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100万人対30人--「ワールドカップに浮かれる韓国」--『Younghee Ahn の韓国レポート』--JMM
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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第184回
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「ワールドカップに浮かれる韓国」
2002年日韓共催で開かれたワールドカップで韓国は初めてベスト4入りを果たした。
それは、とても国民を鼓舞させる出来事であった。
最初はそれほど期待しなかったのが、勝ち進む中で誰もがレッドデビルズというサポーターになっていった。
韓国はその頃、1997年以降の金融危機以来、経済を立て直すために必死になっていた。
リストラされた人たちはソウル駅周辺でホームレスになった人も多かった。
未だにそこはホームレスの溜まり場になっている。
また、不動産価格は高騰し、貧富の格差がますます開いていく時点であった。
スポーツ観戦というのは面白いもので、それまであまり関心のないスポーツであっても、それが国名が入っていると妙に愛国心を掻き立てる。ましてや相手国に勝ったりすると非常に興奮するのである。
韓国人が自から赤いTシャツを着て集まって応援する文化ができたのは、2002年のW杯以来である。
もちろんそれにはレッド・デビルズという純粋にサッカーに魅せられた少数のサポーターたちがそこに集まることにしたからではある。
最初からのメンバーは商業的に利用されることやマスコミに出ることさえ嫌がり、純粋さを保とうとした。が、後から入ってきた人たちはマスコミに出ることを好んだため、内紛もあった。
今年は、純粋なレッドデビルズというよりにわかレッドデビルズが街中あふれている。
6月になる前からマスコミではW杯期間中の寝不足などを心配していたし、企業はこの機会をどうやって生かそうかと思案しているようだった。
先日、日本とオーストラリア戦があった日、韓国人は4年前と違ってオーストラリアを応援した人が多いようだ。
理由は二つある。
まず、オーストラリアの監督がヒディンク氏であったこと。
彼は4年前韓国にとっては「ベスト4」という奇跡を起してくれた張本人であり、名誉韓国人でもある。
もう一つの理由は、今年に入って諍いのある竹島問題などによって韓国の対日感情が良くないということである。
昨年までは、竹島に関してもそれほど敏感にならなかったが、今年に入って険悪に近い雰囲気になっている。
とにかく、日本が負けた試合の間、オーストラリアが点を入れる度にアパート中うるさかったくらいだ。
4年に一度のことだから、少しハメをはずしてもいいではないかとも思う。
しかし、W杯を応援するために韓国戦のある日を休校日にした学校があるのはどうかとも思う。
また、4年前は赤いTシャツは5千ウォン(約600円)もすれば買えたのに、今年はサポーターグッズがセットで5万ウォン(約6000円)もするという。
それでも4年前の服を着ている人は一人もいなかった。
韓国がベスト16入りすれば、経済効果が16兆ウォン(約1兆8千億円)と言われるが、街をみていると観戦する日は早めに戸締りをした店も多かった。
観戦の日は客もいないからだという。
しかし、みんながW杯に浮かれているわけではないようだ。
19日に予定されている韓国対フランス戦を応援する人たちが集まる中に「アンチワールドカップ」を唱える人たちが集まるという。
30人ばかりの少数でパフォーマンスをするらしいが、彼らは「W杯に対する圧迫に打ち勝ち、W杯に対する過熱した雰囲気を批判するため」に集まるという。
彼らはネット上に「アンチワールドカップ」を作って、活動をしている <http://cafe.daum.net/antiworldcup>。作ったきっかけは、「政府、メディア、企業までも一緒にワールドカップに対して浮かれている雰囲気について疎外感を感じている人たちが共に『ワールドカップ・ストレス』を解決するために作った」という。
W杯一色になるよりは、その反対意見があることが民主的でいいと思う。
だけど、彼らが集会を計画している場所は、にわかレッドデビルズが100万人は集結する場所である。
100万人対30人は、聖書に出てくる巨人兵士ゴリアテと戦うダビデのようだ。
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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学4年から高校1年まで、大阪在住。韓国外国語大学同時通訳大学院日本語修士課程卒業。同時通訳からスタートして、現在は会議通訳、及び、韓国梨花女子大で、日本語の講師も務める。著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)