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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu96.htm
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小泉首相が仕掛けた罠 参拝断念を唱えた加藤紘一氏や
野田毅氏のような政治家は「梯子を外される」結果となった
2005年6月14日 火曜日
◆「靖国」参拝というクリスタル・ボール 6月13日 雪斎の随想録
http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/
『溜池通信』「今日の不規則発言」欄で言及された下の記事には、雪斎もコメントを付さなければならない。「昨秋の日中首脳会談、参拝継続を事前伝達=郵政廃案なら解散−首相秘書官が講演」の見出しで『時事通信』が配信した記事である。
小泉純一郎首相の飯島勲首相秘書官は11日夜、長野県辰野町での会合で講演し、昨年11月にチリで開催された中国の胡錦濤国家主席との首脳会談について、事前に日本側から「首相は2005年も靖国神社を参拝する考えだ」と伝えていたことを明らかにした。
飯島氏は「チリで胡主席と会う前に(中国に対し)初めて強烈なカードを切った。『小泉首相は時期は別として来年も靖国神社を参拝する。それでも不都合がなければ会談を受ける』と伝えた上で会った」と指摘。中国側も小泉首相の意向を承知して会談開催を受け入れたとの認識を示した。
飯島氏はまた、この首脳会談に続く昨年11月のラオスでの小泉首相と温家宝首相の会談でも同様に、小泉首相の靖国参拝継続の意向をあらかじめ中国側に伝達していた、と語った。その上で「国の指導者たる小泉(首相)が不戦の誓いで靖国神社に行くのは何らおかしくない。多分必ず参拝すると思う」と述べた。
この飯島勲秘書官の「内幕暴露」に小泉純一郎総理の意向が全く働いていなかったとは、信じがたい。秘書が何かを語るときに考慮されるのは、いかにして、その発言によって仕える政治家の「利益」が極大にされるかということである。
雪斎は、この「内幕暴露」には、二つの意味を持ったのではないかと思う。一つ目は、当然のことながら「対中牽制」の意味合いである。おそらくは、小泉総理は、飯島秘書官の発言を肯定することも否定することもなく「何時行くかは適切に判断する」と語り続けるのであろう。こうした曖昧さは、かなり不気味で嫌らしいのであるのは、間違いあるまい。そして、飯島秘書官は、この「内幕暴露」を「事実の証言」として語り続ける。このようにして、中国政府の「無理」の印象だけが、残ることになるのであろう。しかも、国際舞台では、宰相・小泉純一郎の人気や声望は、普通に日本国内で考えられているよりも高い。「中国政府は、靖国参拝に暗黙にせよ小泉に同意を与えていたのに、後から難癖を付けている」という印象が国際社会に広まれば、中国政府の「威信」や「信頼度」も、かなり低下するであろう。
二つ目は、この「内幕暴露」は、小泉総理にとっての「国内の敵」を焙り出す効果を持ったのではなかろうか。立法府の長としての立場を踏み越えて総理に参拝断念を迫った河野洋平衆議院議長を初めとして、昨日の民放番組で参拝断念を唱えた加藤紘一氏や野田毅氏のような政治家は、「自分は小泉の敵だ」とわざわざ表明したばかりか、その参拝断念の働き掛けが無意味なものであったことを知らされたことによって、「梯子を外される」結果を招いたことになる。小泉総理は、国内政治の運営に際しても、「抵抗勢力」という言葉で自らの「敵」を明示した上で、「抵抗勢力も協力勢力だ」といった言辞で「敵」の毒気を抜く手法をとってきたわけであるけれども、此度もまた、そうした手法が採られたのである。対中配慮のために靖国参拝断念を唱えた国内各層の中には、内心、「早まり過ぎた…」と焦っている向きもあるのではなかろうか。
「友」と「敵」を峻別することに政治という営みの本質を観たのは、カール・シュミットであった。小泉総理の政治手法は、このシュミット流の政治哲学の衣鉢を継いでいるのであれば、小泉総理は、当然のことながら「非常時の決断」という政治の意味を熟知しているのであろう。雪斎は、「怖ぇー」と率直に思う。
◆6月12日 溜池通信
http://tameike.net/comments.htm#new
〇このニュースはちょっとした反響がありそうです。
●昨秋の日中首脳会談、参拝継続を事前伝達−首相秘書官が講演
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050611-00000205-jij-pol
飯島氏は「チリで胡主席と会う前に(中国に対し)初めて強烈なカードを切った。『小泉首相は時期は別として来年も靖国神社を参拝する。それでも不都合がなければ会談を受ける』と伝えた上で会った」と指摘。中国側も小泉首相の意向を承知して会談開催を受け入れたとの認識を示した。
飯島氏はまた、この首脳会談に続く昨年11月のラオスでの小泉首相と温家宝首相の会談でも同様に、小泉首相の靖国参拝継続の意向をあらかじめ中国側に伝達していた、と語った。その上で「国の指導者たる小泉(首相)が不戦の誓いで靖国神社に行くのは何らおかしくない。多分必ず参拝すると思う」と述べた。
〇小泉首相は昨年11月、「オレは靖国神社に行くが、それでもいいのか?」と確認した上で、胡錦濤、恩家宝に会っていたのですね。この飯島氏の発言が正しいとすれば、中国側は「とても会えるような状況ではないけれども、耐えがたきを耐えて小泉首相に会った」ということになる。なぜ、日本に歩み寄らなければならなかったか。ひとつには11月2日にブッシュ大統領が再選されたことで、その盟友たる小泉さんに敬意を表する必要があったのでしょう。
〇6月6日の町村外相の講演会では、こんなことを言っていた。「日中首脳会談の議事録を読むと、ここまで言うのか、と驚くほど激しいやり取りがある。そういう中で、小泉首相は『なぜ自分は靖国神社に参拝するのか』をきちんと説明している。同意は得られないまでも、ちゃんと説明はしているのだ」 ――サンチアゴの首脳会談では、やはり相当に激しい応酬があったのでしょう。このときの会談は70分間に及んだが、この間、胡錦濤はまったく笑わず、最後に北朝鮮問題に話が及んだ際にやっと笑顔が浮かんだという。
〇この問題について、小泉首相は余裕綽々に見える。おそらく小泉さんとしては、「オレは最初から参拝するつもりだし、向こうだってそれを認めてたじゃないか」という気持ちがあるのでしょう。「行く、行かないは黙っていてやる。それが最大限の譲歩である」と。だとすれば、今年になってからの中国側の攻勢は、無理を承知の挙ということになる。親中派の政治家やらマスコミやらを総動員しているが、小泉さんという特異なキャラを考えれば、やればやるほど逆効果であろう。河野洋平議長などは、本当に日中関係のことをお考えであれば、隠忍自重されるのがいちばん良かったんじゃないでしょうか。
〇まあ、それでも動かなきゃいけないのが中国側の辛いところでしょう。昨年11月時点と現在では、靖国参拝問題の値段が格段に釣りあがっている。今年は「抗日戦勝利60周年」であり、中国側としては日本に妥協することは難しくなっている。しかもその後の半年の間に、「日本の常任理事国入りが現実味を増す」「日米2+2協議で中台海峡問題が取り上げられる」など、中国共産党としてどうしても許せない事態が加わってしまった。
〇もうひとつ考えられるのは、胡錦濤の掌握力がそれほど強くないという場合である。この辺の事情は、先週号でも書いたけれども、江沢民の後をついで軍事委員会主席の座を得るために、多くの妥協を余儀なくされている可能性がある。ということで、反国家分裂法で台湾への強硬姿勢を示したり、反日デモを組成して日本への圧力を強めたりしていると考えると、最近の「らしくない」行動に説明がつく。
〇そんな風に揺らいでいる胡錦濤体制にとって、飯島発言は困った内幕暴露ということになるだろう。G8財務相会議の結果を受けて人民元の改革に乗り出すとか、北朝鮮の核開発阻止に向けて指導力を発揮するといったことは、あんまり期待してはいけないでしょうね。とりあえず「グッド・ラック」とでも言っておきましょうか。
(私のコメント)
現在の日中関係で小泉首相の立場と胡錦濤国家主席とどちらが政治的に安定しているかというと長期政権の小泉首相の方だろう。胡錦濤国家主席は最高地位について間もなく、江沢民一派や軍の強硬派などから政治的ゆさぶりを受けて右往左往している。4月の反日デモを見ても欧米から批判されて薮蛇になってしまった。
現在の中国共産党は経済発展が唯一の支持を集める政策になっているから、海外から投資を呼び込んでいかなければなりませんから、対外イメージを悪くするようなことは出来ない。だから二度と天安門事件のような真似は出来ないから反日デモを仕掛けることも危険な賭けだったのですが、暴動にまで発展してしまった。
中国では暴動は数え切れないくらい発生はしているのですが、奥地などで発生しているから大きなもの以外は報道されない。今までどおり強権で押さえ込んでいかなければならないのですが、ガス抜き的に日本の靖国や歴史問題を持ち出して国民の不満を誘導している。それに対して朝日新聞や親中派の政治家が動き回っている。
中国にしても韓国にしても政権基盤が弱まると対日批判を強めることで国民の支持を集めようとしている。60年以上も昔のことを持ち出して批判しなければならないほど日中間には問題が無いから持ち出して批判しているのですが、中国はロシアやインドやベトナムなど国境紛争などで紛争だらけだから、安心して批判できるのは日本しか無いからだ。
靖国問題にしても中国政府の意向に呼応して河野洋平氏や野田毅氏など親中派議員が動きましたが、彼らは小泉首相が仕掛けた罠に引っかかったようだ。小泉首相は「靖国参拝はよその国からとやかく言われる問題ではない」と中国政府を挑発しておいて、中国政府が反応すると日本国内の親中派が反応して動き出す。それらは計算済みだったのだろう。
飯島秘書官の講演によると、チリでの胡主席との会談で靖国参拝を続ける前提で会談に臨んだようだ。胡主席も会談に応じたということは中国側も暗黙の了解が得られていたということなのだろう。インドネシアでの会談でも具体的なことは台湾問題しか出なかった。小泉首相も、なにやかやと4年も靖国参拝を続けているから、中国も小泉首相には靖国カードは使えないと判断しているのだろう。
逆に小泉首相にとっては中国に対して逆靖国カードが使えるようになってしまった。政権基盤の弱い胡主席にとっては8月15日に小泉首相が靖国参拝されたら主席の面目丸つぶれで軍の強硬派が黙ってはいないだろう。このように表向きの動きとは別の駆け引きを見ることが重要であり、靖国問題で動いた親中派は梯子を外されたのだ。
わたしも日中友好は保たなければならないと思う。しかし反日教育や反日デモなどを仕掛けられると日本の国民世論も反中国的になっていく。その原因が靖国参拝であり歴史問題というのは現在の日本や中国にとって死活問題なのかというとそうではない。議論は議論として戦うべきですが、国益を損ねてまですることはない。
小泉首相も参拝したければ粛々と参拝して、中国も抗議したければ抗議して必要以上に事を荒立てない事で受け流せばいいのだろう。むしろ親中派議員が中国利権で動き回ることが問題を大きくするだけで日中友好を損なってしまうのではないかと思う。
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