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ネオファイトさん:貴重資料、感謝!:オプス・デイの秘密の実態:極右反動の瘴気〔Guardian〕
例によってあっと言う間に下の方にすっ飛んで行ってしまいましたので、稿を改めてご返事と情報の紹介をいたします。
ネオファイトさんがご紹介くださったカトリック学者Michael Walshの書いた資料(↓)を読んで、私はすっかりうれしくなりました。
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The secret life of Opus Dei
http://education.guardian.co.uk/schools/comment/story/0,9828,1398732,00.html
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といいますのは、Walshがスペインの王政復古に果たしたオプス・デイの役割を指摘していいるからです。実はこの点は、私が独自の調査によって調べ上げたことと一致しており、私が童子丸開の名で雑誌『真相の深層』誌第3号(秋号)に寄稿しました「連載 聖なるマフィア――オプス・デイの素顔を暴く」シリーズの「スペイン現代史の不整合面」で説明したことなのですが、スペイン王位継承者ドン・フアン(現スペイン国王フアン・カルロス2世の父君)との秘密交渉について、Walshの側からも言及しています。
ただ私がこのWalshの論文について少々不満な点は、このことを単にオプス・デイに対する「闇の中で様々な陰謀を画策する秘密団体」というイメージ付けに使っている点で、これではやはり虚像を振り巻く結果に終わるだろう、としか思えないことです。
私が上記『真相の深層』誌第3号、および第4号(冬号)の「ネズミの後を追って」と題した記事で申し上げたことなのですが、ドン・フアンはフランコを根っから嫌っており、フランスに亡命中の社会主義者たちと連絡を取ってフランコ打倒を画策していたくらいです。オプス・デイの使者がドン・フアンとスイスで秘密会談を持ったのは1943年、つまりフランコ政権確立のわずか4年後の第2次大戦中なのですが、そのフランコに認められた程度の宗教団体に会って、しかもスペイン王室の未来と我が子の将来を託す、などということは、おおよそ考えられないことです。この点の不自然さについて、Walshは全く何も語っていません。
しかし他の多くの資料からも、オプス・デイが非常に早い段階からスペイン王政復古を画策していたことは明らかです。とすると結論は一つしかありません。オプス・デイがその初期からヨーロッパの支配階層の代弁者であった、ということです。いや、ヨーロッパだけではなく、OSS、後のCIAとの関連を考えると、欧州と米国にまたがる権力構造の上部組織の肝いりで作られた(これは後のECSC→EEC→ECの創設に力を尽くしたロベール・シューマンやデ・ガスペリなどが重要な関係者であったことからも窺われる)ものである、ということです。OSSのアレン・ダレス(後のCFR委員長、CIA長官)は、オプス・デイとドン・フアンの秘密会談があった1943年には、やはり同じスイスにいました。さらに、恐らくロスチャイルド家などユダヤ資本との密接な関係も十分にありうるでしょう。
また詳しくは私の『真相の深層』誌の記事に書いていますが(もうすでにお読みかもしれませんが)、この教団は、スペインでフランコ独裁政権を支えて保守的なカトリシズムを国民に強制しただけではなく、フランコ体制の終焉と「民主スペイン」創設の総合デザイナーでもありました。(恐らくキッシンジャーの命を受けたCIAと手を組んでいたのでしょう。)フェリペ・ゴンサレスの社会労働者党政権誕生も、しょせんは彼らの掌の上での出来事でした。
この点は現在、この国では「右」にとっても「左」にとっても厳重なタブーであり、必然的に日本のスペイン学者などが触れる点ではなく、「過酷な独裁主義の敗北と民主主義の勝利」を手放しで喜ぶ向きにはショッキングな点でもあります。(正直言いましてこれらの事実を知ったときには私もショックを受けました。)しかし「事実は小説より奇なり」で、Walshもこのようなオプス・デイの姿については語ろうとしていません。(知ってか知らないでかは、は分かりませんが。)
第2次大戦後の「民主主義神話」がいかなるものか、の「解剖のメス」の一つとして、私はこのオプス・デイの素顔を暴く作業が、重要なファクターの一つとなることを信じています。スペインにいてこの作業を行うことは、彼らの「極右反動性」や「狂気」を暴露するよりも、ある意味で私にとって危険な作業でもあります。
同時に、ご存知の通り、私は現代社会の「神話」の一つである「3・11マドリッド列車爆破=イスラム・テロ」の「神話」の化けの皮をはがす作業を行っています。(これも阿修羅への投稿だけではなく、童子丸開の名で『真相の深層』誌へ毎回寄稿しております。)
私は別にこれで食べているわけではなく、全くの素人の作業なのですが、「プロフェッショナルの知識人」があえて触れようとしない事柄ですので、私のようなアマチュアがやるしかないわけです。私が阿修羅投稿や『真相の深層』誌で明らかにしていることは、まだまだ、私が調べ上げたことのほんの一部です。いずれはまとめて様々な角度からの検討に耐えうるような文章を書いてみたいとは思っていますが、いつになることやら。
その意味で、ネオファイトさんが教えてくださったような資料は非常に貴重です。ありがとうございました。