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国民保護基本指針案公表 テロ対処具体化
国と地方の分担明確化 住民の役割は欠落
政府は四日、有事における住民の避難・救援、国と地方自治体の連携のあり方などを定めた「国民保護に関する基本指針案」を公表した。今月末に閣議決定する。昨年十二月に示した「指針要旨」に、自治体や、民間放送局などの指定公共機関が盛り込みを要請した「豪雪地・離島への配慮」「原子炉の運転停止手続き」など、地域特性に対応した具体的措置などの内容を追加した。ただ、住民自身が消火活動や被災者救援でどんな役割を果たすかという核心部分が抜け落ちており、「実効性は疑わしい」との声も出ている。
「指針案」は昨年六月に成立した国民保護法に基づき、日本が攻撃を受ける武力攻撃事態として、「着上陸侵攻」「ゲリラや特殊部隊による攻撃」「弾道ミサイル攻撃」「航空攻撃」の四類型を想定し、それぞれの対処法を示している。各省庁、都道府県は指針に従って国民保護計画を、指定公共機関は国民保護業務計画を平成十七年度内に策定する運びとなる。
「指針要旨」公表後、四十四都道府県と百四十八市町村から計約六百五十件、七十四指定公共機関から計約三百件の意見が寄せられた。政府はこれをもとに、(1)地域の特性に応じた避難(2)地方自治体の広域連携整備(3)指定公共機関の自主性確保−などの観点から内容を追加。特に、自治体に「最も現実的な脅威はテロだ」との危機感が強いことを受け、「指針案」はゲリラやNBC(核・生物・化学)兵器による攻撃への対処法をより具体化した内容となった。
住民への警報伝達に用いられるサイレンについては、「パターンと音色は、明瞭(めいりょう)なものを国が定める」と新たに規定。地域を定めない警報が発令されたときは、「すべての原子力事業者は、ただちに原子炉の運転停止に必要な措置を講ずる」としたほか、武力攻撃事態では、経産相は「ただちに原子炉の運転停止を命ずる」とした。緊急時には、事業者は警報や国の命令を待たずに自らの判断で原子炉運転を停止するとし、被害拡大を最小限にとどめる方策を定めた。
また、NBC攻撃による災害への対処として、厚労相は都道府県知事に対し、ワクチン接種の指示を行うほか、生活用水が汚染された場合は「給水制限などの措置を講ずる」と定めた。
国は放射性物質による汚染食料品の出荷制限、飲食物の摂取制限などについて要請し、地方自治体がこれを実施するとした。
国と自治体の役割分担明確化には前進があったが、一方で「政府や自治体はかつての隣組や国家総動員法と混同されるのを嫌った」(政府筋)ため、地域住民が主体的に役割を果たす「民間防衛」の考え方は「指針案」に入っておらず、実際の有事では混乱を招く恐れがある。
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■地域住民の共助組織を
国民保護法に詳しい松阪大の浜谷英博教授(憲法・防衛法)の話 「地域住民の共助組織がないと有事法制は機能しない。有事では、自衛隊や警察が守る側で、住民は守られる側と単純に分けるのは非現実的だ。自衛隊も住民もともに国民であり、ともに事態に立ち向かうという発想が必要だ。世界の主要国では有事での消防、救難などへの住民参加は義務化されており、指針案は一番肝心な部分が欠けている」
http://www.sankei.co.jp/news/morning/05pol001.htm