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国籍法規定は違憲 比女性と日本男性の子の国籍認める
2005年04月13日20時22分
フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれ、両親が法律上結婚していないことを理由に日本国籍取得を拒まれた男児(7)が国籍確認を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は、3人が家族として共同生活をしている実態を重視。「父母が婚姻関係にあるかどうかで国籍取得の可否について不合理な区別を設けた国籍法の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と述べ、男児に日本国籍を認めた。国籍法の規定を違憲とした判決は初めて。
判決などによると、原告は関東地方で生まれ育った男児。既にフィリピン国籍は持っている。母親は40歳代のフィリピン人女性。父親は妻子がいる40歳代の日本人男性。男児は出生後、父親に認知された。
問題となったのは、未婚の男女の間に生まれた子(非嫡出子)の国籍取得をめぐり、「父母の婚姻と認知」を条件とした国籍法3条。同法では、婚姻関係がない日本人男性と外国人女性との間に生まれた子供の場合、出生前に認知するか、出生後に結婚しなければ、日本国籍を取得できない。男児は認知はされているものの出生後だったうえ、父母が婚姻関係にないため法務局に国籍取得届を受理されず、提訴した。
鶴岡裁判長は、父親の渡す生活費で母親と男児が扶養されている▽父親が週末などに定期的に母親の家に泊まったり、男児の幼稚園などの行事にも積極的に参加したりしている――などの点を挙げ、「男児と父母の3人は完全同居ではないものの、内縁関係にあり、家族としての共同生活と評価できる」と認定。「価値観が多様化している今、『父母が婚姻関係にある家族こそが正常で、内縁関係は正常ではない』などと言うことはできない」と指摘した。
そのうえで、内縁関係にある男女の間の子について「日本国民を親の一人とする家族の一員として、(父母が婚姻関係にある子と比べて)我が国との結びつきの点で違いはないのに、国籍取得が認められないのは何ら合理性がない」と判断。同法が、非嫡出子と、父母が婚姻している子(嫡出子)との間で国籍取得について区別している点を違憲と結論づけた。
一方で判決は、男児のように父母と非嫡出子が共同生活をしているケースではなく、共同生活が成立していない非嫡出子について国籍取得を認めないことは「違憲と断じるだけの証拠はない」と付け加えた。
東京地裁では12日、法律上結婚していないフィリピン人女性と日本人男性の間の子9人が、国籍確認を求める同様の訴訟を起こしている。