト否定は《絶対悪》となります。一般の自由なユダヤ人たちにしてみれば「右」からも「左」からも《絶対悪》信奉を植えつけられることになるでしょう。実に巧妙な仕掛けです。
もちろん、シオニストの腐敗と堕落、またシオニストとナチやファシストとの関係を、妨害と脅迫を受けながらも、誰よりも幅広く鋭く突っ込んで調べ資料を発掘して分析する彼らの勇気と努力に対しては正直に敬意を表しますが、しかしそれは同時に、彼らの限界をも示しているでしょう。
こんな言い方は不遜かもしれませんが、彼ら《絶対悪》に取り付かれた人々の書いたものを読んでいると、ちょうど《平家の亡霊に取り付かれて墓地で壇ノ浦の「恨み節」を弾き語る耳無し芳一》を見るような、半分薄気味悪く半分滑稽な気分に襲われます。今回翻訳した文章などその典型でしょう。
●「神話」の克服と解体へ向けて
結局、彼らはシオニストのかけた「神話として機能するホロコースト」の呪縛から逃れることができないのでしょう。シオニストが誰かに「反ユダヤ主義者!(アンチ・セミティスト)」と叫んだ途端、キオツケーッ!回れー、ミギィーッ! そして一緒になって叫ぶわけです。「アンチ・セミティスト!」と。
次の拙稿で私は次のように書きました。
(参照)
http://asyura2.com/0505/holocaust2/msg/389.html
ユダヤ・ファシズムの系譜:ジャボチンスキーからシャロンまで(2)ゾンビどもの跳梁
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【前略、引用開始】
現にブレンナーの著書「51の文書:ナチに対するシオニストの協力」に対して英国のシオニスト集団の機関紙Jewish NewsがAmazon.co,ukに圧力をかけた問題に関して、シオニストのJon Benjaminから「お前が言っていることは、9・11にイスラエルが絡んでいるなどという新しいアンチセミティズムを力づけるだけだぞ。それでもいいのか。」と脅しをかけられると、ブレンナーは(少々戯画化して描くが)「いやー、そのー・・・・。私も9・11とイスラエルは関係ないと言ってるんですがねぇ・・・・。私はただ独裁者時代のことを言っているだけなんでして・・・・。」と、とたんにしどろもどろになってしまう。こりゃ、だめだ。(ブレンナー氏は先日のアンマン爆破事件など、どう見ているのか? 過去の資料の研究に忙しくて現在の問題には盲目、というのなら何のための歴史研究なのか?)
(参照)
http://www.counterpunch.org/brenner05252005.html
The Plot to Stigmatize "51 Documents" on Amazon.com
事実はまさしく!Jon Benjaminの言うとおりなのだ! 『「9・11にイスラエルが関与している」と言うことが「新しいアンチセミティズム」』である!
これを多くの左翼ユダヤ人たちはどう見ているのか? かつてユダヤ人迫害を必要としていたのがシオニストであり、そのシオニストによる「ユダヤ人迫害の利用」は現在も延々と続いている、いや彼らの政治目的に沿ってますます強化されているのだ。この最も現在的な視点こそが「シオニズム研究」の眼目ではないのか?
【後略、引用終り】
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また先日来の「イスラエル・ロビー告発」に関しては、同じく米国の左翼ユダヤ人の代表者ノーム・チョムスキーが、早速ミアシャイマー=ウォルト「批判」というかシオニストへの擦り寄りを開始しました。(もっとも、チョムスキーは自らをシオニスト「極左派?」と自覚しているようですが。)
(参照)
http://asyura2.com/0601/war79/msg/962.html
チョムスキー、「イスラエル・ロビー」でミアシャイマー=ウォルトに反論【シオニストぶりを大いに発揮!】
フィンケルシュタインやブレンナーがこれに関して何を語っているのかは知りませんが、おそらく『新しいアンチセミティズム』に怯え結局はシオニストの掌に戻って行くのでしょうね。
この呪縛から逃れ得たユダヤ知識人は実に少数です。イズラエル・シャミールは「神話として機能するホロコースト」の死霊から自由になった数少ないユダヤ人の一人なのですが、現在、次のような事実を世界に公表できる人は、米国の「左翼ユダヤ人」にはまずいないでしょう。拙稿より引用します。
(参照)
http://asyura2.com/0601/war79/msg/442.html
第2次大戦の以前からユダヤ資本に牛耳られ、今日、全体主義の「兵器」として働くメディア(イズラエル・シャミール)
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【前略、引用開始】
シャミールはこの最終バージョンで、前のものよりもユダヤによるメディア支配とそれがいかに全体主義を導く「兵器」として使われているのか、をより強調する形で仕上げています。
この最終バージョンで、彼自身がつけた脚注の中に非常に興味深い箇所があるのですが、その部分を下に貼り付けておきます。
これはイスラエルの歴史学者シムチャ・エプスタインがヘブライ大学で行われた「反ユダヤ主義研究会議」の場で発言した事柄です。(原文からはエプスタインの発言を聞くことができます。)
そのあらましはこういうことです。
《第2次世界大戦の前に、フランスの新聞をユダヤ人が支配しているという主張があった。そしてユダヤ人たちはそれを「陰謀論」として否定した。現在のイスラエルの歴史家もそのような主張を「反ユダヤ主義」として否定し非難する。ところが、権威あるユダヤ側の史料によれば、フランスで新聞をユダヤ人が所有しあるいは融資してコントロールしていたことは事実なのだ。これは我々に深刻なジレンマをもたらすことである。》
【後略、引用終り】
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第2次世界大戦の以前からメディアを支配しているのがユダヤ人であったことを、イスラエルの研究者が突き止めて、本人はすっかりこれに当惑しているわけです。しかし実際には、「世界のメディアがユダヤ人に支配されている」と言う者がいるなら、ユダヤ人、非ユダヤ人を問わず、右と左とを問わず、一斉に「アンチ・セミティスト!」の金切り声をあげて社会的にパージし、国によっては刑事罰の対象にもすることでしょう。
これはもうユダヤ・ファシズムというかユダヤ・ナチズムというか、滅茶苦茶に倒錯した世界なのです。そしてその倒錯の「扇の要」にあるのが「ホロコースト」であることは言うまでもありません。
この「ホロコースト」を冷静な歴史的研究対象とするように初めて提言した国家指導者がイランのアフマディネジャッド大統領です。イズラエル・シャミールが彼をマハティールと並ぶ『偉大な人物』と呼ぶのも当然のことです。この実に強烈な「神話」に対して「別の神話」をぶつけてみたり「新しい神話」を作り上げたりしても、全く無意味なばかりか、余計にその神話性を強めるのみでしょう。
そして「ホロコースト」にとどまらず、シオニズム、ナチズムとファシズム、スターリニズム、欧米資本主義などのつながりと仕組み、イスラエル国家の創設といわゆる「冷戦」、また「戦後」と呼ばれる期間の正体、そしてユダヤ教系統とバチカンを中心にした宗教教団の変遷など、多くの側面から近代を見直していく中で、「神話として機能するホロコースト」が作ってきた構造を解明し解体していくことが必要になると思われます。
その中で、シューマンやブレンナーなどのユダヤ人左翼知識人は、良質の資料を提供してくれる重要な役目を持っているのでしょうが、彼らの限界もまた十分に認識されるべきでしょう。「晒し者」にされたラルフ・シューマンにはまことに申し訳なかったのですが、今回の翻訳はその限界の実例を紹介するつもりで行ったものです。
以上です。