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(回答先: 川辺川ダム新局面・もつれ合う流れ・上(熊本日日新聞) ― 不安と期待交錯 反対派、国交省やきもき 県収用委 投稿者 シジミ 日時 2005 年 6 月 03 日 20:40:01)
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/nagare/02.html
「県収用委員会の方針がどうであれ、農家のために粛々と新利水計画策定を進めるだけ」。川辺川ダム建設をめぐる収用委の審理から一夜明けた一日、人吉市の農水省川辺川農業水利事業所の所長室。作業着姿の播磨宗治所長はテーブルに国営川辺川土地改良事業(利水事業)の新計画の対象地区を示す地図を広げ、言葉に力をこめた。
●事前協議55回
収用委は三十一日、漁業権などの収用について却下も視野に内部協議に入る一方、次回審理までに新利水計画策定状況を見据える方針を表明。却下するか審理を続けるかは事実上、新計画に身を委ねた格好だ。
二〇〇三年五月、福岡高裁利水訴訟控訴審で当時の利水計画は違法とする判決が確定。直後に始まった事前協議は、県の呼び掛けで農水省や地元市町村、利水訴訟原告団など六団体が参加、五十五回を数える。川辺川ダムから水を引くダム案と、堰(せき)を水源とする非ダム案の二つに固まったのは、収用委の二日前だった。
農水省と県は四日から農家への説明を始め、七月末までにどちらを選ぶかを問う農家アンケートを回収、八月中に新計画をまとめる考え。収用委が次回審理を開くまでの「数カ月」の範囲内だ。
だが、過去四回開かれた座談会の出席率は19〜29%。播磨所長は「今回はすべての農家に理解してもらったうえで議論を深めてもらいたい」と言う。合意形成には時間がかかることも予想される。利水協議を主導してきた鎌倉孝幸・県地域振興部長は「一度否定された利水事業を確実に完成させるには、慎重の上に慎重を期してやらねば」。
●反発の背景
新計画策定では当初、農家が負担する配水施設維持管理費(水代)は、非ダム案の年間一億三千万円(十アール六千五百円)に対し、ダム案が九千万円(同二千二百円)と“優位”だった。
県は年間差額の四千万円を県と市町村で負担し合うことを提案。これに対し、市町村側は「財政負担」を理由に難色を示したが、反発の背景はそれだけではなかった。
「球磨郡町村会はダム建設推進の立場。同額になってしまえば、農家が非ダム案を選びやすくなる」。町村長の一人は、複雑な胸の内を明かした。結局、県が全額負担して両案の水代を同額にする方針を再提案。市町村側は合意したが、なおも複雑な思いは残る。
●揺れる思い
受益農家の受け止めもさまざまだ。利水訴訟原告に加わった相良村の農家(66)は「ダムの水はいらないという考えは変わらない。私は非ダム案を選択する」。川辺川地区開発青年同志会に名を連ねるあさぎり町の農家(56)は「県による水代の肩代わりもいつまで続くか分からない。安定した水が欲しい」とダム案を支持する。
一方で、人吉市の果樹農家(80)は「水は早く欲しいが、後継者はおらず、いつまで農業が続けられるか分からない。説明会には行くが、どんな選択をすればいいのだろうか…」。
国交省や収用委の思惑とは別に、農家の心は揺れる。